第14話 協会からの招待状
夜の祝宴は、それはもう大騒ぎだった。
ギルド中から祝福され、ミルとノワールは好き放題やらかし、
セリナは静かに笑いながら俺の隣に座ってくれていた。
――あの瞬間はずっと続くと思っていた。
しかし、朝の空気はどこか冷たい。
ミルは俺の布団に潜り込んだまま腕を絡ませてきて、
ノワールは枕元から離れず影で包むように守っている。
そんな二人を両脇に抱えたまま身動きが取れず、
「……重い」
と呟く俺に、セリナがくすりと笑った。
「仲良しですね。羨ましいです」
その優しい声に、胸が緩んだ瞬間。
ギルドの使いが慌てた様子で部屋に飛び込んできた。
「レオンさん……すぐにギルド長室へ」
いつもの朝とは違う緊迫感。
眠気は、一瞬で消え去った。
◆◆◆
ギルド長室には、見慣れない封筒が静かに鎮座していた。
銀色の封蝋には、翼を広げた精霊の紋章。
「精霊協会からの召喚状だ。お前に、だ」
ガイルの声が重い。
破封した瞬間、手の中に光が走る。
文字すら威圧感を帯びているような印象だった。
――特別面会を要す
――新たな精霊契約理論の研究対象として協力を求む
――速やかに来訪せよ
研究対象――
その言葉が、心の奥を冷たく抉る。
「何これ……」
ミルが触れた途端、風がざわりと逆立つ。
「協力? 研究?レオンの力を利用する気じゃないの!」
ノワールは静かに、だが凶悪な気配を放ちながら言った。
「主を物として扱う者は、全て影に沈める。例外はない」
セリナの表情が、淡い悲しみで濁る。
「……精霊協会。わたしも、あまり良い思い出がないのです。彼らは、都合のいい正義しか信じません」
ギルド長が低く、深いため息をついた。
「レオン。協会は世界最大の権威だ。だが――あそこは綺麗ごとだけじゃねえ。力があれば、それをむしり取りに来る」
幼い頃の息苦しい記憶が蘇る。
無能、役立たず、と切り捨てられてきた日々。
もしまた、あの檻に逆戻りするのだとしたら――
だが今は違う。
俺には仲間がいる。
風も、影も、光も、
俺を見てくれる仲間が。
震える指を止めて俺は言い切った。
「行きます。逃げたら……また後ろを向くことになるから」
ミルが涙目で飛びついてきた。
「レオン……!なら、あたしも行く!!」
「当たり前だ」
ノワールが笑うように影を揺らす。
「主を1人で行かせるわけがない。僕たちは――四人で一つだ」
セリナが俺の手を両手で包み込む。
「……レオンさん。どんな闇でも、わたしが光で照らします。一緒に行かせてください」
胸の奥が熱くなる。
「ありがとう。みんな」
ガイルは不器用に笑った。
「向かうのは――アルヴァイス。雷鳴の都と呼ばれる場所だ。協会の本部がある」
雷鳴の都。
その名を聞くだけで、空気が震えた。
「準備はしておけ。お前さんたちの旅は、もう戻れねえところまで来ている」
覚悟を求められる音だった。
◆◆◆
ギルドを出ると、
冷たい風が頬を打った。
その時――
黒いフードに身を包んだ人物が、
建物の陰からじっとこちらを見ていた。
フードの奥、赤い瞳が俺を射抜く。
「――やはり。伝承の共鳴者……生きていたか」
次の瞬間――影が裂け、掻き消えた。
俺の背筋にぞわりと悪寒が走る。
ミルが俺の前に立ちはだかる。
「レオンには指一本触れさせないわ!」
ノワールの影が地を這い、牙を鳴らした。
「正体を現せ。喰い殺すぞ」
セリナが肩を寄せ、祈りの印を描く。
「不穏な気配……。協会以外にも、レオンさんを狙う者が」
怖さより、燃える感情が勝った。
「……上等じゃねえか」
俺は拳を握りしめる。
「来るなら来い。俺はもう、逃げない」
追放された俺は――
もう、弱くなんてない。
胸を張って言える。
ここが、俺の居場所だと。
そして胸の奥に、ひとつの言葉が浮かぶ。
――旅が、始まる。
最後までお読みいただきありがとうございます。
「面白かった!」
「続きが気になる、読みたい!」
「今後どうなるのっ……!」
と思ったら
下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。
面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!
ブックマークすると更新通知が受け取れるようになります!
ブクマ、評価は作者の励みになります!
何卒よろしくお願いいたします。




