第15話 精霊たちと、新たな旅立ち
空は、燃えるような茜色に染まっていた。
戦いの傷跡が残る大地の匂いも、今は穏やかな夕風がさらっていく。
俺――リオンは丘の上に立ち、遠くに霞む王都の城壁を見つめた。
あそこを追われた日。何も持たず、何も誇れず、たった一人だった俺は、もうどこにもいない。
「……本当に、終わったんだな」
ぽつりと零す。
その声に、ミルがぱっと振り返った。
「うんっ! リオンが全部守ったんだよ!イリスさんも、みんなも! すごいよ!」
小さな手で、俺の手をぎゅっと握る。
その温もりが、胸の奥まで届いた。
「感傷に浸るのはあとにしろ」
ノワールが尻尾で俺の背を軽く叩く。
「まだ道は続く。……主なら分かっているだろう?」
いつもの皮肉混じりの声だけど、その目は優しい。
不器用なやつだ。
「リオン」
セリナが歩み寄り、少し迷ったあと、俺の隣に並んだ。
「……あなたがいなければ、私は今ここにいない。本当に、ありがとう」
その静かな言葉は、誰よりも重かった。
救ったつもりで、救われていたのは俺のほうだった。
視線を上げる。
風の音が強まり、影が寄り添い、光が揺らめき始める。
――呼応。
精霊たちとの心がひとつになる感覚。
「来る……!」
ミルの足元から風が舞い、ノワールの足下から黒い影が広がる。
セリナは胸元で祈るように手を組み、淡い光を放った。
スピリット・リンク:トリニティ
精霊三位一体――俺たちの共鳴魔法が、自然と発動した。
丘一帯が柔らかな輝きに包まれ、風が歌い、影が躍り、光が未来を照らす。
俺たちの絆が形になった瞬間だった。
「わぁぁ! きれいだよリオン!!」
「ふん。主と一緒ならば、この程度容易い」
「……次も、その次も。一緒に進みましょうね」
三者三様の言葉が、胸に刺さる。
全部が嬉しくて、全部が誇らしい。
俺は拳を握り、空へと向けた。
「追放されてよかった――」
それは、かつての俺には絶対言えなかった言葉。
「今なら胸を張って、そう言える」
悔しくて、情けなくて、泣いた夜があった。
力がなかった自分を何度も呪った。
でも、あの絶望があったから、今の俺がいる。
「じゃあじゃあ次はどこ行こー!?おいしいものあるとこ! すっごい景色のとこ!雷とかゴロゴロしてるとことか!」
「お前、伏線を露骨に口にするな」
「ぷぎゃッ!? ノワールの尻尾冷たいっ!」
笑い声が広がる。
こんな時間が、ずっと続けばいいとすら思った。
――けれど。
心のどこかで、次の嵐が近づいているのを知っている。
「行こう、みんな」
前を向く。
俺たちが次に向かうのは――雷鳴が轟く都「ヴァルデン」。
「俺たちの冒険は、まだ……始まったばかりだ!」
「「「おーっ!!!」」」
夕陽を背に、俺たちは歩き出す。
風と影と光と共に。
第2章終了となり次回から第三章雷鳴の都と導きの魔導士の開始となります!
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