第16話 ルミナの残光
夜の森を歩きながら、俺は胸元を押さえていた。
鼓動じゃない。熱でもない。
──光が、まだ生きてる。
協会から必死に逃げてきて、まだ全身が震えてるはずなのに。
それでも、この小さな灯だけは確かに俺を支えていた。
「ルミナ……ちゃんと、そこにいるのか?」
返事はない。けど、わかる。
俺の中で、あの子の欠片が生きてる。
焚き火の明かりが届かない暗闇の奥を進みながら、
視界の端に、微かな光の粒が揺れた。
──ピクン。
胸の奥で、光が脈打った。
「レオン?どうかした?」
ミルが心配そうに振り返る。
「いや……ちょっと、光っただけ」
「え、光った?」
ミルがじーっと俺の胸を見つめる。
違うんだ。
光は外じゃなくて、俺の内側にある。
次の瞬間、声がした。
『……まだ……見つけて……』
息が止まりそうになった。
「ルミナ……!?」
『まだ……見ぬ精霊たちが……いる……きっと……あなたに……』
そこで声は途切れた。
でも充分だった。
「……お前は最後まで、俺に未来を見せるんだな」
泣き笑いみたいな声が漏れた。
◆
その時だった。
ミルの風がふっと強くなり、周囲の草がざわめく。
「ちょ、なにこれ!? 風、勝手に動いてるんだけど!?」
ゼルフィアの体からは、鋭い火花が散り始めた。
「……妙だな。魔力が……高鳴っている」
ノワールは闇を伸ばし、周囲に薄い影の膜を展開する。
「君の中の光が、全ての精霊を刺激している。抑えろ、レオン!」
「抑えろって言われても……どうやって!?」
胸の光が激しく脈動し、俺の全身を巡った。
ギャアアアアア!!
魔力が吹き上がり、地面の石が浮き上がる。
「なっ!?わあああっ!!」
ミルが驚きの悲鳴を上げて宙に浮く。
「……レオン。君、また規格外なことを……」
ノワールは呆れ半分、感心半分の声。
でも俺は、自分の体の中で何が起こっているか理解した。
「……これ、精霊たちが──繋がってる……?」
ただ魔力が溢れてるだけじゃない。
感情、思考、その全部が一つに重なろうとしている。
「これが……ルミナの残した力……?」
胸の光がひときわ強く輝いた瞬間。
俺は確信した。
「《精霊共鳴》……!」
名を口にした途端──
視界が一瞬、白く染まった。
ミルの風が、優しく背を押す。
ゼルフィアの雷撃が、心臓を鼓舞する。
ノワールの闇が、迷いを取り払う。
三人の力が、俺を中心に一つになった。
「……っ、これ……最高じゃねえか!」
胸の光がポンッと弾け、夜空へと消えていった。
その余韻と共に、ルミナの声がまた響く。
『ありがとう……』
笑っているような、泣いているような声。
「こっちこそだよ。あの日、助けてくれて……ありがとう」
小さく息を吸う。
そして吐く。
「必ず証明する。精霊は仲間だって。お前が信じた未来を、俺が掴んでみせる!」
夜風が答えるように葉を揺らす。
ミルが俺の肩にのって笑う。
「うん!レオンなら絶対できるよ!」
ゼルフィアも微笑む。
「我々は……お前の力だ」
ノワールが静かに言った。
「行こう。君の光は、まだ終わっていない」
俺はぎゅっと拳を握る。
──もう逃げない。
──もう失わない。
仲間と一緒に、前へ進むだけだ。
◆
だが同時に、森の奥で不穏な気配が動く。
「レオン!魔力反応……大量接近ッ!!」
敵が来る。
こんな場所で止まっていられない。
俺たちは闇へと駆け出した。
新しい力と共に。
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