第11話 精霊共鳴(スピリット・リンク)発動!
視界の先まで、黒い霧のような魔獣が埋め尽くす。
暴走した魔法陣から湧き出す無数の魔獣。
吼え声が交錯し、耳が割れそうなほど煩い。
それでも——恐怖よりも先に、守りたい存在の顔が俺の脳裏に浮かんだ。
「みんな、俺から離れるな!!」
叫ぶたび、喉が裂ける。
でも、足は止まらない。
俺は精霊使い。
彼らと前へ進む。
この身が砕けても。
「レオン!後ろっ!!」
ミルが叫ぶと同時に、
鋭い牙を剥いた魔獣が影のように背後へ跳びかかる。
「影縛り(シャドウバインド)」
ノワールの声。
黒い影の鎖が魔獣を絡め取り、動きを止めた。
「レオン!!」
ミルが俺の背中にしがみつく。
「もう無茶しないで! あたし、怖いよ……!!レオンが、どっか行っちゃいそうで……!」
その声が胸に刺さる。
「大丈夫だ。俺はここにいる。ミルを置いていくなんて、絶対しない」
「ほ、ほんと……?」
「当たり前だろ」
ミルの瞳に涙が滲む。
そんな顔、させたくなかった。
でも、まだ終わっていない。
「レオン様」
ノワールが俺の前に立つ。
「これ以上は、持ちません。……それでも、戦いますか?」
その問いは、信頼ゆえの確認だった。
「戦う。俺が倒れたら、みんな死ぬ。だから絶対、倒れない」
「……ならば、俺はその背を守る」
ノワールの声は低く、強い。
覚悟のある者の声音。
頼もしい。
本当に、心強い。
その時だった。
「レオン……っ!」
少し離れた場所、治癒魔法で必死に受験者たちを救っていた少女・セリナが俺に向かって駆けてきた。
「こんな無茶……絶対ダメ!」
その手が俺の胸に触れた瞬間——
体の奥深くから、光が溢れた。
温かい。
柔らかい。
まるで春の陽だまりのような光。
「セリナ……?」
「あなたは……一人じゃない。私だって戦う。あなたが守りたいもの全部、私も一緒に守りたい」
真っ直ぐな瞳。
そこに映るのは……俺だけ。
胸の奥が熱くなる。
しかしその背後で、ミルがぷんすか怒りの気配を放つ。
「な、なんで抱きついてんのよ!?レオンはあたしの主なんだからね!?近づきすぎなんだけど!?」
「……嫉妬、ですか?」
「じっ、嫉妬なんかじゃないもんっ!!」
ミルは顔を真っ赤にして否定するが、
耳まで真っ赤だ。わかりやすい。
ノワールはというと、静かにため息。
「どけ、光精霊。レオン様の傍は俺の定位置だ」
「ダメ。今のレオンの魔力は私が――」
「はぁ!? 譲らないから!」
三人が俺を巡って言い争い始める。
本気で喧嘩するなよ、こんな状況で……。
「みんな!いったん落ち着け!!」
俺の叫びに、三人の視線が一斉に向けられる。
「俺は……お前たち全員がいなきゃダメなんだ」
正直な想いを口にした瞬間、
ミルも、ノワールも、セリナも——
少しだけ目を丸くして、そして
ほんのり照れたような顔で俺へと距離を縮めてきた。
三人が俺の手に触れたとき——
鼓動が重なった。
風の音。
影のざわめき。
光の脈動。
魂同士が重なり合っていく。
これが……絆?
『精霊共鳴開始』
自然と声が一致した。
膨大な魔力が、俺の体に流れ込む。
熱い。
眩しい。
痺れるほどの快感。
力が――溢れ出していく!!
「レオン、命じて!!」
ミルが風を纏いながら叫ぶ。
「レオン様、指示を」
「レオン……信じてるよ」
三つの視線。
全てが俺を求めていた。
俺は深く息を吸い——
『三位共鳴……発動ッ!!!』
叫んだ瞬間、爆風が走る。
風が空を裂き、
影が大地を飲み込み、
光が天を照らす。
「行けぇぇぇぇ!!《トリニティ・ブレイク》!!!」
放たれた融合魔力が、暴風の竜となって前方を薙ぎ払う。
魔獣の群れは抵抗すら許されず
触れた瞬間に消滅していった。
熱と轟音。
そして叫びもない静寂。
勝った……
本当に、全部倒しきったんだ。
気が抜けて、俺はその場にへたり込む。
「レオン!!!」
ミルが勢いよく抱きついてきて
そのまま俺の胸に顔を埋める。
「もう……絶対無茶しちゃダメだから。ホントに、ホントに……っ」
震える声。
俺は優しく頭に手を置いた。
「ありがとう。ミルがいたから……立っていられた」
「……うん!」
その横で、ノワールが俺を支えるように腕を回す。
「主の背を守れたのなら……俺の使命に、悔いはない」
声は相変わらず無表情なのに、
その指先は微かに震えていた。
最後にセリナ。
「あなたを……失うのは嫌だから」
俺の手を包み、ぎゅっと握り締める。
その温かさが、疲れ切った心に染み渡った。
「みんな……ありがとう」
本気で、そう思えた。
「……あれが、伝説の《精霊共鳴》か」
ギルド長エドガーが、険しい目でこちらを見つめていた。
その瞳には、期待と……不安の影があった。
同時に気づく。
この力はきっと——
まだ始まりにすぎない。
そして、狙われている。
精霊を、俺たちを、力を。
だけど俺は——。
「俺は、一人じゃない」
ミルが頷き、
ノワールが前に立ち、
セリナが手を離さない。
この絆がある限り、
どんな敵だって怖くない。
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