第12話 脱出の奇跡
「ここまで来たら――やるしかねぇ!」
俺――レオンは、ぐらつく意識を無理やり引き戻し、拘束具に繋がれたカイへ手を伸ばした。
彼は額から汗を垂らしながら、魔封装置を睨みつけている。
巨大な魔力抑制塔。その中心で禍々しい光が渦を巻いていた。
「逆転起動……できるのか?」
「原理は……たぶん……逆にすればいいだけ……」
「たぶん!?」
「うるさい、俺を信じろ!」
カイは震える指で魔法陣に触れ、歯を食いしばった。
その刹那――。
「闇は我らを覆い隠す。ノワール、いくぞ!」
俺の呼びかけに、影からひらりと黒猫の姿が飛び出した。
精霊ノワールは尻尾をぶん、と振り、空間に濃厚な闇が広がる。
◆
「キュイーンッ!!」
甲高い金属音と共に、魔封装置が逆回転を始めた。
封印された魔力が、逆流して俺たちの身体に帰ってくる。
「ッ……! 全身が熱い……!」
「成功したんだよ! 文句言うな!」
カイが叫ぶと同時に、拘束具が弾け飛んだ。
「よっしゃああああ!!」
俺が叫ぶと、ミルが風の精霊の翼をひろげて笑う。
「脱出なら、ミルにおまかせですー!!」
「ちょ、待てミ――」
「風の道――フルパワー!!」
――ドゴォォォォン!!!
俺たち全員、塔の外に向けて 吹っ飛ばされた。
「ぐぇぁぁぁぁああ!!」
「ひゃっほおおおお!!」
「ミル!! 出力!! 出力間違ってるぅぅぅ!!」
「風って……怖い……」
(カイ、白目)
◆
ゴロゴロゴロゴロッッ!
石造りの廊下を転がりながら、ようやく停止。
起き上がると――ルミナが不安そうに俺の肩を叩いた。
「……レオン。なんか……光が、勝手に……」
「え?」
ルミナの手が淡く輝き、床に刻まれた魔法陣がビキビキと割れた。
「ちょ、おま――」
「ピカァァァァァッ!!」
塔全体が光り、警報が鳴り響く。
『警告、魔力暴走。対象を確認せよ!』
「やべぇ!!」
カイが泣き叫ぶ。
「なんで起こすんだよおおお!? ただでさえヤベェのに!!」
「わ、わたしのせい!?」
「いや可愛いから許す!! 今は走れ!!」
◆
ドタドタドタドタ!!
精霊たちを連れ、階段を一気に駆け下りる。
その間も、警備兵が次々と押し寄せてくる。
「いたぞ!! 捕えろ!!」
「ノワール!」
影が伸び、兵士たちの視界を包み――
ズバババッ!!
その隙に俺たちは風に押され、逃げる!逃げる!
「はぁ……はぁ……もう無理……」
階段を走りきった俺が膝に手をついた瞬間。
「レオン!」
ミルが両腕を広げる。
「風の道、第二弾!」
「絶対にやめろぉぉぉ!!」
――バシュゥゥゥン!!
俺たちは再び空へと飛翔した。
「ぎゃあああああああ!!」
真夜中の首都の上空に、大量の悲鳴が響き渡る。
◆
なんとか着地――というか、落下した。
砂埃を上げて転がる俺たちに、ゼルフィアが衝撃波を張って止めを刺す。
いや助けてくれた、のか?
「なんとか……逃げ切れましたね……!」
カイが地面に突っ伏しながら笑う。
俺は息を整え、仲間たちを見回す。
誰も欠けていない。
それだけで、胸が熱くなる。
「よし――次は追って来る奴らを倒して突破するぞ」
ゼルフィアが大きな雷槍を形成し、ニヤリと笑った。
「来るみたいですね」
遠くから、鎧の金属音が迫る。
「レオン、ボクたち、また戦う?」
ルミナが震える手で俺の袖を掴む。
俺はその小さな手をしっかり握り返す。
「ああ――仲間を守るために」
闇がうねり、雷光が唸り、疾風が吹き荒ぶ。
「みんな、準備はいいか!!」
「「「当然!!!」」」
敵部隊が視界に現れた。
迎え撃つように、俺は剣を構えた。
――俺たちは、絶対に負けない。
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