最下層
マオが真っすぐに穴を開け続ける。そして、とうとう穴の開かない場所――最下層に着いた。
「ここが最下層かしら。思ったよりも深いダンジョンだったのね」
現在の階層は50階。普通のダンジョンであれば30階層もあれば深い方だが、このダンジョンが世界で一番深い。
「ふむ。敵は見当たらんな」
最下層はまるで王宮の様に誂えられていた。そして、薄暗いその広場に明かりがともる。
「エリザ様、変な感じがします」
「クロンも感じるのか? 空気中の魔力が濃くなってきているな」
「あそこを見て」
ソルナが指さした先には王座の様なものがあった。そして、そこに黒い粒子が集まる。その粒子は、人型になると実体化した。
「まさか、この階層に到達できるものがおるとはな」
実体化したものは、全身を豪華な鎧を着て、頭には王冠を被っていた。ただ、その姿はミイラの様にひからびている。
「朕はワイトキング。お前たちを剣の錆にしてやろう」
「ほぅ、不死者か」
「これが魔王並みの脅威なのかしら? 大した事なさそうなのだけれど」
エリザは、思ったよりもショボイ相手にがっかりする。やはり、魔王以上のイベントは無かったのだと。
「ソルナ、やっていいわよ」
「いいの? それじゃあ、私が相手になるよ」
ソルナは、両手に剣を構える。ワイトキングは、ゆっくりと腰の剣を抜いて構えた。
「ゆくぞ」
ワイトキングは、重い鎧を着ているのに全く重さを感じない動きで踏み込む。普通の人間であれば、瞬間移動したかの様に感じる速度だ。ワイトキングは、剣を一閃してソルナの横を通り過ぎる。
「終わったよ」
ソルナは剣を鞘に納める。同時に、ワイトキングの剣と首が斬れた。ドシャリと重い音を立ててワイトキングが地面に倒れる。
「終わったのね。それじゃあ、帰りましょうか」
「私達の出番、無かったわね」
「ああ、そうだな。あたしなんて本当に何もしてないぞ」
クロンとレランは出番がなく暇だった。そして、帰ろうとした時、ガシャリと鎧が動く音がした。




