第10話 襲撃!雷の使徒
雷都の夜空に、千切れた稲妻が奔る。
闇市場の天井に吊り下げられた魔導灯が次々と破裂し、紫煙が視界を覆った。
「レオン!来るよ!」
ミルが風を纏って前へ躍り出る。
その肩が小刻みに震えているのがわかる。
ここには恐怖だけじゃない、怒りがある。
だって――檻に吊られているのは、
燃料として売られる雷精霊たちの、か細い光。
《……たすけ……》
弱々しい声が、俺の胸を締めつける。
「精霊を……物扱いするなんて……!」
拳を握ると、ノワールが影から姿を現した。
「怒りはいい。だが、頭は冷やしておけよ」
「……ああ。ありがとう、ノワール」
言葉を交わした瞬間。
空間そのものが落雷した。
轟音。閃光。
そして――黒衣の者たちが現れた。
全身に雷紋刻まれた、黄金の仮面。
「……雷使徒団……!」
先頭の仮面が静かに告げる。
「精霊協会の管理下にある実験場へ、勝手に立ち入るとは」
「実験……? これがか!」
ミルが噛みつくように叫ぶ。
「精霊は……人間のおもちゃじゃない!!」
「下位存在の悲鳴に価値はない」
ノワールが低く唸った。
「言ってくれるねぇ……」
俺は双剣を抜く。
右に風刃、左に影刃。
「こっちから行くぞ!」
「うんっ!」
「了解だ」
ミルとノワールが両脇に展開。
戦闘が始まる直前。
俺の背後で震えた声がした。
「レ、レオン君……!」
振り返ると、カイが顔を青ざめさせて立っていた。
「協会直属の戦闘部隊……! まずい……この人数、僕らだけじゃ……!」
その声には、恐怖だけじゃない。
理解してしまっている者の焦り。
だからこそ――
「カイ。ありがとう。君がいて助かった」
「……!」
「ここからは、力を貸してくれ」
「……ッ、わかった!分析は任せて!」
雷使徒団が一斉に雷撃を放つ。
ミルが叫ぶ。
「レオン!リンクするよ――!」
「ああ! 精霊連結――風影連結・疾影!」
風が俺に速度を与え、影が俺を隠す。
一瞬で仮面の懐に飛び込み、双剣が雷刃を弾く。
火花。衝撃。
雷の熱が腕を焦がす。
「くっ――!」
「レオン、後ろ!」
ミルの叫びと同時に、雷撃が背中へ迫る。
影が広がり、ノワールが防いだ。
「油断するなよ。お前は狙われてんだ」
「わかってる……ありがとう」
そのとき。
カイが前に出た。
「僕だって……守れる……! 雷相殺陣!」
魔法陣が光り、雷が霧散。
カイの震える拳が、はっきりとした覚悟を示している。
「君のやり方は……美しい。それを汚す奴らを、僕は許さない!」
俺は息を呑む。
(この街の誰よりも……精霊を理解できるのは……)
(感情を持つ……彼なのかもしれない)
使徒団の一人が嘲る。
「感情に溺れた者たちよ。愚かさごと――消えろ」
──大地が揺れた。
闇市場の地下から、膨大な雷魔力が噴き上がる。
「っな……!?」
カイが青ざめながら叫んだ。
「中枢装置が暴走を……!このままじゃ街全体が――!」
「ミル!ノワール!精霊を助け出せ!」
「任せて!」
「あぁ、すぐ終わらせる」
俺はカイに向き合う。
「カイ、入口を閉じろ。雷使徒団を足止めだ」
「……僕が囮になるのか」
彼の瞳に、わずかに恐怖が宿る。
「すまない……だが――」
「謝るな、レオン。僕は……僕自身の意思でここにいる」
カイが振り返り――笑った。
「君は走れ!ここは僕が止める!」
「カイ……!」
「今、理解したんだ。理論じゃない、願いが……人を動かすって!」
稲妻がカイを囲む。
「行け!! レオン!!君じゃなきゃ、救えないだろう!!」
胸の奥が熱く燃えた。
「必ず戻る。絶対にだ……!!」
「期待してる!」
俺は暴走中枢へ全力で駆け出した。
轟く雷鳴の中――
精霊たちの悲鳴が、確かに聞こえた。
(待ってろ……!必ず助ける……!!)
雷都の夜が、怒りに染まっていた。
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