第16話 友情と嫉妬の狭間で
炎と雷が衝突すると、夜空が悲鳴を上げるように震えた。
地面は赤く焼け、空気には焦げた金属の匂いが漂っている。
「立てよ、レオン!!」
ダリオが咆哮と共に剣を振り下ろした。炎が噴き荒れ、俺の全身が焼かれる。
「ぐっ……!」
気を抜けば一瞬で灰。
それほどの力を、ダリオは手にしていた。
ミルが後ろから叫ぶ。
「だ、ダメだよレオン! 一回距離取らなきゃ!」
「下がれ、ミル! 巻き込まれる!」
必死に彼女を守りながら、俺は雷を纏わせた腕で攻撃を受け止める。
「離れるなッ! お前がいつもそうやって――俺から遠ざかっていったんだよ!!」
ダリオの声が、怒りに滲む。
それは、憎しみというより……悲痛な叫びに似ていた。
「……遠ざかってなんかない!」
叫び返しながら、俺は雷を全身に走らせる。
「俺は、いつだって――お前の背中を追いかけてた!」
「ははっ……強くなったな、レオン。でも俺だって……!」
炎が黒く濁る。
まるで嫉妬の感情が、そのまま力になっているようだった。
「羨ましかったんだよ……!いつだってお前は……皆に必要とされて……!」
その瞬間、ダリオの炎が爆ぜる。
視界が真っ赤になり、耳鳴りが轟いた。
「俺は……一人じゃ何もできない落ちこぼれだった!なのにお前は――精霊なんてものに選ばれて!」
炎帝の紋章が輝き、黒い炎が天へ伸びる。
「俺は……!お前になりたかったんだよォォッ!!」
「ダリオ……」
胸が痛い。
悔しさ、嫉妬、孤独――全部、俺にもある感情だ。
「お前は強いよ。俺はいつも、追いつけなかった」
雷が静かに収束し、俺の声を運ぶ。
「だから……置いて行かれたのは俺の方だ」
ダリオの動きが止まる。
黒炎が揺らぎ、迷いを映した。
「……嘘つけよ」
「嘘じゃない。お前と、ずっと並んで戦いたかった」
「……っ」
一瞬だけ、炎が弱まる――
だが、嫉妬は簡単には消えなかった。
「だったら証明してみせろよ!!俺より強いってことを!!」
黒炎と雷がぶつかり合い、巨大な光球が生まれた。
空全体が裂けるような轟雷。
街の魔力障壁が悲鳴を上げる。
「レオン! 危ないよ!」
ミルの震える声。
俺は彼女の手を握り、振り返らずに叫ぶ。
「信じろ、ミル! 俺は……俺たちは――負けない!!」
雷が爆裂し、体中に熱が走る。
痛い、苦しい――でも。
「俺は……お前を救いたい!」
「黙れええええッ!!」
炎帝の加護、その頂点。
黒い炎翼が大きく広がり、ダリオが空へ踊り上がる。
なら――応えるしかない。
「ゼルフィア!」
『言われずとも。雷はお前の中にある』
背中に雷翼が展開する。
風が巻き、雷が吠える。
二人の軌道が交差する。
刹那、衝突。
――ドオオオオオォォォン!!
世界が弾け飛ぶ衝撃。
光が消えたとき。
ダリオは地に崩れ落ちていた。
「……情けねぇな、俺は……」
「そんなこと、ない」
ダリオの肩に触れると、彼は目を伏せて震えた。
「俺を……まだ友達って呼ぶのかよ」
「当然だ」
「……次は負けねぇからな」
黒炎が彼を包む。
強制転移――協会の術か。
「ダリオ!!」
手を伸ばすが、掴めない。
最後に、彼は確かに笑っていた。
「追いついてこいよ……レオン」
炎が消えた。
俺の膝から、力が抜けた。
「レオン!」
ミルが抱きついてくる。
温度のある腕、震える体。
「よかった……ほんとに……生きてて……!」
「泣くなよ、ミル……」
「泣いてないもん!!」
街は静かになった。
夜明けの風が、焦げた空気を撫でていく。
――俺たちの戦いは、まだ終わらない。
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