第2話 昇格試験、始動!
ギルド裏の訓練場は、朝日を浴びて活気に満ちていた。
砂地の広場。観客席には冒険者たち。
緊張と闘志、そのどちらもが渦巻いている。
「昇格試験参加者は所定の位置についてくれ!」
試験官の声が耳に刺さる。
息を吸って、列に並んだ。
……刺さる視線が、あちこちから。
「なんか嫌な目で見られてない?」
右肩にのっかったミルがふんと鼻を鳴らした。
「気にすんなレオン! 気にしたら、ミルが全員ぶっ飛ばす!」
「それが一番怖いんだって……!」
そんな俺たちの後ろで、フレアが陽炎のように姿を現した。
「雑魚の嫉妬など、火種にすらならん」
「いや火ついたら困るんだけど!?」
周りの新人たちがヒソヒソ声で囁いているのが聞こえる。
「精霊に守られてるだけだろ?」
「どうせ戦えないって」
ミルの額に青筋が浮かんだ。
「おいそこのクソガキ共! 出てこいや!!」
「ミル、頼む落ち着いて! 開始前に退場とか嫌だ!」
俺が慌てて止めようとしたとき――
聞きたくもない声が背後から響いた。
「ずいぶんと賑やかじゃねぇか」
……最悪だ。
振り返らなくても分かる。
ダリオ。
俺を追放した、元仲間。
「生きてたんだな」
「その言い方は傷つくんだけど……」
ダリオは肩を揺らして笑う。
「精霊に泣きついた役立たずが、まだギルドに居座ってたとはな」
ミルが飛びかかろうとする。
「うちのレオンを馬鹿にすんなよゴラァァ!!」
思い切り抱えて止める。
「ミル! ここで手出したら本当に終わる!」
ダリオは冷たい目で俺を見下ろし続ける。
「精霊ごっこがどこまで通用するか、楽しみにしてるぜ?」
俺は真正面から睨み返す。
「通用しなかったら俺の実力不足だ。でも――戦わずに逃げる気はもうない」
「……口だけは達者になったじゃねぇか」
肩で揺れる炎。フレアが低く唸った。
「この小僧、燃やしていいか?」
「試験前に焼却はやめてぇぇ!」
すると試験官の怒鳴り声が響いた。
「全員整列! 試験説明に入る!」
俺たちは前に出て、説明を聞いた。
「試験は三段階!
第一試験:個人戦!
第二試験:模擬討伐!
第三試験:チーム試験!」
――やっぱり全部やるのか、きついな。
そして、運命の籤引き。
震える指で札を引き――目に飛び込んできた名前。
『ダリオ=ラグナー』
(嫌だあああああっ!!)
ミルはガッツポーズ。
「きたぁ! 因縁対決! 主役ムーブだねレオン!」
「主役は胃が痛いんだよ!」
ダリオも札を確認し、ニヤリと近づいてくる。
「いいじゃねぇか。現実ってのを教えてやるよ」
俺は深呼吸し、まっすぐに言った。
「勝つよ、ダリオ」
「調子に乗ってんじゃねぇ」
フレアが焔を揺らし、力強く宣言した。
「この者の炎、未来を照らす焔と知れ」
「なんかカッコいいけど恥ずかしい!」
試験官が手を挙げる。
「対戦者、中央へ!」
観客席から笑い声や野次が飛んでくる。
「精霊使いなんて瞬殺だろ」
「子ども虐めかよ」
ミルが再びプチッ。
「まとめて風圧で吹き飛ばそっか?」
「だからやめなって!」
そして。
「第一試験! 第一戦!レオン対ダリオ――始め!!」
ダリオの炎槍が一直線に迫る。
「燃えろ、《フレアランス》!」
「レオン! 左だよ!」
避ける。
熱が頬をかすめ、焦げた匂いがした。
速い……でも――!
「ミル! 風を!」
「はいっ!《ウインドカッター》!」
風刃が炸裂――だが、
「読めてんだよ!」
炎が風を焼き払う。
挑発の笑み。
観客席はざわつき、嘲笑が混じる。
だけど俺は――
もう、怯えない。
「ミル、切り替え。砂煙を上げて――俺が行く!」
強風が舞い、視界が消える。
一瞬。
一歩。
迷わず踏み込む。
(俺はもう、あの日の俺じゃない)
拳を固く握り――ダリオへ突き出す。
「これが……俺の戦いだ!!」
炎と風がぶつかり合い、閃光が爆ぜた。
観客席が、一斉に立ち上がる。
――始まりの一撃は、すでに放たれた。
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