腕輪
グレンとロイは、自分たちの計画の邪魔になりそうなエリザ達を排除しようと考える。
「奥の手を使うしかなさそうですね。グレンも用意はいいですか?」
「ああ、これだな」
グレンはカバンから首輪を取り出す。ロイもカバンから腕輪を2つ取り出し、片方をグレンに渡す。
「それでは、手はず通りに」
「分かった」
ロイは、エリザ達と打ち解け始めている勇者2人に近づく。
「ソルス様、やはりこのまま負けっぱなしと言うのはよろしくないかと」
「ええー。けど、わるいぼーけんしゃじゃなさそーだよ?」
「それでは、最後に実力を見せてはどうですか?」
「それはいいねー」
「ルナ様もよろしいですか?」
「いいよー」
ロイは、ソルスとルナを近くに呼ぶ。そして、ルナの横にはグレンが待機した。
「それで、ぐたいてきにどーするの?」
「まずは、これを装備していただきます」
ロイは、準備していた腕輪をソルスに見せる。
「なにそれ」
「補助魔道具です。効果は、まあ、つければわかりますよ。右腕を出してください」
「ルナ様、俺の方に左腕を出してください」
ロイとグレンの行動に、疑う様子もなく、素直にソルスは右腕を、ルナは左腕を突き出す。その右腕にロイが、左腕にグレンが腕輪をはめる。
「え、なに、これ、どうなってんの?」
「ちょ、ソルス、ぶつかるからどいて!」
ソルスとルナが、磁石をつけたように徐々にお互いに引き寄せられる。そして、ぶつかると同時に小爆発が起きて煙に包まれる。煙が晴れた時、そこには2人と姿は無く、一人の少女だけが立っていた。そして、その少女の右側はソルスの白色を、左側はルナの黒色を残していた。
「グレン! 早く首輪を!」
「おうよ!」
何が起こったのか分からずに立ちすくむ少女に、グレンが首輪をはめる。
「成功ですね」
「ああ。呼び名はどうする?」
「そうですね……ソルスとルナなので、くっつけてソルナと呼びましょう」
「いいぜ。ソルナ、右手を上にあげろ」
グレンに言われた通り、ソルナは右腕を上にあげた。
「おぬしら、一体何をしたのだ? その少女は元に戻るのか?」
「あん? ああ、待たせて悪かったな。ソルスとルナは、合成の腕輪によって一つになったのさ。ソルナとなった強さは、さっきの比じゃねぇぜ」
「ふふっ、さっそく実力を見せて上げなさい。ソルナ、攻撃を」
「はい」
ソルナはクロンに向かって右手を向ける。そして、真っ白な何かを飛ばした。クロンは、それを大剣で防ごうと自分の前に掲げた。
「ダメよクロン! 回避して!」
エリザの声に、クロンはぎりぎりで回避した。しかし、真っ白な何かは、触れた部分の大剣を消滅させる。
「そんな、私の爪があっさりと破壊されるなんて」
「いいえ、あれは破壊じゃ無いわ。触れた部分がどこかへ転送させたようね」
「触れてはならん攻撃か。ならば、魔法での迎撃はどうだ? ファイア・ボール」
ソルナは、両手を前に突き出していくつか白い球を発射する。それに対して、マオは特大の火の玉を当てた。しかし、爆発する事も無く、触れた部分の火の玉が消滅するように消えた。
「魔法もダメか。ならば、壁やバリアでも無理なのか?」
マオは試しに、土魔法で壁を作るも、真っ白い球はそれを貫通し、バリアにも穴が開いた。
「やっかいね。レラン、クロン、あれに絶対当たっちゃだめよ。逃げなさい」
「逃がしませんよ。ソルナ、包め」
「はい」
ソルナは、両手を合わせ、広げるように開いていくとそれに合わせてバリアが辺り一帯を包んだ。
「ウィンド・カッター」
マオは、すぐにそのバリアを破壊するために風の刃を飛ばすが、そのバリアに刃が触れた瞬間、反対側へと現れ、地面へ亀裂を入れる結果となった。
「むぅ、強制的に転移させるバリアか? ただ硬いだけよりもやっかいだな」
現状、破壊する手段は思いつかない。さらに、ソルナに命令しているグレンとロイは、バリアの外に居るのでそちらを先に攻撃する事も出来なくなった。
「これで逃げられませんよ。さあ、ソルナ。僕達の邪魔になりそうな者を排除しなさい」
「はい」
ソルナは、感情が抜け落ちた様な表情で、エリザ達に攻撃をし続けるのだった。




