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封印されていた最古の魔王。――外伝――  作者: 斉藤一


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雑談

レランが風呂場に行き、エリザとローランドだけが部屋に残った事になる。これ幸いにとローランドはエリザに話しかける。


「エリザさん達は、これから王都に戻るんだよね?」


「そうよ。調査は終わったから、あとは報告だけね」


エリザは、ギルドへ村の調査をどう報告しようかと少し考えた。そして、目の前にいるローランドを使う事を思いついた。


「ねぇ、ちょっとお願いがあるのだけれど」


「何だい? 私に叶えることができることならなんでも言ってくれ」


「私達、本当は調査だけで帰るつもりだったのに、四天王を倒しちゃったじゃない? だから、四天王を貴方が倒したことにしてくれないかしら?」


「何故だい? 四天王討伐は、冒険者にとってはものすごい実績になると思うんだけど」


「すでに一人、倒しちゃってるからもういいのよ」


「もう一人……」


そこから、エリザはローランドに王都の防衛戦の話をする。途中でレランが戻ってきたが、話が長くなるからとクロンとマオの元へと行かせた。


「なるほど。それで、これ以上目立つ手柄は要らないと……そう言う事でいいのかな?」


「そうよ。死体なら、アイテム袋に入るでしょ?」


「そのまま入れるのは気持ちがいいものではないから、何か棺みたいなものにでも入れればね」


エリザとしては、これ以上冒険者ランクを上げる事と目立つことは、気軽に旅をする支障になると考えていた。いくら噂の伝達速度が遅いと思われるこの世界でも、遅いだけでいつかは伝わるからだ。そうなると、芸能人が街を素顔で自由に歩けないのと同じになってしまう。

ローランドは、あれこれとエリザの興味を引きそうな話題を探していたが、エリザの興味をひくことはできなく、しばらくしてお互い別れて寝る事になった。しかし、ふとローランドが思い出すように口にする。


「ああ、そう言えば周囲の警戒に、夜番は立てる予定なのかい?」


普通の冒険者であれば、魔物や盗賊に襲われないようにパーティのうちの誰かが一人夜番に立ち警戒する。しかし、ソロであればそう言うわけにも行かないので、町や村に泊まるのだが、あいにくこの村は敵の手に落ちていた。つまり、誰かが警戒のために起きていなければならないのだが、どうするのかと。


「私なら、今から数時間仮眠する時間を貰えれば、夜番をするよ」


ローランドはエリザの点数稼ぎに夜番に立候補する。女性に冒険者にとって、夜遅くの夜番は肌にも悪いし緊張感もあるしで嫌われているのを知っている。


「大丈夫よ、バリアを張るから。貴方にも張ってあげようかしら? この部屋を覆うからトイレには行けなくなるでしょうけど」


「バリア? エリザが張るのかい?」


「マオが張るわ。私は魔法使いじゃ無いもの」


ローランドは、エリザからも強い魔力を感じていたため、魔法使いじゃないと聞いて不思議に思うが、問う事は無かった。


「それなら、その子が徹夜するのかい? 普通、魔法使いの意識が落ちたら魔法が途切れるよね?」


マオは、魔力持続型の魔法を使えるため別に意識が無くても魔法が途切れることは無いが、それはこの世界にとっては普通の事じゃないと、ローランドの話でエリザは気が付いた。それをごまかすために、フローターの事を話す。


「特別な武器があるのよ。それを使えばバリアを張り続けられるのよ」


「そんな便利なものがあるのか。けれども、私にバリアは不要だよ、もし何かがあれば気配で起きることが出来る。それに、トイレに行けないのも困るしね」


ローランドは、エリザのご機嫌取りのために少しでもマオの負担を減らしてあげようと考えた。それに、近くに村や町が無くて泊まれないときは、意識を浅くした瞑想の様なもので体を休めながら、何かがあればすぐに起きて動けるように訓練してある。


