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封印されていた最古の魔王。――外伝――  作者: 斉藤一


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準備

王都は大陸の北側にある。そして、その東側にあるという事でイーストサイドという名前を付けられた街があった。王都からは馬車で1週間ほどかかる距離があり、早馬を使っても数日はかかる。そこから、救援要請が出されて王都へと届いた。しかし、王都も自分の街を守る兵力を引けば、対外に十分な戦力を送るだけの兵士はいない。そこで、ダメもとで冒険者ギルドへと緊急依頼が出されていた。


「その依頼が出されたのは数日前。その時点ではまだイーストサイドも戦闘が行われていなかっただろうと思われる。イーストサイドからの斥侯が、魔物の大群を発見したという知らせだったからな。だが、ここからイーストサイドへ向かう頃には戦闘中か、戦闘後だな。街の勝利で終わっていればいいが、もし魔物の大群が占拠していた場合、普通の冒険者では生きて戻る事は出来ないだろう」


「それで、私達に行けと? 別に構わないわよ。暇をしているよりはよほどいいもの」


「それなら、私も着いて行こう。Aランク冒険者として、街の危機は見過ごせないからね」


ローランドはエリザ達の移動速度を知っている。そして、ギルドマスターも大体を理解している。だからこそ、このタイミングであってもエリザ達ならばイーストサイドへ行く意味があると考えている。普通の冒険者のパーティをいくら送っても、着く頃に戦闘が終わっていては意味が無いからだ。

何より、受けてくれる冒険者が今のところ居ないし、強制的に依頼を受けなければならないCランク以上の冒険者はザジのパーティのみだ。しかも、そのザジのパーティも他の依頼を受けていて街に居なかった。

そして、強制依頼にはAランクは含まれていない。Aランクは基本的に複数の国にまたがって活動し、また一つの国が戦力として保有しないように自由裁量が認められているからだ。だから、ローランドは自主的に参加しようと表明したのだ。


「それは助かる」


そこで、ギルドマスターはエリザの方をちらりと見る。ローランドは、エリザ達の事をどれほど知っているのかと。それを気付いたエリザは、頷いて答える。


「ローランドはクロンがドラゴンだという事を知っているわ。だから、私達と一緒に行動しても問題は無いわ」


「それなら、ローランド。エリザ達と一緒に行ってくれるか?」


「望むところだよ」


ローランドは是非ともエリザと一緒に居たいと思っていた。なので、この依頼は渡りに船であり、あわよくば危険な旅を通して一層親しくなりたいと思っていた。だが、エリザの方は何も思っても居ない。ただ、一緒に行動してもしなくてもどちらでもいいだけだ。


「それじゃあ、すぐに向かうわね」


「戻ったばかりなのに、休まなくて大丈夫なのか?」


「平気よ」


ローランドとしては、いくら急ぎの依頼だとしても、1泊くらいは宿に泊まるものだと思っていた。それに、村長の家では仮眠の様なものをとっただけで、休息と呼べる様なものではなかった。対して、エリザ達は村長の家で普通に休み、移動もクロンが行ったので誰も疲れていない。見た目的にも傷はすべてマオが治しているので全快に見える。


「……済まないが、装備の手入れと、その、汚れを落とす時間を少し貰えないだろうか?」


ローランドは、休むのを諦めはしたが、装備の手入れはしたいと思っていた。命を預ける道具だ、何かあってからでは遅い。鎧の隙間に入り込んだ砂粒でさえ、刹那を争う戦闘中では、動きの邪魔になるかもしれないのだ。また、男として汗臭いまま女生と一緒に居られないという思いがある。


「そうね。それじゃあ、私達は少し物資の補給をしましょうか。終わったら、城門前で落ち合いましょう」


「ありがとう。それじゃあ、私は失礼する」


ローランドは時間が惜しいとすぐにギルドマスターの部屋を出て行った。


「本当にいいのか? お前たちも、いろいろと秘密がありそうだが」


「別に知られても構わないわ。目立ちたくないだけで、あの男が言いふらすとも思えないもの」


「確かに、ローランドは見た目は軽そうだが、女性に対してだけは真剣だからな。それとも、惚れたのか?」


「それは無いわね」


「そうか……」


ギルドマスターとしては、街の危機を救おうとしてくれるローランドに対して、少し恋の後押しをしてあげようと思ったのだが、その脈が無さそうだと感じて諦める。ローランドが恋をしているかどうかは、視線で誰でもわかる。恋の相手以外が全く見えていないからだ。実際、ローランドはこの部屋に来てからエリザ以外に視線を向けたことは無い。マオも、クロンも、レランも居るのに。だから、ギルドマスターもすぐにわかったのだった。


「それじゃあ、私達も準備に向かうわね」


「ああ、頼む。報酬は出来るだけ用意する」


「別に、お金は必要ないわよ。その代わり、何か面白いことを用意しておいてね」


エリザ達も、ギルドマスターの部屋から出る。


「面白いことか……。なかなか難しい注文をする」


ギルドマスターに面白いことをやれというのなら、何ができるか考えるが、面白いことを用意しろと言われても、おいそれとある物ではない。


「とりあえず、何か情報が集まっていないか調べるか」


ダメもとで、ギルドマスターは受付の方へと向かうのだった。



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