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精霊契約でパーティー追放されたけど、今さら戻ってこいとか言われても遅い!  作者: 夢見叶
第3章 雷鳴の都と導きの魔導士

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第8話 魔導士カイの提案

雷契約が成立してから、雷都の空はどこか明るく感じる。

いや、街の空気が――俺たちを歓迎してくれているようだった。


ミルは上機嫌に宙をふわふわと旋回し、

ゼルフィアは相変わらず凛として俺を見下ろしている。


「ま、悪くないな。お前には……まだ期待できそうだ、人の子」

「それ褒めてるのか……?」

「褒めている。全力でな」


ツンなのかデレなのかよくわからないが、照れ隠しが激しいらしい。

ミルは「お姉ちゃんが照れてるー!」と嬉しそうに跳ねていた。


その賑やかな時間の中、ひとりだけ、冷静な視線が近づいてくる。


カイだった。


白衣の袖を風になびかせながら、

まっすぐに俺の前に歩み出る。


「レオン。僕を、君のチームに入れてほしい」


「……え?」


まったく予想していなかった言葉に、思わず聞き返してしまった。


「僕は、理論と知識で君たちをサポートできる。情報分析、作戦立案、精霊との魔力干渉実験……どれも君たちに足りない部分だ」


淡々とした口調。

でも、その瞳には消えない焦りと、熱があった。


ミルが前に飛び出し、ビシッと指を差す。


「やーだ! 絶対やだ! また頭でっかちなだけの人間でしょ!」

「偏見だ。僕は……頭でっかちではあるが」

「やっぱりじゃん!!」


俺は苦笑しつつ、カイの表情を観察した。

以前の彼はただの研究者。

精霊の感情など、研究データの一部でしかなかった。


だが――今の彼は違う。


雷契約を目の当たりにして、

世界観が覆された男の眼だ。


「でも、言葉だけじゃ信用できないよな」

「当然だ。だから実戦で示そう」


カイはそう言って指を鳴らした。



雷都の外れにある訓練場。

ゼルフィアが腕を組んで宣言する。


「この男が仲間になるに値するか、試してみるといい」


カイは杖を構えると、俺たちを鋭い目で見た。


「ミル、君の魔力波形は既に解析済みだ」

「な、なにそれ……気持ち悪い!」

「失礼だな、僕はただ研究しただけだ」


ミルの風圧が巻き起こり、俺は剣を握る。

対してカイは魔法陣の数式を組み上げていく。


――勝負開始。


ミルが高速で飛び回り、カイ目がけて突風を放つ。

俺はその隙を狙って間合いを詰めた。


しかし。


「来ると思った」


カイは冷静だった。

地面に展開した雷の罠が弾け、俺たちは一度後退を余儀なくされる。


「僕は直接戦うつもりはない。君たちを最大効率で勝利へ導くのが役目だ」


言葉通り、カイはひたすらサポートに徹していた。

敵の動きを読み、弱点を指摘し、戦場全体を把握する。


そして――


「レオン! 右後方! 放電直後に必ず隙ができる!」


瞬間、俺は跳ぶ。

風の加速が剣を後押しした。


「――ウインドサンダーブレード!」


雷と風の刃が閃き、標的の雷精霊のコアを貫く。


訓練場に響く静かな制止音。


ゼルフィアが小さく頷いた。


「悪くない。こいつを仲間にするのは……賢い選択だ」


「ちぇーっ! やるじゃん……!」

ミルは不満げにしながらも、少し尊敬の色が混じっていた。


カイは深く息を吐き、俺に向かって手を差し出した。


「どうだ?僕を、君の旅路に加えてくれないか」


俺は迷わなかった。


「――これからよろしく、カイ」


手を握り返した瞬間、

ミルの小さな掌が俺の腕に絡む。


「レオンのサポートは、ミルが一番なんだからね!」

「もちろん、風の精霊の力は必須だ。僕はその力を補完する。敵じゃない」


「……ほんとに?」


「もし信用できないなら、ずっと監視していてくれ」


ミルの目がまん丸になり、それから少し笑った。


「変な人間だけど……悪くない!」



加入直後、カイが端末を操作しながら言った。


「まず手始めに――これを暴こう」


光るスクリーンには、

暴走精霊の市場取引データ


それには魔導協会の紋章まで刻まれていた。


「……裏で何が動いてる?」


雷契約が導いた新しい仲間。

そして、見えてきた都市の闇。


ゼルフィアが低く呟く。


「腐敗は……いつも、最も高い場所に潜む」


次の目的地は、

精霊が商品として扱われる地下の世界――


雷都の裏市場。


ついに、俺たちは

この街の真実に踏み込む。

 最後までお読みいただきありがとうございます。


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