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封印されていた最古の魔王。――外伝――  作者: 斉藤一


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領主邸

「何? 4人の冒険者がここへ向かっているだと?」


ブラドは、放ったジャイアントバットから報告を受け、この屋敷へ冒険者が4人向かってきている事を知る。


「冒険者はあらかた戦力として、優先的に眷属にしたはずだ。まさか、眷属が死んだのはこいつらの仕業か?」


ブラドは、ジャイアントバットから引き続き情報を得る。ジャイアントバットは言葉は話せないが、念話の様なもので意思疎通する事が出来た。そして、4人の冒険者は若い女性だと知る。


「ほぅ。そやつらが生娘ならば、吾輩の魔力を高める糧となるだろう。屋敷に入れる。その後、殺さぬように捕らえよ」


ブラドは、部屋に居た眷属のヴァンパイアに命令する。


「俺達はどうする?」


ワーウルフキングがブラドに尋ねる。ただの冒険者であればヴァンパイアだけで十分であり、そもそも捕まえるだけなら労力を割きたくないと思っていた。


「お前たちは待機だ。そうだな……もし、予想外の抵抗がある可能性を鑑みてワーキャットキングにも連絡を入れておけ」


「分かったぜ。おい、お前。ワーキャットキングに連絡して来い」


ワーウルフキングは、部下のワーウルフにワーキャットキングに連絡を入れるように命令する。ワーキャットキングは、建物内の別の場所に居るのでそこまで時間がかかることは無い。


しばらくして、領主邸の前に冒険者が着いたとジャイアントバットから報告が入った。部下たちはすでに配置についているため、ブラド自身はやることは特にないが、どのような者たちか確認するために自身の一部を小さな蝙蝠に変えて入口へと向かって飛ばした。


「ここが玄関の様ね。道中は特に何も無かったけれど、ここでも何も無いとは限らないから注意しましょう」


「これだけの規模の屋敷で、門番の一人も居ないというのがすでにおかしいと思うが。それに、何やら上で我らの事を見張るように大きな蝙蝠が飛んでおるぞ」


「撃ち落しますか?」


レランが手のひらに火の玉を作りつつマオに尋ねる。


「いや、攻撃してこないのであれば放っておこう。それよりも、あれらが敵の偵察部隊であれば我らの事はすでに知られているという事だ」


「それじゃあ、扉を開けるわよ」


エリザは扉に手を当てて軽く押す。鍵はかかっておらず、簡単に扉は開いた。そこから、屋敷の中へと足を踏み入れる。クロンとレランは武器を構え、周囲を警戒した。

屋敷の中は、外と違って薄暗い。明かりを取り入れるための窓がすべて黒く塗りつぶされている上に、ろうそくすら灯っていなかった。


「ライト」


マオは、周囲を照らすように明かりの魔法を使う。しかし、周りには誰も見当たらなかった。


「それで隠れているつもりか? 魔力は消せても、視線で簡単に居場所を感じる事が出来るぞ?」


マオの一言で、奇襲は無駄だと判断したヴァンパイア達は、柱の影や天井から素早く飛び出して4人へと襲い掛かった。その動きは、ギルドに居た冒険者よりも遥かに素早い。


「おわっ、あぶねーな!」


「早い、けれど対応できないほどじゃないですね」


「攻撃に殺気が感じられんな。我らを殺す気は無いという事か?」


「恐らく、捕まえて眷属にでもするつもりなんじゃないかしら? でも、この程度の実力じゃ無理だと思うけれど」


エリザは、素早く矢筒から矢を4本取り出すと、弓に番えてヴァンパイアの一人に放つ。矢は、正確にヴァンパイアの手足を撃ち抜き、そのまま壁へと磔にする。


「アース・バインド」


マオは、ヴァンパイアの攻撃をかわし、お返しに足元の床を変化させてヴァンパイアを拘束する。単なる床であるが、魔力を込めれば簡単には抜け出せない拘束力を持つ。


「てりゃー!」


「はっ!」


レランはヴァンパイアの両腕をナイフで切り裂く。クロンは一振りでヴァンパイアの両足を斬り飛ばした。殺気が無いので、エリザ達もヴァンパイアの致命傷となる攻撃は行っていない。


