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精霊契約でパーティー追放されたけど、今さら戻ってこいとか言われても遅い!  作者: 夢見叶
第4章 精霊協会と隠された真実

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第20話 夜明けの誓い

 夜明け前の空は、まだ深い藍色に沈んでいた。協会塔のある方角だけが、不気味な赤で染まっている。昨日まで燃え盛っていた炎の残光だ。まるで、まだ終わりじゃないと告げるように。


 俺は一睡もできず、丘の上で風に当たりながら、ぼんやりとそれを眺めていた。

 ルミナの光が消える瞬間を、俺はこの目で見た。

 守れなかった命。

 救いきれなかった精霊たちの声。

 あの痛みは、まだ胸の奥で熱を持っている。


「レオン」


 背後から声を掛けられ、振り向く。眠そうな目を擦りながら、ミルが立っていた。

 だが、その表情は眠気よりも心配の色が濃い。


「寝てなかったんでしょ」

「ああ。眠気が飛んじまってさ」


 嘘だ。本当は眠るのが怖かった。

 目を閉じれば、ルミナの最期が何度も蘇るから。


 ミルは俺の隣に腰を下ろし、空を仰いだ。


「心配しなくても、ここにいる精霊たちはまだ光ってるよ」

「……わかってる。だけど」


 俺の言葉を遮るように、ミルが言う。


「暗い顔は似合わないって言ったでしょ?」

「……そんなこと言ったか?」

「言ったの! ほら、笑って。いつものレオンに戻りなよ」


 無茶を言う。そんな簡単に割り切れたら、苦しみなんて最初からない。

 だけど――その横顔は、真剣だった。


「私は信じてるんだ。レオンは、精霊と一緒に笑える未来を作れるって」


 胸の奥が、少しだけ軽くなる。


 そこへ、カイとノワールが眠そうに近づいてきた。

 カイは小さく溜息をつきながら、俺に目を向ける。


「……もう後戻りはできないぞ」

「ああ。わかってる」


 カイは続ける。


「ゼファードが掲げる精霊兵器計画は、全世界規模だ。精霊は兵器じゃない。だがこのままでは――」


「精霊の叫びは、誰にも届かないまま殺されていく」


 俺は静かに言った。


 ノワールが腕を組みながら、薄く笑う。


「お前が行くなら、俺は影としてついていくだけだ。光と影は、いつもセットだからな」


 意外と優しいんだよ、お前は。


 俺はゆっくりと立ち上がり、赤く染まる空へ視線を向けた。


「精霊を救う。それが、俺の生きる理由だ」


 その言葉は、これまでで一番自然に口から出た。

 迷いや罪悪感は消えていない。だが――


 立ち止まってなんかいられない。


「やっとらしい顔に戻ったね」


 ミルが笑う。

 その笑顔に、救われる。


「次は、どこへ向かう?」

 カイが尋ねる。


「炎帝の血脈――ダリオを追う。灼熱の砂漠、アグナへ向かう」


 ゼファードはそこを狙っている。

 ダリオを、精霊兵器の中核にしようとしているはずだ。


「暑いの苦手なんだよねぇ……」

「泣き言言う暇があるなら、水分を確保しろ」

「わかってるよ!」


 そんな軽口さえ、今の俺には心地よかった。


 日の光が、地平から顔を出した。

 闇を押しのけるように、力強く。


 俺は拳を握りしめる。

 ルミナの光が、掌の奥で確かに脈打っている気がした。


──行くぞ、次の戦いへ。


 誰も見たことのない未来を掴むために。


 俺たちは、赤く揺れる砂漠の方角へ一歩を踏み出した。


 新たな灼熱の冒険が始まろうとしている――。

 最後までお読みいただきありがとうございます。


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