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精霊契約でパーティー追放されたけど、今さら戻ってこいとか言われても遅い!  作者: 夢見叶
第2章 ギルド昇格試験編

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第4話 裏で蠢く協会の影

「次の試験まで時間が空くな。少し休んでおけ」


エドガーの声が響き、観客のざわめきもゆっくりと落ち着いていく。


熱戦の余韻が残る闘技場で、レオンは大きく息を吐いた。


「ふぅ……引き分けだってさ」

「勝ったよ! あれは完全に勝ってたからね!」


肩に乗ったミルはぷんすか怒りながら、勝利のVサインを掲げる。


「結果は結果だよ」

「レオンは優しすぎるんだよ! あんなやつ、風で全裸にしてやればよかったのに!」

「やめろ!?」


ぎゃいぎゃいと騒いでいると――


「……レオン・アルヴェン、と言ったな」


背後から、氷のような声が降りてきた。


振り返ると、黒いローブをまとった男が立っていた。

その胸元には、銀色の紋章――


ミルが小さく震える。


「……あの紋章、精霊協会……」


「初めまして。私は協会本部から派遣された調査官、レクス=グラディウス」


笑っていない口元。

笑っていない目。


「精霊を……二体、従えているのだな」

「別に、従えてるってほどじゃ……」

「ほう。では、どう呼べばいい?」


ノワールが影からゆらりと現れた。


「貴様の視線、気に食わぬな。人間」


ぞわり、と闇が広がり周囲の空気が重くなる。

観客が息を呑む。


レクスは眉一つ動かさず、ノワールを上から下まで観察した。


「闇の精霊……しかもこの圧……興味深い」


「興味……?」

「研究材料として、だ」


即答。

悪びれもない。


ミルの顔から血の気が引いた。


「レオン、やだ。目が完全に変態のそれ」


「協会は精霊を保護する機関……だったよな?」

「言葉の解釈次第だ」


ノワールが一歩前に出る。


「レオン、下がれ。コイツ……本物の悪意だ」


「さて。試験、楽しみにしているよ。結果次第では――」


レクスは、まるで上質な宝石を値踏みするような目でレオンを見た。


「君を協会に引き取らせてもらう」


「冗談じゃない!」


ミルが風を巻き起こし、警戒態勢を取る。


「邪魔だ」


レクスが手を軽く振ると――

ミルの身体がふっと消えた。


「えっ!? ちょ、どこ!?」


観客席の屋根の上にワープしていた。


「ぬおおお!? なんであたし空の上ぇぇぇええ!?」

「安心しろ、すぐ落ちる」


「落ち──わああああああ!」


レオンが急いで風を生み、受け止める。


「一つ忠告を」


レクスはレオンの耳元で低く呟いた。


「精霊を持つ者は、皆……協会の管理下にある」


そして背を向ける。


「逃げられると思わないことだ」


黒いローブが闘技場を去ると同時に、周囲の空気がようやく解放された。


レオンは息を呑んだ。


「……なんだったんだ、アイツ」


ノワールは忌々しそうに舌打ちする。


「精霊を管理か。薄汚い思想だ」

「協会って、そんなところなのか?」

「昔からだ。精霊の力を道具としか見とらん」


ミルが目を潤ませながら戻ってきた。


「レオン……あたし、怖かった」

「大丈夫。俺がいる」

「うん……」


ノワールが鼻で笑う。


「貴様が守れるとは限らんがな」

「ノワール」

「……と言いつつ、俺もこの器を気に入っている。奪われては困る」


ツンデレか。



控室へ戻ると、ギルド長エドガーが腕を組んで待っていた。


「さっきの使者……まさか協会に目ぇ付けられるとはな」


「ギルド長、協会って……」

「言葉は綺麗だが、やってることは真っ黒だ。精霊使いは皆、監視対象だ」


「監視……」


ミルが怯え、ノワールが闇を濃くする。


「気にするな。お前はギルドの保護下だ。俺のツラに泥さえ塗らなきゃ守ってやる」


「それ慰めになってませんよ」


エドガーは豪快に笑い、


「大丈夫だ。精霊たちと一緒なら、どんな敵も敵じゃねぇ。その力、存分に見せてやれ」


レオンの目に火が宿る。


「もちろんです」


「で、次の試験だが――」


ギルド長は手を叩き、書類を差し出した。


「模擬討伐試験。場所は城外の魔獣の森だ。実戦形式だな」


「森! やだぁ虫がいるとこ!」

「魔獣の心配しろ!!」


ノワールがにやりと笑う。


「良い。戦いが続く方が退屈せずに済む」


レオンは拳を握りしめた。


「協会なんかに負けない。俺たちの力を見せてやる」


ミルは胸を張り、ノワールは暗く微笑む。


三人の影が、ひとつに交わった。


「模擬討伐、楽しみだな」


その言葉が、静かな闇を呼び覚ましていた。

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