追跡開始
「あなたほどの冒険者がやられるなんて。それで、何があったの?」
エリザは、ローランドが落ち着いたのを見計らって話しかける。
「まずはお礼を言わせてくれ。ありがとう。本当に、助かったよ」
ローランドはマオに礼をする。マオは、大したことは無いとそっけない態度だが。
「石化させられたんだ。レイランと名乗ってはいたけれど、緑色の肌をした、全然似ても似つかない姿だったよ。本人は魔族だと言っていたけれど、少なくとも私は見た事がない」
エリザも、石化させてくる魔物はいくつか知っている。けれど、この世界の常識が分からないため、とりあえず推測するのは止める。
「レイラン……やはり生きていたのね。けれど、なぜローランドを狙ったのかしら?」
「いや、狙いは君だよ、エリザ。レイランは、私がエリザと一緒に居ると思ってきたみたいだ。だが、予想と違って別々に行動していたから君たちには会わなかったようだ。なぜ私の居場所が分かったのかは分からないけれど。たまたまかもしれないし、何か調べる手段があるのかもしれないし」
「それにしても、なぜ砕かなかったのかしら。石化なんて解いたら終わりなのに、何もしないなんて」
「私が知る限り、石化が解かれたという話は聞いたことが無いよ。だから、石化したからもう死んだものと思って去ったんじゃないかな?」
レイラン内のシルバの心はローランドも分からないので、無難な回答をする。
「そう……。マオ、付近に怪しいものは居ないか調べてもらえる?」
「分かった。ソナー」
エリザは、まだレイランが遠くへ行っていないと予想してマオに付近を探らせる。
「十数キロ先に、それらしいものが見つかったぞ」
「どっちの方向?」
「こっちの方角だ」
マオが指さした方をエリザが視る。すると、ローランドが話していた緑色の人型が見つかった。
「行ってみましょう。レラン、今度はあなたが飛ぶ番よ」
「やった! 任せな!」
クロンはここに来たときに人化したため、ドラゴンの姿に戻せない。なので、レランをドラゴンに戻して追跡することにする。
「ローランド、あなたはどうするの?」
「私は今回、足手まといにしかならない。だから、クリムゾンと一緒に予定通りウェストサイドへ向かうよ。君たちは、この件が終わったらそこへ向かうんだろう?」
「そうね。分かったわ、そこで落ち合いましょう」
「ところで、何か対策はあるのかい? 私は、目が合っただけで石化したんだけれど」
「多分大丈夫よ。目を合わせずに戦う方法なんていくらでもあるもの」
「そうなのかい? それならいいのだけれど。取り合えず、気を付けて」
「分かったわ」
話の区切りがついたところで、レランは浮かび上がり、マオが指した方向へと飛ぶ。そして、ほどなくしてレイランに追いつくのだった。