「私達の勝ちね。それで、私達をどうするつもりだったの?」


「お前たちを、主様の糧とするために捕まえるはずだったが……これほどの力を持つなら我々も相応の力を出さなければならぬようだな」


「あら、話せたのね」


エリザは、話しかけてみたものの、返事があるとは思っていなかった。闇雲に攻撃してきた訳では無かったので、知能はあるとは思っていたけれど、会話できるとまでは思っていなかった。


「ここからは、我らも本気を出す。ブラッド・ムーン」


ヴァンパイアの一人が、屋敷の天井付近へ手を向けると、そこに赤い月が形作られる。同時に、それを見ていたヴァンパイア4人の傷は一瞬で再生し、さらに筋肉が肥大化して一回り体が大きくなった。


「大人しくしていれば、痛い目を見ずに済んだものを」


「あの赤い月が力の源なの? それなら、シューディング・スター」


エリザは、まだ話している途中のヴァンパイアを無視してブラッド・ムーンを攻撃する。矢が月に刺さると爆発して消滅した。


「無駄だ。あれはきっかけにすぎぬ。我らの力はしばらく維持されるのだ」


「そうなのね。でも、どの程度の力が上がったのかしら?」


「身をもって知れ」


ヴァンパイア達は、再びエリザ達に攻撃をしかける。素早さは、先ほどよりも早い。クロンが、ヴァンパイアの長くのばされた爪を受ける。多少は攻撃力が上がっているとは思っていたが、予想よりも攻撃が重く、床が陥没し、さらにクロンの足首が床に埋まった。


「レラン、こいつらの攻撃は受けない方が良いわ」


「けど、さっきよりも動きが早くて……わっ、あぶない」


「ダーク・アロー」


ヴァンパイアが黒い矢を放つ。ブラックドラゴンであるクロンには効果が無かったが、レランにはデバフが乗った。その効果は、目の前が暗くなるというものだった。


レランはそれでも何とかヴァンパイアの攻撃を回避しているが、その動きは危なっかしいもので、いつ攻撃が当たるか分からない。


「マオ、あの子たちの補助を」


「マジックレジスト、スピードアップ、パワーアップ、ディフェンスアップ」


マオはスローターの機能を使い、複数の補助魔法を同時にかける。


「ありがとうございます」


「助かったぜ」


マオの魔法を受けて、クロンとレランはヴァンパイアに簡単に対応できるようになった。魔法の効果は効かず、動きはヴァンパイアより早く、力でも押し勝ち、攻撃がかすった程度ではダメージを負わない。


「こんな馬鹿な事が! 我らの本気の攻撃を、たったあれだけの補助魔法などで!」


「余所見をしていていいのか? アイス・アロー・トリプル」


マオは、複数の氷の矢を放つ。ヴァンパイアは回避しきれず、体に穴が開くがすぐに再生する。


「再生能力が高くて面倒ね、一撃で倒すわ。ピアシング・アロー」


エリザの矢は、ヴァンパイアの頭を貫通した。どんな生物でも、脳を破壊されれば死ぬはずだが……。ヴァンパイアの頭に開いた穴は、すぐに塞がった。


「……再生した?」


「ふむ、頭が急所では無いようだな」


「我らは不死身だ。無駄な抵抗を止めて大人しく捕まるがよい」


それを見て、クロンがヴァンパイアの首を刎ねる。だが、体が赤い霧のようになって頭の元へ集まると、体が復元した。


「本当に、不死身だというの?」


「燃やして灰にしてやる!」


レランが火球を作り出し、ヴァンパイアに投げつける。それですら、ヴァンパイアを燃やし尽くす前に燃えた場所が再生していった。


「本当に、不死身なのかよ!?」


レランが、何をしてもすぐに再生するヴァンパイアに手こずる。クロンも目の前のヴァンパイアの爪攻撃と剣の打ち合いで精一杯でレランの援護には行けそうにない。エリザは再び矢で磔にしようとしたが、自在に体を霧のように変えられるようで、すり抜けられていた。マオの魔法でも拘束できず、攻撃力のある魔法では屋敷自体を壊しかねないので撃つことが出来ずにいた。







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