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精霊契約でパーティー追放されたけど、今さら戻ってこいとか言われても遅い!  作者: 夢見叶
第2章 ギルド昇格試験編

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 第7話 謎のヒーラー登場

「――レオン。少し休め」


ノワールの低い声が響く。模擬討伐試験を終えたギルド裏庭、休憩スペース。俺はベンチにぐったりと腰を下ろした。


「はぁぁ……疲れた……」


「よくやったじゃないか、レオン! ミルの援護が完璧だったおかげでもあるけど!」


ミルが胸を張って、俺の背中をバンバン叩く。痛い。


「お前が敵を吹っ飛ばしすぎるから、こっちは回収が大変だったんだぞ」


ノワールがため息を吐く。影から黒い手が出て、俺の肩にタオルをかけてくれた。


「いや、ありがとな。二人とも」


「っ――! ふふん! もっと感謝してもいいのよ!」


褒めるとすぐ調子に乗る。分かりやすい。


そのときだった。


「……お疲れさまです」


小さな、鈴のような声。振り向くと、白と水色の衣装をまとった少女が立っていた。胸元にはギルド職員の小さなバッジ。淡金の髪を一つに結び、控えめな雰囲気。


透明感があるというか――触れたら消えてしまいそうな子だ。


「えっと……君は?」


「試験補助として同行していた治癒術士、セリナと申します」


彼女は深く頭を下げた。


「先ほどの戦い……拝見しました。精霊との連携、とても見事でした」


「え、そう? ありがと」


「――む」


横でミルがぴくっと反応した。嫉妬ゲージが上昇している気配。


「特に、風精霊の援護と、影精霊による捕縛……精霊との連動魔法を、完璧に実行されていました」


「(うわぁ、めっちゃ褒められる……)」


正直、照れる。


と、


「……貴様、我らを視ていたな?」


ノワールの目が細くなる。影がゆらりと揺れ、敵意を隠さない。


「な、なに? どうした?」


「その娘……ただのヒーラーではない」


セリナはわずかに目を伏せた。その肩が、ほんの少し震えている。


ミルも気づいたらしい。


「……そっか。あなた、隠してるね?」


「隠して、いる……?」


「光の波動。強い光精霊がいる証拠よ。ほら、バレてるわよ?」


ミルが悪戯っぽく笑うと、セリナは観念したように胸元を押さえた。細い光の粒が零れる。


「……はい。実は、私……光精霊を」


「契約者か」


ノワールの声が重い。警戒MAX。


「す、すみません。隠すつもりはなかったのですが……試験の妨げになると思い……」


「いや、別に責めるつもりは」


フォローしようとした瞬間――


セリナが俺の両手を包むように握ってきた。


「次の試験……ご一緒させていただけませんか」


「――っ!?」


距離が近い! 顔が近い!!


「わ、私……レオンさんの戦い方を、もっと学びたくて……!」


ミルが半歩前に詰めた。


「レオンの契約枠は満員です」


にっこり笑ってるが、目は笑ってない。


「ちょっ、ミル……! 枠って何!?」


「精霊契約は普通一体まで。それをレオンは二体。つまり、もういっぱい!」


「法律か何かか!?」


セリナは小さく震えながらも、離さない。


「精霊契約……ではなくて……ただ、次の試験で、お傍に……!」


「ほう、傍に? 貴様、主との距離が近いな」


ノワールの影がわずかに膨らむ。


「ちょっと! 二人とも威圧するな! セリナ泣きそうだから!」


慌てて両者の間に入る。セリナは申し訳なさそうに首を振った。


「ご、ごめんなさい……無礼を……」


「無礼なんて思ってないよ。ただ……どうして俺なんだ?」


セリナは少しだけ目を伏せた。言葉を選んでいる。


光が、彼女の胸元で揺れた。


「――あなたは、精霊を信じて戦っているから」


その声音に、揺るぎない確信があった。


「精霊は、道具じゃない。仲間。あなたの行動から、それが伝わってきました」


「……」


胸が熱くなる。


それは、俺が一番大切にしていることだったから。


ミルがきょとんとした顔をする。


ノワールも、影の揺らぎが少し弱まった。


「だから……もし、迷惑でなければ。私はあなたの力になりたい」


「……迷惑なわけ、ないだろ」


自然に言葉がこぼれた。


ミルが腕を組み、ふんと鼻を鳴らす。


「そ、そうね! レオンの人望が厚いのは当然だし? 特別に許してあげる!」


「上からだなぁ……」


ノワールはセリナを見据えたまま、低く言う。


「役に立たぬなら捨てる。その覚悟があるなら、仕方ない」


「ひどっ!?」


「覚悟は、あります。精霊も、人も……守りたい」


セリナの瞳がまっすぐ向けられる。


――強い子だ。



その後、セリナは控え室に戻り、俺たちはベンチへ戻った。


ミルが腕をぷらぷらさせながら、俺に言う。


「レオン、モテ期ねぇ」


「からかうな。俺は精霊使いだし、モテるとか無縁だから」


「いや、今の見たでしょ? 完全にヒロインムーブだったわ」


「……ヒロインムーブって何?」


「知らない」


「知らないんかい」


ノワールは腕を組んだまま周囲を睨んでいる。


「人間どもが近づきすぎだ。警戒を解くな」


「ええ……」


ミルが小さく肩をすくめた。


「でも、セリナ。悪い子じゃないと思うわよ?」


「……分かっている」


ノワールの影が静かに収まる。


「だが、あの力……光精霊。協会が放っておくはずがない」


「協会……?」


「余計なことは気にするな」


意図的に話を切られる。


だが――


(協会って……やっぱりただの支援組織じゃないのか?)


胸の奥に不安が残った。



しばらくして、ギルド職員が声をかけてくる。


「昇格試験、最終フェーズの準備が整いました! 受験者の皆さんはアリーナへ!」


「お、来たわね!」


「……やるか」


ノワールが影から抜け、俺の背後に寄り添う。


俺は拳を握った。


「最終試験《模擬ダンジョン攻略》――!」


そして、セリナ。


俺たちの新しい仲間候補。


「よし。四人で行こう」


「任せて!」

「……了解した」

「が、頑張ります……!」


精霊使いと、光を宿す少女。


物語が、新しい局面を迎えた。

 最後までお読みいただきありがとうございます。


「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「今後どうなるのっ……!」


と思ったら


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