第12話 昇格試験、結果発表!
魔獣の群れが消え、静寂が戻った時――
俺たちは瓦礫の上に立ち尽くしていた。
呼吸は荒く、足も震えている。
けれど、この手は確かに、誰かの命を守れた。
ノワールが影から這い出してきて、俺の肩に寄りかかる。
「……やるではないか、主殿。無茶をした」
「ごめん。でも、あれしかなかった」
ミルは息を切らしながら、それでも満面の笑みで飛びついてきた。
「レオン、すごいよ!あの光の嵐……あたし、びっくりしちゃった!」
「わたしも……心臓が止まるかと思いました」
セリナは涙を浮かべながら、俺の手をそっと握る。
「でも、かっこよかった……ずっと目が離せなかったです」
その一言だけで、全身の疲れがほどけていく気がした。
◆
救護区域へ戻ると、他の受験者たちが次々と感謝を口にした。
「命を救ってくれてありがとう!」
「お前が囮になってくれたおかげだ!」
俺は戸惑いながらも、何度も頭を下げた。
もし、誰か一人でも失っていたら――
今の称賛すら胸に刺さっただろう。
ミルが俺の肩を叩き、笑う。
「レオン。あんたは胸張っときなさいよ。命を救った英雄の顔が、そんな曇っててどうするの!」
ノワールも珍しく賛同するように頷く。
「主殿は誇っていい。影精霊として、私はお主に力を貸したことを誇りに思う」
そしてセリナは、手をぎゅっと強く握ったまま。
「私は……あなたに救われました。きっと、私だけじゃない。だから……ありがとう」
視界が滲んだ。
泣くつもりなんてなかったのに。
◆
やがて、ギルド長エドガーが壇上に立つ。
その表情は、いつになく厳しい。
「今回の試験中に発生した魔獣暴走は……精霊協会側の不正によるものだ」
会場がざわめく。
「我々は調査を進めている。だが――」
俺たちの方をまっすぐ見て、言った。
「この危機を救った者たちがいる。レオン・グレイハートと三人の仲間だ!」
拍手が、嵐のように響く。
俺はただ呆然と立ち尽くしていた。
ギルド長は高らかに宣言する。
「よって――レオン・グレイハート率いるパーティーをギルド史上最速の Bランク認定とする!」
呼吸が止まり、心臓の鼓動だけがうるさく響く。
「……ほんとに?」
俺が呟くと、ミルが勢いよく抱きついてきた。
「ほんとに決まってるでしょ!やったねレオン!!」
セリナもすぐさま腕を回し、三人で団子状態に。
「ふふ、これからも一緒に……戦えますよね?」
彼女の震える声が耳元に触れる。
「もちろん」
俺の答えに、セリナは小さく息を弾ませた。
そのすぐ隣で、ノワールが静かに微笑む。
「主殿の力はまだ始まりにすぎん。我らの誇りだ」
涙腺が限界だった。
だけど――泣く暇なんて、すぐに奪われた。
◆
怒鳴り声が飛ぶ。
「こんなの納得できるか!!」
俺を追放した元仲間――ダリオ。
血走った目で俺を睨みつけてくる。
「てめぇなんかが……Bランク?ありえねぇ!!」
ミルがすぐ前に出る。
「うっさいわね!あんた、倒れたくせにまだ吠えるの?」
ノワールまで殺気をまとい、影が揺らぐ。
「次、主殿に指一本触れれば――命はないと思え」
ダリオは怯みながらも、悔しげに吐き捨てた。
「次は絶対に叩き潰す……覚悟しとけ!」
彼の背中は、以前よりもずっと小さく見えた。
(追いかけない。もう――振り向かない)
心の底からそう言える。
それはミル、ノワール、セリナがいてくれるから。
◆
周囲の受験者やギルド職員たちが次々と声をかけてくる。
「助けてくれてありがとう!」
「あなたたちのおかげです!」
その中の一人、小柄な少女が泣きながら俺に抱きつく。
「すごく……怖かったんです……でも……!」
「大丈夫。もう安全だ」
自然と頭を撫でていた。
こんな俺でも、誰かを救える。
(この道を選んで良かった)
◆
ギルド長が再び宣言する。
「レオンたちの栄誉を称え、後日――盛大な昇格祝宴を開催する!」
わっと歓声が上がり、
ミルは完全にテンションが爆発した。
「パーティー!!あたしね、肉が食べたい!あとデザート全部!!」
ノワールは余裕の表情で。
「主殿の隣は我らの特等席。誰にも譲らん」
セリナは袖をつまんで、控えめに。
「私……レオンの隣に座っても、いいですか?」
「もちろん」
俺は即答し、彼女は破顔する。
その笑顔が眩しくて、心臓が跳ねた。
◆
Bランク認定証を握りしめ、天井の光を見上げる。
追放された日――
真っ暗だった未来に、いまは光が差している。
「……行こう。みんなで」
ミルが腕を絡め、ノワールが影から寄り添い、
セリナが手を握る。
俺は一歩踏み出した。
前だけを見て。
この仲間と共に。
最後までお読みいただきありがとうございます。
「面白かった!」
「続きが気になる、読みたい!」
「今後どうなるのっ……!」
と思ったら
下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。
面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!
ブックマークすると更新通知が受け取れるようになります!
ブクマ、評価は作者の励みになります!
何卒よろしくお願いいたします。




