さようなら人生、そして……
初投稿です。おそらくエタります。
絶望を前に、彼は手を伸ばす。どれだけ努力を重ねても、どれだけ神に祈っても、その願いは叶うことはなかった。それでも……
「諦められるわけがないじゃないか」
わかっている。命を賭した程度で、残りの人生をすべて売り渡した程度で、その願いが叶うことはないのだと。それでも……
「それで、願いが叶うなら……」
彼は、悪魔の手を取った。
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夢から醒めて、改めて思う。「この世界は不条理だ」と。病院で、複数の管につながれた状態の自分の状況を改めて認識し、独り言ちる。
齢20を迎え、この体は限界を迎えていた。病弱だったわけではない。だが、天才と競い続けたこの人生は、まるで強く燃え盛るろうそくのようにあっという間に命を蝕んでいった。
自分の生き方に後悔はない。だが……
「一度くらいは……一番になりたかったな……」
綺羅星のごとき天才の、まさしく当て馬というべき人生に。
「父さん、母さんを幸せにしてあげたかったな……」
願い、焦がれたことがなにも叶わなかったこの人生に。
この日、彼は別れを告げた。
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「……起き……です。」
「早く起きやがれです。この寝坊助。」
妙に幼い声が聞こえる。目を開けるとそこは一面真っ白な空間で。
「ようやく起きやがりましたか、この寝坊助。」
えらく尊大な幼女が、俺を罵っていた。
「ここは?」
「そんなことはよいのです。どのみちお前には拒否権はないのです。だから黙って説明を聞きやがれです。」
口の悪い幼女に一方的に言葉を遮られる。
「あたしが担当する世界の危機なのです。だから……」
「俺にその世界を救えと?」
言い終わる前に目の前の幼女は侮蔑を込めて睨みつけてきた。
「お前、自分を何様だと思っているのです?英雄は世界で用意できているのです。だからお前は英雄を磨く、『他山の石』になりやがれです。」
「……は?」
「こっちは聞いているのですよ。そっちの世界で、何人もの天才を『本物の天才』にしてきたって。だから、こっちでも世界を救う『英雄候補生』を『本物の英雄』にしやがれです。」
ふざけるな。ちょっとはこちらの話を……
「ふてくされても無駄なのです。さっさと転生しやがれです。」
そういうと幼女は俺を蹴り落とした。
書き溜なんて、あるわけない。
9/12追記:なんと、次のエピソードを出せました。あいかわらず書き溜はありませんが。