第12話 融合契約(デュアルリンク)
雷塔が轟音を立てて稲光を噴き上げる。
空気が震え、雷都全体を恐怖が包んだ。
「レ、レオン……あれ、やばくない……?」
ミルが尻尾を膨らませ、レオンのマントをぎゅっと掴む。
隣でカイが剣を杖代わりに立ち上がった。
「はぁ……はぁ……悪い。俺もうあんま動けねぇ……けど……!」
「カイは下がってろ。ここからは――俺たちがやる」
レオンは一歩前へ。
雷の使徒が、嗤いながら紫電を指先に集めていた。
「神器を差し出せ。さすれば苦しまずに済む」
「こっちは苦しんででも守りたいもんがあるんだよ」
「レオン、かっこいい……!」
「お前はまず落ち着けミル」
しれっと感動してくるミルにツッコミを入れる。
だが手は震えていた。
――怖いさ。でも退けない。
「来い、無能。雷が貴様を灰に変える!」
敵が地を蹴った瞬間。
「ミル!」
「う、うん! 風属性リンク!」
ミルがレオンの背に飛び乗る。
風が奔り、身体が軽くなる。
「あはっ! 風パンチ、いっぱい出すからね!」
「頼もしいよ」
だがその風の中へ――別の声が滑り込んだ。
『レオン。今のままじゃ足りないわ』
「ゼルフィア!」
『私を、忘れてもらっては困るわね?』
肩に現れた妖雷の女は、余裕の笑み。
ミルがぷーっと頬を膨らませる。
「ずるい! 今いいとこなんだから!」
『あなた一人の力じゃ雷に勝てないと言ってるのよ』
「なっ!? ミルの風パンチは世界一だよ!」
『可愛い言い訳ね』
「うー!!」
一触即発な神器ふたり。
レオンは苦笑いして割って入る。
「ケンカしてる場合じゃない。――二人とも、力を貸してくれ」
ミルがレオンを見つめ、ふっと真剣な顔に。
「レオンがお願いするなら……ミル、全力! 友達だもん!」
ゼルフィアも腕を組み、視線を合わせる。
『友達……ね。そう、あなたは私の契約者。なら――見せなさい、あなたの器を』
レオンは深く息を吸い、叫んだ。
「リンク――融合契約!!!」
風と雷の魔法陣が重なり合い、爆光が走る。
「ミル! ゼルフィア!」
「行くよレオン!!」
『全てを断ち切りなさい!』
「――風雷融合ッ!!」
一瞬、雷光すら置き去り。
次の瞬間、雷の使徒の背後へ回り込んでいた。
「なっ……ぐあああああああ!!」
雷塔に叩きつけられ、石が弾け飛ぶ。
「まだ終わらせない!」
レオンが追撃へ走り――
ミルの風とゼルフィアの雷が拳へと集束する。
「これが……俺たちの力だァッ!!」
拳が敵の紋章を砕き、紫電が四散した。
雷塔の光が消え、黒雲が裂け、青空がのぞく。
勝った――。
「や、やった……の?」
ミルが震える声で尋ねる。
「みたいだな」
レオンが微笑むと――
ミルが涙目でぎゅっと抱きついてきた。
「レオン……怖かったぁ……!」
「俺もだよ。……でも、大丈夫だ」
その光景を、カイが苦しげに笑いながら見ている。
「まったく……お前、どこまで強くなるんだよ……英雄様じゃねぇか……雷鳴の英雄ってな……」
「やめろよ、そういうのは」
照れたレオンに、ゼルフィアがくすりと笑う。
『英雄ね……悪くない称号じゃない』
「ゼルフィアまで……」
そんな掛け合いもつかの間――
レオンは空を見上げた。まだ雷の匂いが残っている。
「終わってないんだな……」
『ええ。本当の災厄は、まだこれから』
レオンは拳を握る。
「それでも。何度でも守る。この街も、仲間も――全部」
ミルが満面の笑顔でうなずく。
「ミルも! ずっと一緒に守る!」
カイが安堵しながら目を閉じた。
「頼もしいこった……」
雷都に、英雄が誕生した瞬間だった。
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