第13話 ギルドの祝宴と新たな仲間
ギルドの大広間。
テーブルの上には肉、魚、チーズ、果物、見たことない料理まで――
豪華すぎて目が回りそうだ。
「レオンくん、おめでとう!」
「君たちすごいじゃないか!」
次々声をかけられ、正直ちょっとこそばゆい。
横ではミルが胸を張っていた。
「ふふん! これが風の精霊ミルちゃん様(超美少女)の実力よ!」
「お前も褒めてもらってるんだから、少し落ち着け……!」
「いいじゃん、たまには。ねっ? レオンはあたしが自慢でしょ?」
「そりゃ……まぁ、そうだけど」
「はい今の大事!100回復唱して!!」
「なんだその宗教教義みたいな要求!?」
そんなやりとりに、周りの冒険者たちが笑っている。
──こういう空気、悪くないな。
やがてギルド長エドガーが豪快に手を叩き、声を上げた。
「諸君!こいつらはギルド史上最速でBランクに上がった精霊使いパーティーだ!今夜は景気よく飲めえぇぇ!!」
「うおおおお!!」
大歓声。
盃がぶつかり合い、宴は一気に最高潮へ。
その喧騒の中、セリナが控えめに近づいてきた。
「あの……レオンさん。少しよろしいですか」
振り返ると、淡い金色の瞳が震えている。
「今日……本当に。あなたの隣にいさせてください。わたし、このパーティーで……生きていきたい」
「セリナ……」
ミルがすかさず割り込んだ。
「ちょっとあんたぁ!!気安くレオンの隣ポジ競争に参戦しないでよ!」
「え、ええっ!?そっ、そんな競争……あるんですか!?」
「あるの!今できた!!」
「今かよ!」
俺が突っ込むと、セリナはなぜか嬉しそうに微笑んだ。
「じゃあ……わたしは反対側をいただきますね」
間髪入れず、ノワールが背後に立つ。
「主殿の背中は、我が護る。譲らん」
……完全包囲網完成。
逃げ道なし。
あれ、俺って主人公だよな……?
なんか捕虜っぽいんだけど。
周りの冒険者が面白がって、ノワールに酒を勧めだした。
「影の姉ちゃんも飲めよ!」
「我は精霊だぞ? 酒など……人間の嗜み……」
一口。
ノワールの顔が、見る見る赤くなった。
「え、ちょ、顔真っ赤じゃん!!!」
「むぅ……なんだか、身体があつい……主殿、妾に触れるでない……ふへ……」
にじり寄って、ミルを抱きしめた。
「何するのぉ!! 離れろ影女ぁああ!」
「ミル……お主……かわいい……なでたい……」
「やーめーろー!!」
セリナは真顔でメモ帳を取り出した。
「影精霊、アルコールに弱い。大変貴重な事例……」
「メモるな!? 明日には燃やして!!」
終始カオス。
だが、笑い声が絶えない。
少し喧騒から離れ、バルコニーで深呼吸すると
夜風が心地よかった。
その時、隣にギルド長エドガーが立った。
「……浮かれてるな、坊主」
「そりゃまぁ……無能呼ばわりだった俺が、今こうして祝われてるんですから。浮かれもしますよ」
エドガーは酒を一口飲み、低く言った。
「力を得たら、守れ。二度と、自分も他人も傷つけるな」
「……はい」
「忘れるな。お前、目をつけられてる。協会にな」
「精霊協会……ですか」
「俺は歓迎しねえ。あいつらは力しか見ねぇ。お前の道は、てめぇで選べ」
膝に力が入った。
そうだ。もう、他人に決められてたまるか。
そこへミルが飛びついてくる。
「レオンー! 置いてくと泣くよー!」
後ろからノワールがフラフラ寄ってくる。
「主殿……撫でて……撫でさせて……?」
セリナも小走りで。
「レオンさん、私、もう一杯いけます……!」
揃いも揃って酔っ払いか。
俺は笑ってしまった。
「……これが、俺の仲間か」
風に揺れる髪。
寄り添う影。
優しく照らす光。
「この仲間で、もっと強くなる。もう誰にも負けない」
「レオン……」
「主殿……」
「レオンさん……」
俺の言葉に、三人の表情がふっと緩んだ。
それで十分だった。
宴は夜遅くまで続いた。
だが――その裏影。
ギルドの梁の上で、フードを被った者が薄く笑う。
「……記録完了。対象、研究価値極めて高い」
精霊協会の紋章が光り、小さな魔導装置が起動する。
「次は拉致計画か……ふふ、楽しみだ」
月が雲に隠れる。
――暗い影が、確実に迫り始めていた。
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