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精霊契約でパーティー追放されたけど、今さら戻ってこいとか言われても遅い!  作者: 夢見叶
第4章 精霊協会と隠された真実

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第14話 崩壊する塔

塔の最上階へ駆け上がった瞬間、視界を埋め尽くすほどの巨大な精霊結晶が暴走していた。

紫光の稲妻が空間を裂き、床はうねり、壁の文様が悲鳴のように歪んでゆく。


「……ルミナ!」


俺の胸元に宿っていた小さな光が震え、か細い声で訴えた。


――こわい……こわいよ……


「大丈夫だ。俺が、ここにいる!」


だが俺の言葉なんて、暴走した魔力の嵐に掻き消えてしまいそうだった。


研究員たちは次々と逃げ出し、足元で瓦礫が落ちる音が響く。

その中でアステル協会長は、暴走する結晶を前にしても逃げず、

いや、逃げられず――歪んだ笑みを浮かべていた。


「すばらしい……! 完璧な力だ……!もはや心など不要、人間の理によって統べられる存在!」


「――ふざけるな!」


俺は叫び、アステルの胸倉を掴む。


「痛いかどうかも分からない、そんなものは精霊じゃない!」


「だからこそ、道具として使えるのだ」


アステルは薄く笑い返した。

その瞳には、尊厳の欠片もなかった。



結晶から発せられる光が、さらに強まる。

このままじゃ――塔ごと吹き飛ぶ。


突然、胸元の光が俺の手を引くように動いた。

ルミナが、俺の掌の上に降り立つ。


小さな……本当に小さな女の子の形。

その輪郭は薄く儚く、今にも消えてしまいそうだった。


「レオン……ありがとう。あなたのおかげで……私は、私を思い出せた」


震える声。

彼女は俺の指先をそっと取る。


「ごめんね。あなたの光になれたのに……一緒には、行けない」


「やめろ……そんな言い方、やめろよ!」


叫んだ俺の声に、ルミナが静かに首を振る。


「私が……止めなきゃ。みんな……壊れちゃう」


ニコ、と。

小さすぎる笑顔を、俺に向けて――


――彼女は結晶の中心へ飛び込んだ。


「ルミナあああああああああ!!」


魔力が炸裂し、世界が白く塗り潰される。



轟音。

閃光。

そして。


……静寂。


巨大だった精霊結晶は、ただの透明な破片となって床に散っていた。

塔の揺れも止まっている。崩壊は――回避された。


仲間たちの声が聞こえる。


「レオン! 生きてる!?」

「無茶しすぎだぞ!」

「……あいつ、やりやがったのだ」


振り返る暇もなく、俺は膝をつき、瓦礫をかき分ける。


――ルミナは……?


光の欠片が、ひとつ。

俺は震える手でそれを拾い上げた。


温かい。

涙が、落ちた。


「……忘れない。絶対に……忘れない」


精霊は道具じゃない。

心がある。

感情がある。


なら――俺はその声を守る。


どんな力を使ってでも。


アステルを睨む。

彼は瓦礫に埋もれ、薄く笑いながら呟いた。


「やはり……君は偉大だ……歴史に名を刻む、最強の契約者だ……」


その言葉は、呪いに聞こえた。


俺は光の欠片を握りしめ、立ち上がる。


「俺は、お前の理想なんかに従わない。精霊は――仲間だ」


崩れかけた階段を仲間と共に駆け下りる。

背後で塔が軋み、火花が散る。


闇夜の外へ飛び出した瞬間、冷たい風が頬を打った。


……涙を隠すには、少しだけ都合が良かった。


俺は握る。失われた光の証を。


そして誓う――


今度は俺が、精霊を救う。

友達を守る。そのために戦う。



夜空には、まだ雷鳴が残響していた。

まるで、彼女の声が消えていないと告げるように。

 最後までお読みいただきありがとうございます。


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