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精霊契約でパーティー追放されたけど、今さら戻ってこいとか言われても遅い!  作者: 夢見叶
第3章 雷鳴の都と導きの魔導士

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第6話 ゼルフィアの試練

 雷鳴が天井を震わせ、洞窟の壁に青白い影が揺れた。

 俺の前に立つゼルフィアは、風に靡く銀紫の髪を雷光に照らされながら、まさに嵐の化身のような威圧感を放っていた。


「ミル。貴様がなぜ、下等な人間に仕える?」


 低く響くその声は、嵐の前触れのように冷たい。


「した、仕えてるわけじゃないもん!レオンは……私の相棒だよ!」


 ミルが翼を震わせながら一歩前へ出る。


「私が泣いてたとき、レオンは一緒にいてくれた。道具になんて一度も扱われなかった!」


「綺麗事だ」


 雷がゼルフィアの指先で弾ける。


「人間は、精霊を利用する生き物。いつか必ず、汝の心を踏み躙る」


「そんなこと……!」


 ミルは拳を握りしめ、悔しそうに歯を噛んだ。


 俺も、胸の奥がぐらりと揺れる。

 確かに、そういう人間を見てきた。

 でも――俺は違う。


「ゼルフィアさん。俺は――」


「口を閉じろ、人間。汝の言葉を聞く価値はない」


 一刀両断。

 雷鳴よりも鋭い拒絶。


 ミルは震えながら、それでも俺の前に羽を広げる。


「お願い……レオンを試して。私が信じた人を……信じてみて」


「ミル……」


 ゼルフィアの視線がミルに向けられる。

 その瞳に、僅かだが迷いが宿った。


「……そこまで言うのならば」


 彼女はゆっくりと空へと舞い上がる。

 同時に、洞窟全体が戦場へと変貌した。

 雷と風が渦巻き、空気は張り詰める。


「この試練を受けよ。風と雷――混じり合わぬ力を調和させてみせよ」


 閃光。

 足元に雷が突き刺さり、石床が炸裂した。


「成功すれば契約を認める。失敗すれば死ぬのみだ」


「レオン……!やめようよ……!」


 ミルの声は震えていた。

 それでも俺を必死に引き止めようとしている。


「俺は――逃げない」


 怖い。

 生きたい。

 でも――


(ミルを守りたい。精霊が泣く世界を……絶対に許せない)


 俺はミルを抱き寄せた。


「信じてくれ、ミル。一緒に乗り越えるんだ」


「……うん。信じる!だって私たちは……パートナーだから!」


 ミルの魔力が、嵐のように俺へ流れ込む。

 風が俺を包み、雷へと挑みかかる。


 だが――


「うあっ……!」


 雷と風は拒み合い、爆ぜた衝撃が体を裂く。

 激痛が走り、膝が崩れそうになる。


「レオンっ!!」


「まだ……だ!」


 雷の軌跡が俺の肌を焼き、視界は光に飲まれる。

 意識が飛びそうになる――

 だけど。


(ミルが必死なんだ。置いて倒れるわけにはいかない)


「レオン、お願い!一緒に……!」


 ミルが涙を散らしながら叫ぶ。

 その声が――雷鳴を押し返した。


「ミル……俺を導け!!」


「うんっ!!」


 風の精霊の魔力は、俺の腕へと集まる。

 一方で、ゼルフィアの雷がそれに絡みつくように重なった。


 相反する力が、ひとつになろうとしていた。


(受け入れろ……拒むな……!)


「――行くぞ!!」


 俺は叫び、剣を構える。


複合魔法ウインドサンダーブレード!!!」


 風の刃が雷光を纏い、世界を真っ二つに割るような轟音が響く。

 雷雲が裂け、まばゆい光が差し込んだ。


「……!」


 ゼルフィアが瞳を見開く。

 そして、静かに――着地した。


「ここまでとはな」


 その声音は先ほどと違っていた。

 威圧や嘲りはなく、純粋な評価。


「ミル。貴様は確かに良き目を持っていた」


「お、お姉ちゃん……!」


 ミルはゼルフィアの胸に飛びつこうとするが、


「近寄るな。鬱陶しい」


 すっと風に押し返される。


「つ、冷たいよぉ……!」


「ふふ、照れてるんだよゼルフィア!ミル、よかったな」


「うん……!レオン、ありがとう。一緒に頑張ってくれて……本当にありがとう」


(ミルが……笑っている。それだけで救われる)


 ゼルフィアは俺の前に歩み寄り、問う。


「名は?」


「レオン=アークライト」


「覚えておこう。――我が契約者の名として」


 彼女の指先が俺の額に触れる。

 暖かい雷が体内へと流れ込む。


「風と雷の調和を示した者よ。今より汝は――我が主である」


 その言葉に、背筋が震えた。

 誇りと責任がのしかかる。


 ミルは俺の腕に抱きつき、満面の笑みを向ける。


「レオン!私たち、すごいよねっ!?」


「ああ。すごいのは――ミルだよ」


「えへへぇぇぇ……!!」


 ミルは嬉しさでバタバタと宙を舞った。


「姉妹で同じ主に仕えることになろうとは……皮肉なものだ」


 ゼルフィアは横を向くが、その口元はほんの少し――柔らかい。


「これからよろしくな。……ゼルフィア」


「図に乗るなよ、人間」


 雷光の中のその姿は、確かに笑っていた。

 最後までお読みいただきありがとうございます。


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「今後どうなるのっ……!」


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