ショートカット
「確かに、5階までとは難易度が変わるようだが……この程度か」
マオは、5体同時に現れたオークを風魔法で切り刻む。切り刻まれたオーク達は、ドロップアイテムを残して消滅する。
「地面に落ちた肉なんて、食べたくないわねぇ……。冒険者達が歩いたあとでしょう?」
エリザは、地面に落ちたドロップ品のオーク肉を汚なそうにつまむと、ポイと投げ捨てる。焼けば病気になったりするような菌は死ぬが、汚いと感じるものは感じるのだ。それでも、普通の冒険者なら拾って袋に入れ、持ち帰るなりダンジョン内で食べるなりするのだが。ちなみに、クロンやレランはそういうものに抵抗が無いので普通に食べる事ができる。
「のんびり行くつもりだったけれど、この程度ならさっさと手ごたえがありそうな階層まで進んだ方がよさそうね」
「うわあああ!」
エリザがそう言い終わると同時に、前方から冒険者達が走ってきた。
「お前ら、逃げろ! イレギュラーだ!」
「イレギュラー?」
冒険者達は必死にそう言うが、イレギュラーとは何のことなのか知らないエリザ達にはピンとこない。
「とにかく逃げろ! 手に負えん!」
冒険者達は、そう言うとエリザ達の横をすり抜ける。そして、すぐに道の角からイレギュラーが現れた。
「アイアンゴーレムではないか」
アイアンゴーレム。鉄で出来たゴーレムで、普通の剣や魔法では傷すらつかないダンジョンでの強敵だ。普通であれば10階層以下にしか存在しない。
アイアンゴーレムは、エリザ達を敵と判断し、大きく腕を振りかぶる。
「ここは私が」
クロンは、盾を構えてアイアンゴーレムの前に出る。アイアンゴーレムは、振り上げた拳をクロンに叩きつけた。
ドゴンという大きな音が響くが、クロンは普通に立っていた。クロンは受け止めた拳を、そのまま弾く。
「止めはあたしが頂くぜ!」
「あっ!」
クロンに弾かれたアイアンゴーレムが、よろめいた隙を見てレランが短剣をゴーレムの額に刺し込む。短剣は、抵抗なくゴーレムを破壊し、ゴーレムは消滅した。
「レラン、私の出番を取らないで」
「だって、隙があったし」
クロンとレランが言い合いをしている間、エリザはマオに話しかける。
「マオ、もっと下の階に行きましょう」
「では、エコーで階段を探すのか?」
「いいえ、もっと早く行きましょう。ダンジョンの床を壊しましょう」
「床か。壁ならともかく、床は破壊したことは無いな」
「できるでしょう?」
「やってみるか」
「え、ダンジョンの床を攻撃しようとするとか、初めて見たんだけど」
ソルナは、エリザ達の異常な行動に呆れる。しかし、マオは本気で魔力を溜めると、床に攻撃した。
「ダーク・ホール」
マオの前に2メートルくらいの真っ黒な球体が現れ、ゆっくりと地面へ落ちる。球体は、地面に触れると触れた場所の床を削っていく。しかし、ダンジョンの床は思ったよりも浅いようで1メートルほど沈んだあたりで穴が開いた。ダンジョンは、すぐにその床を修復しようとするが、修復するそばからすぐに削られる。
「エリザ、貫通したらすぐに下に降りないとすぐに塞がりそうだぞ」
「そうね。それじゃあ、すぐに降りられるように準備なさい」
エリザが声をかけると、クロンもレランもすぐに準備する。
「もう少し、穴を大きくするか。ダーク・ホール」
マオは、下りやすい様に6メートルほどに大きくした球体を追加で床に落とす。そして、穴が塞がる前に5人はその穴に飛び込んだ。




