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Cランクパーティのザジ

「おい、あいつらって……」

「ああ、Cランクパーティのザジ達だ。あいつら、目を付けられたみたいだな、ご愁傷さまだ」


周りから、こそこそと話をする声。もちろん、地獄耳のエリザはそのすべてを聞いていて、何が起こるのか期待していた。マオは、この3人がまだ何もしてこないので手を出すつもりはない。


「何の用かしら? 私達は、これから薬草でも根こそぎ採取して驚かせようと思っているの。邪魔しないでもらえるかしら?」

「はっ、大方そんな事だろうと思っていたぜ。だが、俺達がそんなことを許すと思うか? ああん?」


どこぞのチンピラかと思うようなガンつけに、ザジの後ろにいる2人もにやにやと笑っている。


「ここじゃ目立ってしょうがねぇ。場所を変えるぞ、付いてきな」

「いいわ。私は目立っていてもいいのだけれど、あなた達が大恥をかきたくないというなら着いて行ってあげるわよ」

「口のへらねぇ新人だ。おら、ついてこい」


あごで、ついてこいときびすを返す。マオとエリザはその後ろを着いて行く。


「って、ここは食堂じゃないの。一体どういう事?」

「好きなものを注文しな、おごってやる。その代わり、俺の話をしっかりと聞くことだ、いいな?」

「よくわからないけど、良いわよ」


エリザは、なんか思っていたのと違うと思いつつも、食欲優先の為、食堂のおすすめを注文する。マオも、簡単な食事を注文した。いくらでも食べられるエリザではあるが、さすがにこの事を不審に思っているのでいつもの様な大量の食事を求めなかった。


3人組は、飲み物だけ注文する。そして、料理が運ばれてくるまで特に何かを言ってくることは無かった。そして、料理と飲み物が届いたとき、再びザジが口を開いた。


「さあ、まずは食え。ここの料理はなかなかうまいぞ」

「……いただきます」

「いただきます」


マオとエリザは、料理を口にする。確かに、意外と美味しい。2人が食べ始めたのを見て、ザジ達も飲み物を口にする。そして、マオに向かって話し始めた。


「まずお前。見た所、何も装備していないようだが、体格から見て格闘家ってわけじゃ無いだろう? まさか、魔法使いか?」

「ああ。我は魔法使いだ。それがどうした?」

「どうしたじゃない! いくら魔法が使えるとはいえ、詠唱中は無防備になるし、魔力が切れたら何もできねぇ。接近されても困るだろ。だからほれ、これを持っていきな」


ザジは、腰に挿していたショートソードを鞘事抜いてマオに渡す。


「……む、いいのか? 我には必要が無いと思うが」

「いいんだよ、戦い以外にも解体や枝を削ったりするのにも使うんだからよ」

「さすがは初心者サポーターのザジだ。新人に親切だぜ……」


どこからか、そんな声が聞こえてくる。どうやら、ザジはマオたちに絡んだ訳では無く、親切心で接してくれているのだ。見た目はともかく、心は善意でいっぱいだ。そして、エリザの表情がまたしてもがっかりした感じになる。思っていたのと違うと。


「あとは、薬草を根こそぎ取るというのもやめてくれ。株をいくつか残すか、再生できるくらいの長さで切るなどして、無くならないようにしないと、新人の薬草採取が大変になるからな。それに、よく薬草と違うものを採取するやつも多い。ギルドの2階にサンプルが展示してあるから、それをよく見て覚えてから行くといい」

「あ、はい」


薬草はあるだけ取ればいいと思っていたエリザは、的を射たアドバイスにただ返事をするしかない。そして、食事のあともザジの初心者への親切アドバイスは続いたのだった。


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