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精霊契約でパーティー追放されたけど、今さら戻ってこいとか言われても遅い!  作者: 夢見叶
第3章 雷鳴の都と導きの魔導士

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第9話:雷都の裏市場

 夜の雷都ヴァルデンは、昼よりも明るい。

漆黒の空を無数の雷光が走り、都市全体が青白く照らされている。

遠くで魔導機関の稼働音が低く響き、眠る気配は一切ない。


「……行くのか、レオン」


 ノワールが俺の隣で気配を潜めながら呟いた。

 その声には、いつもの皮肉だけでなく、警戒と苛立ちが滲む。


「ああ。暴走精霊を使った犯罪……許せない」


 闇に蠢くその実態を見逃すわけにはいかない。

 ミルたち精霊をモノ扱いする連中なんて――絶対に。


 案内役はカイだった。

 彼は魔導ギルドの管制塔に不正侵入し、

 協会の秘匿データを引きずり出したのだ。


「裏市場は、雷都の膿だよ」

「消すべきだが、今は証拠を獲る」


 そう言って、冷静な光を瞳に宿している。


(自分の研究者としての信念と、協会への疑惑……カイも揺れているんだな)



 辿り着いたのは、雷都地下区画。

 腐敗した電気の臭いが鼻を刺し、奥から悲鳴のような魔力。


 入口には重武装した傭兵たち。

 俺たちは装備を隠し、一般客を装って侵入した。


 中はまるで異様な祭りのようだった。

 ランプではなく、捕らえられた雷精霊たちが光源として囚われている。


 檻の中で、泣き叫ぶ小さな精霊。


「きゅっ……!やめっ……つかまれたくないよぉ……!」


 ミルの肩がピクリと震えた。


「ミル、大丈夫か?」


「……ッ、うん。だいじょぶ。でも……悔しいっ」


 小さな拳を握りしめ、涙を堪えていた。


 その隣でノワールの影が不気味に揺れる。


「……レオン。早く殴ろう。制裁は正当防衛だ」


「まだだ。証拠を見つけるまでは」


 そう言い聞かせる俺自身も、怒りに唇を噛んでいた。

 精霊は仲間だ。道具じゃない。



「見て」


 カイが指差した先、黒いテントの中で取引がされていた。


 透明な結晶――精霊のコア。

 中には光の粒が閉じ込められ、かすかに声が漏れる。


「……おう、物資の搬入だ。協会の研究部に直送しろよ」

「へっ、失敗作は闇で捌く。研究費も増えて笑いが止まらねぇ」


 聞き逃せない言葉が降ってくる。


(やっぱり……協会が関わっている)


 俺の拳が震え、怒りで視界が滲んだ。



「おい。そこの兄ちゃん。その精霊、買う気があんのか?」


 粗暴な闇商人が声をかけてきた。

 その男の足元では、小さな雷精霊が震えている。


「助け……て……」


 ぼろぼろの声。

 もう限界だった。


「ミル。ノワール。動くぞ」


「うん……っ!」

「ようやく許可が出たな」


 俺は剣を抜き、男の腕を撃ち払った。


「ぎゃああああ!!な、何しやがる!」


「精霊を解放しろ。お前たちには指一本触れさせない」


 暗闇に雷光が走り、敵が襲い掛かる。

 だが、俺たちの敵ではない。


 手早く制圧していき、檻の鍵を壊す。


「みんな、もう大丈夫だ」


 解放された精霊たちが俺に集まり、涙声で礼を言う。

 ミルはその子たちを抱き寄せ、安心させていた。


 しかしその時――

 背筋を凍らせる威圧が頭上から降りかかる。



 雷鳴。

 それは、落ちてきたのではなかった。

 上空から 歩いて来た。


 白い仮面。

 協会の紋章が刻まれた黒衣。

 全身を雷が走る。


「……雷の使徒サンダーアポストルだ」


 カイの声が震える。

恐れではない。怒りに、だ。


 四人が降り立ち、瞬時に退路が封鎖された。


「精霊を盗み、協会の邪魔をする者ども」

「抹殺対象。抵抗は無意味」


 仮面が無感情に言い放つ。


「協会は……精霊を守る組織じゃなかったのかよ!」


 俺の叫びに、仮面は冷たく応じた。


「守る?違う。利用するのだ。人間の進歩のために――犠牲は必要」


「そんな理屈、認めるか!」


 雷光が迫る。

 だがその一瞬。


 カイが俺の前に飛び出した。


「カイ!?」


「ミル、ノワール!レオンを頼む!」


 叫ぶやいなや、魔導防壁を展開。

 使徒たちの雷撃を受け止め、火花が散る。


「僕が囮になる。レオン、走れ!」


「待て!置いていけるかよ!」


「レオン……君は、精霊を救える人間だ。だから……進め!」


 爆雷の光が、カイの背を照らす。

 その姿は震えながらも、誇りに満ちていた。


「僕は裏切らない――僕の信じた未来を!」


 次の瞬間。

 轟音と共に、視界が弾け飛んだ。



 崩れ落ちる天井。

 無数の光柱。

 雷都全体が悲鳴を上げる。


「レオン!早くっ!」


「ここにいれば死ぬぞ!」


 ミルとノワールに引かれ、俺は走る。

 振り返れば、カイの姿は雷光に掻き消えていた。


「カイーーーーッ!!」


 雷鳴に掻き消された叫び。

 胸を締め付ける痛み。


(助ける。必ず――助けるからな)


 闇市場を脱出したその瞬間、

 雷都全域に轟音が響いた。


 これは――

 ただの事件ではない。


 戦いの幕が、切って落とされたのだ。

 最後までお読みいただきありがとうございます。


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