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精霊契約でパーティー追放されたけど、今さら戻ってこいとか言われても遅い!  作者: 夢見叶
第3章 雷鳴の都と導きの魔導士

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第17話 戦いの後に


炎と雷が衝突していたあの瞬間の残響は、まだ耳に残っていた。

焦げた瓦礫から立ちのぼる熱気は、ダリオの炎の名残だ。


――死闘だった。


◆ 回想:雷炎衝突の記憶 ◆


『レオン、お前だけは……絶対に越えさせないッ!!』


血走った目。

あの時のダリオの顔が脳裏に焼き付いている。


『もう負けない……ミルも、カイも、守るために!』


拳を、剣を、雷そのものを交えた衝撃が、骨に刻まれている。


――俺は本当に、ダリオに勝ったのだろうか?


倒れた彼の視線は、悔しさでも恨みでもなく――

どこか寂しさを含んでいた。


その余韻が、今胸の奥でずっと疼いている。



「レオン!本当に、ありがとう!!」


瓦礫の中を片付けていた住民たちが駆け寄ってくる。


「レオンさんのおかげで、俺たち生きてるんだ!」

「また、ここに立ち直れる……!」


俺は苦笑して頭を下げた。


「いや、俺だけじゃない。みんなが踏ん張ったから、守れたんだ」


でも、胸が少し熱くなる。

自分の力が誰かを救った。

それがこんなにも、嬉しいなんて。



「レオーン!瓦礫運び、手伝ってぇー!」


ミルの声が響いた。


振り向けば、子どもたちに抱きつかれ、腕を引っ張られている。


「ミルちゃん!また雷の魔法見せて!」


「ダメだよ!レオンがすごすぎて私、全然見せ場なかったんだから!次は絶対、私が主役なんだからね!」


むくれながらも笑うミル。

その笑顔が見れるだけで――俺は負けなくてよかったと思える。



一方で――カイは全身汗まみれになりながら魔導障壁の再構築を続けていた。


新たな輝きを帯びる結節点に触れながら、息を荒げている。


「カイ、大丈夫か?無理してるだろ」


「はぁ、はぁ……無理してるよ。でもね、レオン。今日ここで僕が踏ん張らなかったら、君の戦いが無駄になる」


顔を上げたカイの瞳は、涙すら光っていた。


「僕は……君と一緒に戦った仲間でいたい。誰かに守られるだけの、情けない僕じゃいたくないんだ」


俺は言葉を失った。

そんな想いを抱いていたなんて――


「お前は十分に戦っていた。俺はそれをちゃんと見ていたよ」


「っ……ちょっと、それ反則だよ」


耳まで真っ赤にして、そっぽを向くカイ。

けど、震える指の先で魔導陣を描く動きは止まらなかった。



夜の空は、まだ雷雲の残り香を抱えている。


瓦礫の丘の上、ゼルフィアが一人で風に髪を揺らしていた。


「もう行くつもりなのか?」


「私は雷の精霊。この街を守るための使命は、ひとまず果たされた」


横顔は寂しげだった。

俺が近づいても視線は空に向けたまま。


「レオン。お前はやがて、もっと巨大な力と向き合うことになる」


「大袈裟だって。俺はただ……」


「ただ?お前はただの少年ではない。写し取る者――それは精霊すら例外ではない」


胸の奥が冷たくなる。


ダリオの最後の視線が、また疼く。


ゼルフィアが俺を見る。

銀の瞳に、雷光が宿る。


「雷鳴が鳴る時――私はお前を見つめている」


「……ずいぶんと、見守り方が物騒だな」


「フッ。人間はどうしてそう、照れると茶化す?」


ふわりと笑い、彼女の姿は雷とともに消えた。



「レオン!」


ミルが走り寄ってくる。

その手には、焼け焦げた髪飾り――


俺が、ダリオの炎から庇った時に焦がしたやつだ。


「これ、ボロボロだよ?でも……レオンが守ってくれた証だから、捨てない」


胸が痛いほど熱くなる。


「あの時、怖かったよ……レオンが燃えちゃうんじゃないかって……」


震える声。

そっと、俺はミルの肩に手を置いた。


「もう大丈夫だ。これからも、絶対に守る」


ミルは目を潤ませ、でも笑った。


「じゃあ……絶対に、離れないでね」


その言葉に、俺は強くうなずくしかなかった。



街は傷を負いながらも、息を吹き返し始めている。


そして俺たちも――

次の試練を迎えようとしていた。


――これは、終わりじゃない。

これは、始まりだ。

 最後までお読みいただきありがとうございます。


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