第1話 雷都ヴァルデンへの旅立ち
ギルドの祝宴から一夜明け――
俺たちは、早くも次の依頼を受けることになった。
ギルド長エドガーは酔いも残っていないらしく、朝から豪快に笑っていた。
「Bランク昇格、おめでとよ!……で、だ。お前らにしか任せられねぇ仕事がある」
「いきなり遠征ですか?」
「雷都ヴァルデンに向かってもらう。雷精霊たちが荒れてるらしい。協会も動いてやがる」
エドガーの表情が少しだけ曇る。
「……精霊協会は、綺麗ごとだけで成り立ってねぇ。気をつけろよ、レオン」
俺は息をのみながら、しっかり頷いた。
「わかりました。行ってきます」
◆
道中――空が突然轟いた。
「ひゃっ!? な、なんで空が怒ってるのぉ!?」
ミルが耳を塞いで飛び上がる。
「お前のテンションにイラついているだけだ」
ノワールは冷ややかだ。
「ひ、ひどい! ノワールは優しくないっ!」
「お前に優しくしたら、調子に乗る」
「乗らないっ! ちょっとだけなら乗るけどっ!」
……いや、乗るんかい。
俺は苦笑しながら二人の頭を軽く撫でた。
「大丈夫だ、ミル。雷精霊が遊んでるだけだよ」
「ほ、本当……?」
「もし危なくなっても、俺が守るから」
ミルはぱぁっと明るい笑顔を見せる。
セリナはそんなやりとりを見つめ、ふふと嬉しそうに微笑んだ。
「レオンさんの言葉、あったかいですね」
胸が少しくすぐったくなる。
◆
都市が見えてきた瞬間、言葉を失った。
空一面に広がる雷雲。
常に走る稲光。
巨大な塔が雷撃を吸い上げ、街全体へと魔力を循環させている。
「すごい……これがヴァルデン……」
セリナが息を呑む。
「うわっ、空がピカピカ鳴ってるよ!?」
ミルがはしゃぐ。
「鳴っているのは、お前の頭の中だろう」
「なっ!? また言った!」
騒がしい。でも、その賑やかさが心地いい。
俺は思う。
追放されたときには想像もしなかった未来が、今ここにある。
◆
街を歩くうち、耳に入る噂話は不穏なものばかりだった。
「最近、雷精霊が狂暴になってきてるらしいぜ」
「魔導塔も誤作動続きだとよ。怪しいな……」
ノワールが眉をひそめる。
「精霊と魔導技術……相性はいいが、均衡が崩れれば崩壊の引き金だ」
「……嫌な感じだな」
風を感じる。
ミルの羽ばたきが、どこか落ち着かない。
そのときだった。
遠くの塔が、心臓の鼓動みたいに光った。
ドン……ドン……
鼓動は次第に速くなる。
「なんだ、あれ……」
「雷環の塔。雷都の心臓部です」
セリナが不安そうに呟いた。
風精霊も、影精霊も、光精霊も――
不安のざわめきを隠さない。
◆
「まずはギルドへ行き、情報を整理しましょう」
セリナの提案に頷く。
目的地――雷環の塔。
そこには、俺たちを待つ視線があった。
最上階のバルコニー。
青いローブの青年が、静かにこちらを見下ろし笑みを浮かべている。
「来たね。三精霊の共鳴者――レオン=アークライト」
……まるで、すべてを理解しているかのような眼差しで。
俺は息を呑む。
ただの遠征では終わらない。
この街で――
俺はまた、新たな力の意味と向き合うことになる。
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