サイドストーリー:セリナの心、揺らぐ光(9話の裏側です)
暗い。
冷たい。
胸の奥まで凍えるような闇。
レオンさんが突然いなくなった瞬間から、頭の中が真っ白になった。
「レオンさん! どこですか!」
声が掠れて、自分でも驚くほど必死だった。
(どうしてここまで焦ってるの?レオンさんは強い。きっと大丈夫なはず……なのに)
胸の奥に黒い不安が渦巻く。
光精霊ルーチェが袖を引いて心配そうに首をかしげる。
(セリナ、落ち着いて…!あなたの魔力が乱れてるの)
「だって……っ、私……」
言葉にならない。
この気持ちの正体を認める勇気がない。
けれど、走る足は止められなかった。
***
ようやく──見つけた。
闇に取り込まれそうな彼の姿。
レオンさんが、頭を抱え、苦しげに肩を震わせている。
「レオン……!?」
ミルさんが駆け寄る。
その瞬間、胸が痛んだ。
(私が……一番に駆け寄りたかったのに)
ミルさんが彼を抱きしめる。
細い腕なのに、彼を守るように強く。
レオンさんも、その背中を返すように抱きしめた。
その光景は──綺麗すぎて。
眩しすぎて。
「……あ……」
息が漏れただけで
声にならなかった。
二人の呼吸が近すぎる。
涙がレオンさんの服に染み込んでいく。
「レオンは……無能なんかじゃない!だって……私が見てきたレオンは、誰より強くて、優しいんだから!」
レオンさんが顔を上げ、震える手でミルさんの涙をそっと拭う。
「ミル……ありがとう」
その言葉に、ミルさんがまた泣いて笑った。
その全てが
私の心を締め付けた。
(私も──そう言われたい)
レオンさんの手の温度
その瞳の優しさ
全部、欲しいなんて…思ってしまった。
「……レオンさん……」
私の声なんて
二人には届かない。
ミルさんの存在は強い。
レオンさんの心に深く根付いている。
(私は……どう見られているんだろう)
仲間?
協会の職員?
試験の補助?
それとも──ただの「第三者」?
胸が苦しい。
光の魔法が心と連動して、暴れ出しそうになる。
ルーチェが不安そうに浮かぶ。
(セリナ、大丈夫?)
「大丈夫……だよ。ちょっと、びっくりしただけ」
強がりの声が震えた。
(ねぇレオンさんあなたの目には、私はどう映ってる?)
***
レオンさんが立ち上がり、剣を強く握る。
決意の炎が宿った瞳。
「もう迷わない。俺には……支えてくれる仲間がいるから」
ミルさんの笑顔
ノワールさんの無言の佇まい
そして……少し遅れて合流する、私。
それを見ながら、心の奥底で誓った。
(なら、私も……その一人になりたい)
追いつきたい。
あの笑顔を、自分に向けてほしい。
だから──
「私も……必ず隣に並んでみせる」
届かなくても
報われなくても
構わない。
この気持ちだけは、
もう誤魔化さない。
私は、あなたが好き。
いつかこの想いを
光にして届けるために。
レオンさんの背中を追いながら、そっと呟いた。
「必ず、追いつくから……レオンさん」
闇の中で
小さな光がゆっくり瞬いた。
それは私自身の覚悟。
まだ誰にも、見えなくていい。
いつか──あの人に届けば。
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