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封印されていた最古の魔王。――外伝――  作者: 斉藤一


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敗北?

大波が引いた時、そこに立っている者は居なかった。マオのバリアでは防ぎきることが出来ず、ダメージは軽減したが波に飲まれていた。特に、水が苦手なレランはぐったりしている。クロンは水が苦手ではないが、波にもみくちゃにされて目を回している。マオは、体が丈夫なのでダメージは無いが、さすが衝撃は受けたので立っていることができず、片膝をついていた。


そして、一番ひどいダメージを受けたのは何も対策できなかったエリザだ。装備はボロボロに、それに輪をかけて体はボロボロだった。倒れたままのエリザは、ピクリとも動かない。


「クロン、レラン、大丈夫か?」

「ぐあう」(まだ目が回っていて立てません)

「ぎゃお」(あたしは吐きそうです)

「エリザは大丈夫か? エリザ?」


マオは、改めてエリザを確認する。マオとしては、クロンたちの防御を優先させただけに、エリザ自身で何とかするものだと思っていた。予想以上に威力のある大波ではあったが、威力だけならクロンのブレスよりも少し強い程度だ。


「まさか、吾輩のダイダルウェーブを受けて生きているとは驚きだ。だが、一人は死んだか? 死んだばかりなら吾輩の吸血で眷属に――」


ブラドが話している途中で、エリザに変化があった。一瞬、黒い霧が全身を覆う。そして、それが晴れた時には子犬が倒れているだけだった。


「何だ? 身代わりか?」


ブラドは、その変化に警戒する。もし、身代わりならばエリザがどこからか攻撃する機会をうかがっているかもしれないと思ったからだ。しかし、それ以上の事は何も起きなかった。


「驚かせおって。それがそやつの本体だったのだな? 死んで変身がとけたというところか。失うには惜しい能力持ちではあるが、さすがの吾輩でも犬は眷属に出来んな」


ブラドが眷属に出来るのは、人もしくは魔族だけだ。人の姿から外れたものを眷属にすることが出来なかった。


「それでは、ワーウルフ、ワーキャットよ、そこの魔法使いを捕らえよ。ドラゴンは素材にして売り払うか」


ダイダルウェーブを避けるために離れていたワーウルフとワーキャットがブラドの命令に従い戻ってくる。クロンとレランはまだ生きているので、ヴァンパイアが止めを刺すために向かう。


「私のものにこれ以上手をださせないわ」


「誰だ!」


ブラドが声をした方を見ると、子犬が居たはずの場所に、人が立っていた。だが、その姿は全身が黒く、シルエットの様で判別がつかない。


「油断したわ、まさか回避不可能の魔法攻撃だなんて」


黒いシルエットが両腕を広げると、両手にそれぞれ1本ずつ大鎌が現れる。


「何者かは知らぬが、邪魔をするなら排除するまでよ。ワーウルフキング」


「やっと俺様の出番か」


ワーウルフキングは、岩山から飛び降りると黒いシルエットの近くに着地する。


「俺様の遊び相手になればいいんだけど、な!」


ワーウルフキングは最後の一言と同時に爪で切り裂こうと踏み込んだ。ブラドには、黒いシルエットを切り裂いたように見えた。


「ぎゃああ!」


だが、実際に切り裂かれたのはワーウルフキングの右腕で、ずるりと地面に落ちた。


「ごめんなさいね、2人とも」


黒いシルエットはいつの間にかクロンとレランの近くに立っていた。そして、クロンとレランを紫の煙が包む。


「エリザ様……ですか?」


人化したクロンが黒いシルエットに問う。すると、黒いシルエットはコクリと頷く。


「クロン、動けるようならレランを連れてマオの所へ行きなさい。マオ」


「わかっておる」


クロンとレランがマオの側へ着くと、マオは2人に回復魔法とさっきよりも強力なバリアを張る。それを確認したエリザは、ブラドの方へと向く。


「テメェッ、え?」


痛みに耐えて、もう一度エリザに攻撃しようとしたワーウルフキングの首が落ちた。


「ヒッ! い?」


そして、逃げようとしたワーキャットキングの首も同じく落ちる。


「ば、馬鹿な! 一体、何が起きているというんだ!」


攻撃するそぶりもなかったのに、あっという間にワーウルフキングとワーキャットキングが殺された。


「ヴァ、ヴァンパイアの恐ろしさを見せてやるのだ!」


ブラドは、さすがにワーウルフキングたちよりも強いヴァンパイアなら大丈夫だろうと思い、同胞をけしかける。


「私は、これでも怒っているのよ」


エリザに近づいたヴァンパイア達は、霧化する事も無く切り裂かれる。そして、そのまま復活する事も無かった。


「一体、何をしたのだ! ヴァンパイアが即死するなどありえん!」


「何って、魂を斬っただけよ」


「なんだと?」


ブラドは、それをヴァンパイアの核を攻撃したと捉える。不死身のヴァンパイアにも、体を復元するための核がある。それは1mm程度の大きさしかない上に、その位置は個人によって全く違うため、それを見極めることは不可能に近いことだ。それでも、それ以外ではヴァンパイアは死なないので、ブラドはそれを攻撃されたのだと思った。


「こんなことが……」


ヴァンパイアの貴族たちが、何もできずに死んでいく。上位のヴァンパイアであれば、体の一部でも残っていれば即時に再生するはずが、体の大半が残ったまま横たわる。核を失えば、その体を維持できずに灰となるはずなのにそれも無い。魂とは何なのか、ブラドには理解できなかった。


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