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封印されていた最古の魔王。――外伝――  作者: 斉藤一


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逃亡

「レイランの死体が無くなっているわね」


「血の跡は、村の外へと続いているようだ。――シルバー!」


ローランドは、その血の跡がシルバーを待機させている場所へと続いていることに気づいて走り出す。

そして、到着した場所には変わり果てたシルバーの姿があった。レイランが、自分の傷ついた臓器をシルバーのもので代替するために解体して行ったのだ。

レイランは、動く死体と言えるほどにほぼ生命活動が無く、魔石さえ無事なら動く事が出来る。あの場も、死んだふりをしていたにすぎない。魔石がある場所は、そう簡単には壊れないように頑丈に作られていた。そして、夜になり、機を見て逃げ出した。


「シルバー……私が村の外の方が安全だと思って置いて行ったばかりに……」


辺りには、シルバーの血と思われる血が飛び散ってはいたが、レイラン自身の血は縫合などで応急手当てをして流れないようにしたため、この場から離れていく血痕は無かった。


ローランドは、落胆し、シルバーの墓を作ると言ってその場に残った。エリザも手伝おうかと思ったけれど、ローランドはシルバーとの思い出に浸りたいと断った。しばらく時間がかかりそうだと思ったエリザは、村長の家へと戻る。


「ただいま」


「出発するのか?」


「まだね。ちょっと予想外の事があったのよ」


エリザはマオにレイランの死体が無かった事、そしてローランドの愛馬の死骸があったことを伝える。


「それでは、レイランが生きていると考えて良いという事だな」


「ええ。恐らく、もう近くには居ないでしょうね。マオはレイランがどこへ行ったか分かる?」


「一応、調べてみるか。ソナー」


マオは探索魔法で付近にレイランが居ないか調べる。しかし、それらしい反応は無かった。


「付近には居ないようだ。もし、地面の中にでも潜られていたら近くに居たとしても分からぬのだが」


「うかつだったわね。あの時、すぐに死体を回収しておけば良かったわ」


「脅威と感じていなかったから仕方あるまい。それに、我らだけなら何の問題も無かった」


「そうね……」


仮にレイランが生きていようと死んでいようと、マオ達には関係が無かった。敵意を向けられれば倒すし、逃げるのならば特に引き留めもしなかっただろう。


「ずいぶんと待たせてしまったね」


「別に構わないわ」


ローランドは墓穴を作り終えて戻ってきた。その間、エリザ達はレランやクロン、マオと会話をして過ごしていた。それに、待ったと言っても1時間ほどだ。


「泥だらけね。お風呂にでも入ったらどうかしら?」


「いや、これ以上君たちを待たせる訳にはいかない。出発しよう」


エリザにとって、別にもうローランドと一緒に居る意味は無いのだが、なんとなく「レイランの死体が無くなったのだから別々に行動しましょう」と言いづらかった。それに、馬のいないローランドでは、王都まで歩いて行くのは食糧事情的にも辛いだろう。


「分かったわ。それじゃあクロン、人化の呪い解除」


村長の家の前でクロンの人化を解除する。


「……本当に、ドラゴンなんだね」


知らされていても、実際に見ると驚く。それに、レランと違って完全に無傷のドラゴンだ。


「君は、レランよりも強いようだね」


「ぎゃう」


ローランドは、クロンから感じる覇気でレランよりも強いことを悟る。そして、クロンも「当然」と答えた。レランは、事実なので何も言えない。


「さあ、乗って。落ちないように拘束する必要はあるかしら?」


「いや、大丈夫だ」


鎧を着ているローランドは、クロンの鱗で滑りやすい様に見えたが、どういう技術を使っているのか、ドワングとは違って不安定さは無い上に、高所も平気の様だった。クロンは、ローランドに褒められたため、土足で上がる事は黙認した。


「出発よ」


クロンは大きく羽ばたくと、高度を上げる。そして、滑空するように王都へと向かった。


「本当に、あっという間に着くんだね」


一応、王都にも目立たないように少し距離を離して着陸し、徒歩で来る。移動手段は魔法で色々とできそうだが、歩く事も冒険者のロールプレイに他ならない。


そして、ギルドへと報告に向かう。ギルド内は、相変わらず冒険者の数が少なかった。そのため、受付に並ぶ必要性はなく、すぐに対応してもらえる。


「ギルドマスターは居るかい? すぐに呼んで欲しい」


「ロ、ローランド様! はい、すぐにギルドマスターを呼んでまいります!」


数少ないAランク冒険者であるローランドは、ギルドでも有名人だ。すぐにギルドマスターが現れる。


「どうしたんだ、急に。何かあったのか? ん? エリザ達も一緒か。よし、俺の部屋へ来てくれ」


周りに聞かせられない話だと判断し、ギルドマスターは自室へと移動する事にした。


「まあ、座ってくれ。それで、何があったんだ?」


ローランドは、ギルドマスターに自分の依頼の報告と、エリザ達の調査した村の事を話す。ローランドは、エリザとの打ち合わせ通りに、自分の活躍を誇張気味に話す。


「まさか、廃村になった場所に四天王が隠れ住んでいたとはな……。よし、逃げた四天王についても調べるように通達しよう。エリザ達も、調査ご苦労だったな」


ギルドマスターは、ローランドの言う事を信じていた。やはり、Aランクとしての実績は確かなものがある。エリザ達の強さも認めているが、ギルドマスターの中ではまだローランドの方が強いと思っていた。


「それで、これからどうすればいいのかしら?」


エリザは、今のところ目的は無いのでギルドマスターに何か無いか聞く。


「他に調査に行った者たちから、いろいろと情報が集まってきている。それによると、やはり魔王軍がこの大陸を支配しようと各地に魔物を放っているようだ。だが、程度の差はあるが、今のところそれほど強い魔物は現れていない。むしろ、この王都が一番危なかったな。その件に関しては、本当に感謝している」


ギルドマスターは頭を下げ、エリザ達に再び感謝を示す。クロンは少し居たたまれなかったし、レランは何のことか分かっていなかったが。


「やはり、一番の問題は魔王城だと思うんだが、そちらについては全く情報が集まってこない。高ランク冒険者が居ないから、近づこうにも近づけないんだ。魔王城に近くなるほど、魔物の強さは強くなるからな」


魔王城は、ラスボスという感じがするので、そこをクリアしてしまうとこの冒険が終わってしまう。なので、エリザとしてはまだ魔王城へと行く予定はない。


「だから、まずは救援要請のあった街へ向かって欲しい。街の名前は、イーストサイドだ」







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