第10話 協会の陰謀、始動
嫌な風だ。
肌を刺すような、荒れ狂う魔力の流れ。
俺はミル、ノワール、セリナの気配を強く意識しながら、周囲を見渡す。
《レオン、風が警告してる。危険が来るって!》
(ああ、分かってる)
《魔力の奔流……制御していない術式だ。誰かが仕掛けた》
《協会の紋章が混ざっています……。これは、事故じゃない》
セリナの言葉に、喉奥がかすかに震えた。
(なぜ協会が……? 俺を狙って――?)
答えが出る前に、悲鳴が会場を裂いた。
「なに、あれ……!?」
「うそ、魔法陣が……!」
ステージ中央――床に描かれた巨大な魔法陣が不気味に光り始め、
観客席まで震える轟音が会場中に響き渡った。
「試験官! これは予定に――」
「予定通りだ」
試験監督の男がにやりと笑い、低く呟く。
「《封魔陣解放》」
――瞬間。
黒い霧が爆発し、視界が闇に呑まれた。
うなり声。鋭い牙。
魔獣が次々と現れ、受験者へ襲いかかる。
「きゃあああああっ!!」
「助けて!!」
叫びと血の匂いが混ざり、吐き気が込み上げる。
(クソ……! これは試験じゃない、殺しだ!!)
「おい、お前――精霊主」
監督が俺に視線を突き刺した。
「お前は世界の歪みだ。ここで消えるんだよ」
直後、魔獣の一体が俺の喉へ爪を突き出す。
《レオン危ないっ!》
「《風刃》!!」
ミルが風を纏って魔獣を切り裂く。
すぐさまノワールが影を伸ばし、別の魔獣を拘束した。
《数が多すぎる。対処が追いつかん》
《まだ魔力が増えてます! 魔法陣が暴走状態!》
「まずい……魔力爆発が起きる!」
「レオン!」
ソフィアが駆け寄ってきて、泣きそうな目で俺を見る。
「もう無理だよ! これ以上は――」
「諦めるな! 俺が止める!」
「っ……でも……!」
「守るって、約束したから」
ソフィアが唇を噛みしめ、頷いてくれた。
(ここで負けたら、前に進めない――!)
俺は剣を握りしめ、最前線へ飛び込む。
しかし――
「ぐあっ!」
監督の魔力刃が頬を裂いた。
熱い血が流れる。
「……俺を消す気かよ」
「今さら気付いたか、愚か者」
《レオンさん!!》
セリナが手を伸ばし、俺を引き寄せた。
ドンッ!
彼女の光魔法が弾け、周囲を喝破する。
「っ……レオンさんを失うなんて……考えたくありません……!」
「セリナ……」
《ちょっと!? 何密着してんのよセリナ!》
《主に触れるな。離れろ》
「あなたたち喧嘩してる場合じゃないっ!」
俺は叫び、三精霊を振り返る。
「ミル! ノワール! セリナ!
力を――全部貸してくれ!!」
三つの精霊紋が輝き、空気が震えた。
《任せなさい!》
《主よ、我を使え》
《レオンさんのために……全部捧げます》
三方向から魔力が流れ込み――激痛が全身を貫く。
「ッッぐおおおおおおおおッ!!」
叫ばずには、いられなかった。
(折れんな……! ここで折れたら……!)
三つの魔力が一つに重なり、背中で巨大な光柱となって爆ぜた。
「な……なんだ!? あれは……共鳴……?」
「まだ理論段階のはずじゃ……!」
周囲のざわめきが耳に入る。
俺は――もう、誰にも負ける気はしなかった。
「行くぞおおおお!!」
風が吼え、影が蠢き、光が蒼く燃え上がる。
拳を振るうたび、魔獣が爆散した。
怯えた顔が歓喜に変わっていく。
「すげえ……あれが精霊使い……?」
「本物の、英雄じゃないか……!」
声が聞こえるたび、体が応える。
最後の魔獣が倒れると同時に、会場は静寂に包まれた。
「はぁ……はぁ……」
その場に膝をつくと、セリナが支える。
「レオンさん……よく、頑張りました……」
息が上がってるのは俺だけじゃない。
彼女も肩で呼吸しながら、必死に笑っていた。
「ありがとう……セリナ」
《レオンっ、無茶しすぎ!》
《だが……よくやった、主》
二人――いや、三人の精霊が、労わるように触れてくる。
その温もりに浸ろうとした、その時だった。
「……精霊主は必ず排除する……今度こそ」
監督の男は、影へと溶けるように消えた。
(協会……! 本当に俺を――)
胸の奥に黒い憤りの種が宿る。
「絶対、守る。みんなを。俺自身を」
誰にも奪わせない。
この力も、この道も。
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