勇者の移動
「それじゃあルナ、いつもどーりで」
「わかってるよ、ロイ、グレン、じゅんびはいーい?」
「はい」
「準備は完了しています」
ロイとグレンはルナに返事をすると、ロイはルナの右肩に手を置き、グレンは左肩に手を置く。
「それじゃあソルス、あとおねがーい」
ルナがそう言うと、ソルスの影にロイとグレンと共に沈んでいく。ソルスはそれを見届けると、剣を掲げる。
「えーっと、ほーがくはこっちか。ひかりよ!」
ソルスの全身が輝き、一本の光線となって移動した。そして、すぐにイーストサイドの街近辺に到着する。
「ついたー。でてきていーよ、ルナ」
ソルスがそう言うと、影から3人が出てくる。
「あいかわらずはやいねー」
「ありがとうございました、ソルス様」
「いーよいーよ、これがいちばんはやいから」
ソルスは手を振って応える。
「それにしても、なんにもかわってなくない? ふつーのまちにみえるけど」
「そうですね。それでは僕が先に見てきます」
「せっかくだからわたしもいくよ。それに、ロイはせんとーりょくひくいんだし」
「生存能力は一番高いつもりなんですけどね。それでは、お願いできますか?」
ロイは一人で行くつもりはもともとなく、こういえばソルスが一緒に行くことが分かっていた。ロイは回復に特化しているためもともと戦えない。一応、防御魔法は使えるがそれで敵を倒すことは出来ない。
街はまだ混乱から完全には回復しておらず、街への出入りは自由になっていた。兵士不足なうえ、街から逃げ出す者が多数なため、確認が追い付かないのだ。
「まずはどこへいこーか?」
「領主邸へ向かいましょう。そこにブラドが居るはずですから」
グレンがルナの問いに答える。ソルスは光の注ぐ場所へ移動できる能力があるが、領主邸の位置を知らないため普通に歩いて行くしかない。
「ここがそうなの? すこしこわれてるわね。なにかあったのかしら」
エリザが破壊した屋根はまだ完全には修復されておらず、板で覆われているだけだった。そこから、戦闘があったことをうかがわせる。
ルナは、扉を押して中へと入る。
「だれかいるー?」
グレンは、無人の領主邸を不可解に思い、周囲を警戒する。それを見てロイもあたりを見回した。現在、選挙のために領主はおらず、その他の人員も選挙に駆り出されている。扉の鍵は壊れていたから開いていたが、いくら領主邸に忍び込もうとする住人が居ないと思われるが不用心にもほどがある。
「だれもいない?」
「うんうん、だれもいないね。それか、ねてるのかな」
館内は人の歩く音はおろか、何の音もしなく静かだった。さすがに異変を感じたグレンが提案する。
「誰も居ないのはおかしいな。俺が見てくるぜ」
「じゃあ、わたしがせんとーをあるくね」
ルナがグレンの前に立つ。グレンは魔法使いの為、何かあった時に近接戦闘が出来ない。そのため、ルナは自然とグレンの前に立つようになっていた。いや、そうなるようにグレンに何度もさりげなく言われ、そうなるよう仕込まれていた。




