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封印されていた最古の魔王。――外伝――  作者: 斉藤一


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魔王

魔王は、勇者の魔族特効には絶対に勝てない。勇者が全くの無抵抗であれば別だが、普通に戦えば必ず負けるほどの差がある。しかも、今回の勇者は特効が無い四天王よりも強いのだから、勝てる要素は欠片も無かった。


「無抵抗じゃ、この子達の訓練にもならないわねぇ」


「……勇者様、後ろの方たちは? いつもの2人はどうしました?」


魔王は、いつもと様子の違う事に気が付く。絶望のあまり何も目に入っていなかったが、エリザが会話に入ってきた事で嫌でも気づかされる。


「街で会った冒険者だよ。いろいろあって連れてきたの」


魔王は、そのいろいろの中身を知りたかったが、話す様子がなさそうなので諦める。ついでに、言葉が聞き取りやすくなっていたが、姿が変わったこともあり、いろいろの中に入っているのだろうと予想する。


「でね、この人たちが街を救ったらしいの」


「……なん……だと?」


魔王の魔力が濃くなる。分かったのだ、自分の生きる可能性を下げていたのはこの冒険者達だったのだと。勇者に勝てないのは仕方がないが、いや、仕方ないとは言いたくないが四天王でも勝てないのだからあきらめるしかないと思っていた。だが、ただの冒険者に邪魔されたとあれば納得がいかない。四天王は何をしていたのか、と。


「それで、誰が魔王とやるの? なんか、やる気でてきたみたいなんだけど」


「予定通り、クロンとレランでいいかしら? それほど強く無いみたいだし」


「舐めるなよ、冒険者風情が!」


魔王は、いままでの鬱憤が爆発し、勇者の前だという事も関係なしに魔力に殺気を乗せてばら撒く。その魔力だけで言えば、四天王の誰よりも高かった。


「さすがに、クロン達では厳しくないか?」


「そうねぇ、さすがに四天王よりも弱いって事も無いだろうし……」


「こうなったら、貴様らだけでも殺してくれる。出し惜しみは無しだ! 最終形態」


魔王の体が変貌していく。本来、体の負担を考えれば4回ほどに分けて変身すべきところを、命の危険も顧みずに最終形態まで一気に変身する。体は自らの魔力で暴発しそうになるが、なんとか恨みの力で堪える。


「いきなり奥の手を選ぶなんて、魔王としてどうなの?」


「うるさい! 貴様らのせいで、我がどれほどの苦渋を舐めたと思っているのだ!」


別にエリザ達のせいだけではないが、魔王にとってはすでに仇敵並みに恨みが募っていた。それでも、勇者に喧嘩を売らないあたりは一応理性が残っている。


「魔力量だけでも、一気に数倍に上がったわね。これは、完全にクロン達では手に余るわ。たとえ、ドラゴンに戻っても無理ね」


「だろうな。それでも、この程度であれば四天王全員を相手にするよりも少し強い程度では無いか?」


四天王の奥の手を使った状態よりも強い時点で、人類にとっては勝ち目がない。それが4人分よりも強いとなれば普通であれば世界の終わりである。


「それなら、私がやる?」


ソルナが、白と黒の剣を両手に持ち、軽く振る。それを見て、魔王はびくりと体を硬直させる。


「それじゃあ、面白くないわね。マオ、やってみる? 魔王同士の戦いなんて見た事無いもの」


「我を魔王と呼ぶものも居なくなったが、まあいいだろう。付近に被害がでそうだが、いいのか?」


「それなら、私がバリアを張るわ」


ソルナが4キロ四方をバリアで囲む。ソルスとルナだったときなら、一人が物理、一人が魔法用のバリアを1枚ずつ張って2枚のバリアで完璧なバリアを張っていたが、今なら一人で出来るようになった。


「我の退路を塞ぐか。どちらにしろ、生きのびられるとは思っておらぬ」


「ねぇ、マオ。魔王の話し方ってみんなこうなの?」


「知らぬ。だが、我は話し方を変えるつもりはないぞ」


「ぐだぐだとうるさいわ!」


魔王は大きく息を吸うと、それを灼熱の炎をして吐き出す。呪文を必要としない代わりに、射程距離が短くなるが、発動が速く普通であれば防ぐ事が難しい。


「ウォーター・ウォール」


マオは、即座に水の壁を作って防ぐ。マオはこの魔王を舐めておらず、手加減していないので本来の魔力を含んだ水の壁である。なので、蒸発して消える事もなかった。


「この程度か? 思ったほどでは無いな」


「ならば見せてやろう、我が魔法の神髄を。おおぉぉぉ!」


魔王の背中から新たに2本の腕が生え、4本になる。そして、その4本の腕でそれぞれ別々の属性の魔力を留める。それを自らの胸のあたりで集め、4本の手を合わせる。それぞれの属性を融合させ、反発しあい、さらに融合を繰り返し、魔王の魔力でも抑え込めなくなった時点で4本の腕を突き出す。


「アルティメット・ノヴァ!」


魔王から、直線的に放たれた極光は、触れるものすべてを消滅させながらバリアにぶつかり、光だけはバリアを透過し、屈折して空へと向かう。


「……なるほど、他属性を合わせるとは面白い。なかなか難度も高いな」


「馬鹿な! 直撃だぞ!」


マオは、魔王が放ったノヴァと同様に、強い光を放つバリアで体を覆っていた。フローターを使い、魔王と同様に複数の属性を合わせたバリアを作ったのだ。


「今度は、我の魔法を見せよう。ダーク・ディザスター」


マオから、黒い空間にノイズが走ったような魔法が放たれる。それは、魔王を包み込むと収縮し、あとには何も残らなかった。

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