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精霊契約でパーティー追放されたけど、今さら戻ってこいとか言われても遅い!  作者: 夢見叶
第2章 ギルド昇格試験編

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第3話 個人試験 ― 風と炎の激突

 ギルドの大闘技場。観客席からは、ざわざわとした声が絶えない。


(まさか……初戦からコイツが相手とはな)


 審判役のギルド員が声を張り上げる。


「個人試験、一回戦! レオン・アルヴェン対――ダリオ・フレイン!」


 相対するのは、かつての仲間。

 俺を追放した張本人。


 ダリオは片手に大剣を担ぎ、笑っていた。


「久しぶりだな、無能」


「……呼び方は変わってねぇのか」


「当然だろ? 精霊契約? ──ハッ、笑わせるなよ。遊びか?」


「遊びじゃねぇよ。俺は本気だ」


「じゃあ、どこまで通用するか見せてもらうぜ」


 ギルド員が手を下ろす。


「――試合、始め!」



「燃えろ、《フレイム・バーン》ッ!」


 開幕と同時、ダリオは大剣を地面に叩きつけ、爆裂した炎が地を舐めた。


「ちょ、いきなり全力ォ!?」


(くるっ――!)


 俺は跳躍し、炎の波をギリギリでかわした。


 熱風が頬を焼く。心臓の鼓動が激しく跳ねる。


「おいミル! 何か言うことあるだろ!」


「う、うるさい! 私だって緊張してるのよ!」


「緊張すんなよ、精霊だろ!」


「精霊にも感情はあるの!?」


「あんたら、試合中に漫才してんじゃねえぞッ!」


 ダリオが炎をまとった大剣で接近してくる。


(速い……っ!)


 剣筋が視界に閃光のように走り、思わず腕を交差して受け止める。


 重い。腕が軋む。


「ほらよ、レオン! 焼けろォ!」


「ミルッ!!」


「風盾っ! 《ウィンドウォール》!」


 風が巻き上がり、炎と激突。

 爆ぜた熱が俺の髪を揺らす。


「ふん、少しはやるじゃねぇか」


「そっちこそ炎ばっかりで脳筋かよ!」


「言わせておけ。無能が吠えてるだけだ」


 ダリオの冷たい視線。

 胸に刺さるあの言葉。


(もう……あの頃とは違う)


 拳を握る。


「ミル。行けるか?」


「当たり前! 私を誰だと思ってるのよっ!」


「俺の最高の相棒だ!」


「っ……だ、だったら負けないわよ!」



「風よ、切り裂け――《エアカッター》!」


 ミルの風刃がダリオへ向かって走る。


「炎よ、防げ――《フレイムシールド》!」


 火の盾が展開し、風刃を弾く。


 炎と風。

 魔力のぶつかり合いが観客を沸き立てる。


「おおっ! 精霊使いと炎術士の本気だ!」


「炎のダリオ相手に互角……信じられない!」


「無能って言われてた奴だよな?」


 ザワつきが増えていく。


(こいつに負けるわけにはいかねぇ)


 追放された日の記憶が過る。


――「お前は足手まといだ」


――「精霊契約なんて役に立たない」


――「二度と俺達の前に立つな」


(絶対に、見返してやる!)


「行くぞミル!」


「任せなさい!」


 風が集う。力が高まる。


「《ストーム・スラッシュ》!!」


 俺の拳に風が渦巻き、打ち込む一撃!


 だが――


「甘ぇよ。《フレイムクラッシュ》ッ!」


 ダリオの炎が打ち消し、激しい爆風が起こる。


「ぐっ……!」


 俺は吹き飛ばされ、背中から砂地を転がった。


「レオン!!」


「……大丈夫だ」


 立ち止まれない。


(そうだ。俺は――)


「こんなところで終わらない!」



 ダリオが炎をさらに纏い、姿が朱に染まる。


「終わりだ! 《インフェルノブレード》!」


 大剣が炎の獣のように咆哮し、一直線に迫る。


(避けられねぇ!)


「やらせません! ――《ウィンドブースト》!」


 ミルの風が俺の体を持ち上げ、ダリオの斬撃を紙一重で回避。


「なっ……!」


 視界が切り替わる。


(見えた)


 ダリオの懐に潜りこむ。


「風の拳だ――ッ!」


「チッ!」


 拳と剣が噴煙とともにぶつかる。

 風が炎を削り、炎が風を焼く。


 互いに勢いが落ち、俺達は同時に飛び退く。


「はぁ、はぁ……」


「クソッ……!」


 観客が息をのむ。


《精霊使いが……炎のダリオと……!》


《互角!?》


《むしろ押してる――?》


 ザワザワとざわめきが俺達を包む。


(やれる……!)


 ミルが小さく笑った。


「レオン、いい顔してる」


「ああ。やっと……戦えてる気がする」


「まだ終わってないけどね!」


「あぁ、ここからだ!」



 ダリオは大剣を突き立て、炎を吸い上げる。


「アンタの精霊……確かに少しは強くなった」


「見て分かるか?」


「だがな! 俺との力の差は埋まってねぇ!」


「――やってみろよ!」


「行くぞ……《フレア・バースト》!!!」


 地面が裂け、炎柱が乱立する。


(くそっ、こんなの回避しきれねぇ!)


「ミル!!」


「もちろんよ!!――《旋風障壁・最大展開》!」


 風のドームが俺を包み込む。


 炎柱が次々と撃ち込まれ――

 視界が真っ白に染まる。


「――っぐ!」


 衝撃が全身を叩く。

 腕が痺れ、足が震える。


 ミルも苦しそうに声を絞る。


「くっ……まだいける……?」


「当たり前よ……レオンのためだもの!」


 そんな真っ直ぐな言い方をするなよ。


 胸が熱くなる。


「頼む。最後まで――」


「最後まで、一緒に!」



 煙が晴れた。


 俺は立っている。

 ダリオも立っている。


 両者ボロボロ。


 審判が叫んだ。


「ここまで! 両者戦闘不能と判定! 試合――引き分け!!」


 観客席が爆発したように沸き立つ。


《引き分け!?》


《あのダリオと!?》


《無能って言われてた精霊使いが!?》


 視線が俺に集まり――


「精霊使い、すげぇ……」


「なんか……かっこよかったぞ!」


 噂が変わる音がした。


(やっと……一歩踏み出せた)


 ミルが肩に飛びつく。


「やったわレオン! 勝ってはないけど、実質勝利よ!」


「……ありがとな、ミル」


「ふ、ふん。主を守るのは精霊の役目よ!」


 ダリオは悔しそうに舌打ちし、大剣を担いで背を向ける。


「調子に乗るなよ。これで終わりじゃねぇ」


「上等だ。また戦おうぜ」


「……次はぶっ倒す」


 炎の気配を残したまま、ダリオは去っていった。



 観客の注目がまだ俺を捉えている。


(さあ――ここからだ)


「次も勝とうぜ、ミル」


「もちろん! レオンが私を信じてくれる限り、私は負けない!」


「信じてるよ。ずっとな」


 ミルの頬が赤くなる。


「なっ……! ちょ、急にそんな……!」


「ははっ」


 追放された無能の物語は――

 今、始まったばかりだ。

 最後までお読みいただきありがとうございます。


「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「今後どうなるのっ……!」


と思ったら


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面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!


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