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封印されていた最古の魔王。――外伝――  作者: 斉藤一


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四天王ブラド

ブラドの上空に雨雲が集まり、ウェストサイドの街では異常な雨量にさらされていた。地面はみるみる湖のように水であふれ、雨音は魔物たちの立てる音を隠す。ブラドは、この雨に紛れてウェストサイドへと侵攻を開始する。それは、休むと決めたエリザにとっても想定外であり、まさか雨の中を進軍するとは思っていなかった。さらに――。


「この雨は、吾輩の魔法を強化してくれる。では、全軍整列」


ブラドの軍は、全員が眷属と呼べるもの達だ。少ない同胞と、その眷属であるウルフやジャイアントバットの様な魔物、吸血鬼と同様に夜に活動が得意な人狼や人豹など。そして、その結束力は他の四天王とは段違いに高かった。なので、ブラドの命令を従順に、正確にこなす。魔族、魔物の軍は静かに、綺麗に整列した。

それを見て、ブラドは自分の手のひらをナイフで傷つけ、あふれた血を地面へと垂らす。傷はすぐに癒え、そこに傷があったのかどうかすら分からない。そして、地面へ……正確には雨で溜まった水に血は混ざった。


「ブラッド・ダイダルウェーブ」


ブラドの足元の水が盛り上がる。それは、徐々に広がり整列した魔族たちをも持ち上げる。そして、それは高層ビルの様な高さまで盛り上がると、急激に速度を上げてウェストサイドの街へと向かった。


一方、ウェストサイドの街では。


「な、なんだ! なぜこんな大量の水が街へ向かってきている!」


壁の上から周囲を警戒していた兵士は、急に現れた大量の水に驚く。すぐに警戒の鐘を鳴らすが、大雨による雨音に消されて気が付くものが少なかった。雨が強い夜という事もあり、通りを歩く人もおらず、いつもならやっている酒場ですら客が来ないと思って早々に閉めていた。


「くそっ、のろしを上げようにもこの雨じゃ不可能だ!」


兵士は、すぐに上官へと報告に向かうが、彼が上官の元へと着くよりもブラドが到着する方が早かった。さらに、その津波はウェストサイドの街を守る壁よりも高いため、やすやすと街への侵入を許してしまう。そして、壁を乗り越えたところで津波はただの水に戻る。


「さあ、この街を吾輩たちの領土とする。建物は出来る限り壊すな。住民は……好きにしろ」


ブラドの命令が下ると、それぞれの眷属を従えて各部隊が街へと突入する。吸血鬼は住民を眷属として使役し、人狼や人豹、ウルフやジャイアントバットは腹を満たすために住民を襲った。その襲撃の音も、雨音に消されて寝ている住民は気が付かない。何か起こっているんじゃないかと目を覚ました住民も、外の雨を見て外へ出るのを躊躇する。そして、一夜にしてウェストサイドの街は抵抗する間もなく陥落するのであった。


次の日の朝、出発までの暇つぶしにマオはクロンとレランに魔法の講義をしていた。朝食はローランドが作り、エリザはまだ寝ている。


「というわけで、魔法には大体似たような特徴がある。切り裂く系統や閉じ込める系統、形状は玉や槍型などがあるな。ただ、属性によって効果は全然変わるが。レランが得意な火魔法では、閉じ込める系や切り裂く系は苦手な代わり、球状でも爆破が含まれたりして攻撃力は高い。そしてクロンは……」


「はい。私は頑張れば闇属性の魔法が使えそうです」


クロンも魔法を使うのを諦めたわけではなく、何か無いかと時間を見てはマオに聞いていた。だが、いくら練習しても火、水、風、土の4属性の魔法は全く使える気配が無かった。当然、それから派生する炎、氷、雷、砂などもってのほかだ。そして、この世界では闇と光の魔法はほとんど知られていなかった。なので、存在自体知らなかったクロンは闇魔法の存在を知り、マオから教わることによって使えそうだという事が分かったのだ。


「うむ。闇は4属性と全く違う特性がある。基本的に吸収や重力など目に見えぬ効果を発揮するものが多い。その代わり、扱うのが難しいのだ」


「はい、頑張って練習します」


マオの講義が終わり、クロンとレランの自主練に入った頃、エリザが起きてきた。それに合わせて、ローランドも料理を完成させるべく仕上げていく。


「ふあーぁ、おはよう。あら、二人とも熱心ね」


「はい。レランに負けるわけにはいきませんから」


「はんっ、あたしのほうが魔法で負けないよ」


実力では完全にクロンの方がレランよりも上の為、せめて魔法の技術だけでは負けまいとレランは練習に熱を上げる。


「そろそろ朝食だから、ほどほどにね。さてと……」


エリザは、ウェストサイドの街の様子を探るため万里眼を発動する。


「まだ戦闘は始まっていないようね」


上空から俯瞰したように簡単に確認したエリザには、吸血鬼化した住民が民家にこもっているため分からなかった。

外での戦闘がほとんどなく、血は雨に流され、建物が壊されることもなかったため、見た目的には何も無かったように見える。また、ブラドのほとんどの部隊が領主の家へと詰めているため敵の姿としても見当たらない。

吸血鬼も、すべての住民をすぐに吸血鬼に変える事が出来なかった為、通常の住民も存在している。その中には、人狼たち人肉を食べる配下のエサとなるものも含まれていた。なので、それらの住民が多少生活の為に歩いていたのも普通の日常を送っている様に見えてしまっていた。

ただ、エリザは外に出歩く人の姿があまりにも少なすぎる事には目を向けるべきだった。

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