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精霊契約でパーティー追放されたけど、今さら戻ってこいとか言われても遅い!  作者: 夢見叶
第4章 精霊協会と隠された真実

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第10話 禁忌の真相



 目を開けた瞬間、息が詰まった。

 両腕は冷たい台に固定され、身体中に絡みつくのは黒い鎖のような魔力。引っ張るほどに、神経に棘を刺すような痛みが走る。


 俺の視界の中央――白衣の男が悠然と立っていた。

 精霊協会長、アステル。


「目覚めましたか、レオン=アークライト君」


「……てめぇ……」


 声を出すだけで喉が痛む。魔力が逆流してる――?

 鎖が俺の魔力を吸い、逆に肉体へと無理やり押し戻している。


「それは魔力逆流拘束。精霊と結びつく力が強い者ほど、苦痛を覚える」


「俺たちを……どうする気だ」


 アステルは眼鏡を押し上げ、表情一つ変えずに言った。


「君の体内に存在する複数契約の理。それを解き明かせば人類は一段階、進化する。

 そのために――精霊との繋がり、そのすべてを観察させてもらう」


 言葉は穏やか。でも笑っていない。

 その目は、研究対象を見るそれだ。


「進化だと? 笑わせんな……!」


「感情は不要です、精霊にとっても」


「感情があるから……精霊なんだろ!」


 鎖がきしむ音。

 反抗すればするほど、痛みが走る。心臓を握られたみたいな、冷えた感覚。


 俺の後ろ側から、別の声が聞こえた。


「ひっどぉ〜い……レオンをこんなに痛めつけるなんて!」


「ミル……!」


 振り返れないけど、声でわかる。

 ミルもカイもノワールも拘束されているようだ。


 ミルは震える声を上げた。


「アタシ、嫌いだよ……精霊を道具みたいに扱う人間……!」


「道具ではない。資源だよ」


 アステルの返答は淡々としていた。

 だからこそ余計に、怒りが煮えたぎった。


「感情を持つ存在を……資源呼ばわりかよ!」


「感情があるから、錯乱し暴走する。だから人間が制御する必要があるのです」


 その瞬間、ミルの魔力が跳ね上がった。


「レオンを……苦しめるなぁぁあああああ!!」


 稲妻と光の奔流が尋問室を飲み込む。

 拘束具が軋み、周囲の兵士が吹き飛ぶほどの魔力だ。


 しかしアステルは静かに片手を掲げた。


「封印、発動」


 ミルの光は一瞬で潰された。

 逆流――いや、搾取だ。

 ミルの体が崩れ落ちる音が聞こえる。


「ミル!!」


「……っ……レオンの……ところ……い、かせてよ……」


「感情は、実に不安定だ」


 アステルの声は、まるで観察結果を述べるようだった。


「ミルに触るな……!これ以上……ふざけたことを……!」


「まだ理解できないようですね」


 アステルの瞳が、冷たい光でこちらを照らす。


「精霊は、人類繁栄のために利用されるべき存在なのです」


「違う……!

 俺たちは共に生きるって……約束したんだ……っ!」


「では証明してみせなさい。感情が、知能が、いかに力になるのか」


 アステルは楽しげに指を鳴らした。


「では、実験を続けましょう。壊れてしまわぬよう、慎重にね」


「お前……!」


 ミルの意識がない。ノワールも鎖で影を引き裂かれ、苦しみを噛み締めている。

 カイのうめき声が聞こえる。研究者たちがその様子を記録している。


 俺の中で、何かが音を立ててきしんだ。


 こいつらは、精霊を。仲間を――。


「全部……殺してる……!」


「君は、危険な芽だよ。いずれ歴史の悲劇を繰り返す」


 引きずられながら、俺は叫んだ。


「精霊は……道具じゃねえ……!!

 俺たちは……仲間なんだ!!」


「その信念ごと、解析させてもらいましょう」


 扉が閉じ、視界が闇に塞がれる。


 そこで聞こえた。


『……たすけて……』


「誰だ……?」


 暗闇の中、かすかな光が震えている。


『……わたし……壊される前の……わたし……』


 その声は泣いていた。

 俺の指先が、勝手に伸びていた。


「大丈夫だ……絶対に助ける」


 光がそっと、俺の指を包んだ。


『ありがとう……契約者さん……』


──その瞬間、小さな契約紋が胸内に灯った。

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