「分かったわ、それじゃあおやすみなさい」


「ああ、おやすみ」


ローランドはエリザが寝室へと向かうのを見送り、自身は鎧姿のまま剣を抱えて壁に背中を預けて眠る。ローランドは紳士なので、寝室へと入り込むことは無かった。もし、入ろうとしてもマオのバリアで防がれるのだが。


ローランドの意識に引っかかるものがあり、意識を覚醒させる。体感的には浅い眠りに入ってから数時間しか経っておらず、辺りはまだ暗いままだ。

静かに壊れた入口に近づき、外を伺うが何も見えない。


「気のせいか?」


しばらく待っていたも何の音も気配もないため、ローランドは気のせいだったと思い、再び眠りについた。


「おはよう」


マオの声に、ローランドの意識は覚醒し、目を開ける。


「ああ、マオと言ったかな? おはよう。早いね」


「食事の用意をしようと思ってな。おぬしも一緒に食べるか?」


「いいのかい? 私は携帯食くらいしか持っていないから、もし食事にありつけるならお願いしたい」


「よかろう」


アイテム袋は、時間の経過は変わらないので、水はともかく野菜や肉などの鮮度は落ちていく。つまり、昨日のエリザの提案で死体をアイテム袋に入れた場合、時間が経てば腐っていくのだ、アイテム袋の中で。生物はアイテム袋に入れられないが、一定以下の大きさの生物は、生物扱いされていないのかもしれない。


マオが村長の家のキッチンを使って様々な料理を作っていく。フローターの機能に、時間操作による疑似アイテム袋的な機能が付いているため、新鮮な食材がそのまま使えるのだ。空間収納はエリザが使えるが、目立つので出来るだけ使わない事にしたのだ。


「まだ小さいのに、手慣れたものだね。それが、特別な武器かい?」


「ああ、とある村で作って貰ったものだ。思ったよりも便利で役立つ。料理は……必然的に覚えさせられた」


フローターはミスリル製ではあるが、見た目は鉄に見えるように偽装されている。見た目がミスリル製では、大勢の悪党から狙われるだけだ。余計な厄介ごとは寄せ付けないに限る。それでなくとも、美女と美少女に声をかけようとするものは多いというのに。


「出来たぞ。エリザ達を起こしてくる」


ローランドは、マオからエリザの事についていろいろと聞きたいことがあったが、マオの料理の手際が思ったよりもよく、聞く暇がないまま終わってしまった。


「ふあーあ、眠いわ」


エリザがあくびをしながら寝室から歩いてくる。寝起きであっても、エリザの美しさに変化はない。何せ、変身なのだから変化のしようがない。


「おはようございます、エリザ。それに、クロンとレラン」


「おはよう」


「おはようございます」


「……」


レランは、まだ昨日攻撃されたことを根に持っているのか、挨拶の返事をしない。けれども、ローランドはそれを気にせずに食事の席へと着く。特に席は決まっていないので自由に座る。


「いただきます」


各々、好きなものを食べ始める。クロンとレランは大体いつも肉で、マオは食事が不要だが、ポーズとして肉や魚、野菜をバランスよく食べる。エリザは何でも食べるので、近くにある物を食べる。ローランドは、陸地では珍しい焼き魚を食べる事にした。


「美味しいね。魚なんて久しぶりに食べた気がするよ」


「確かに、ずいぶんと値段が高かったが、エリザが食にうるさくてな」


「珍しいものは何でも食べたいじゃない」


その割に進んで魚を食べようとはしてないエリザ。ようは、食べたいときに食べたいものを食べるのが好きなだけだ。


「ごちそうさまでした」


レランとクロンの肉の取り合いなど、騒がしい食事の時間が終わる。マオが後片付けをしている間に、王都へと帰る準備をする。


「私は、相棒のシルバーに朝食を与えに行ってくるよ」


「それなら、ついでに四天王も回収しましょう。一緒に行くわ」


方角が同じの為、レイランの回収をしにいく。棺は、マオがすぐに土魔法で作ってくれた。


「変ね。無いわ。夜のうちに、魔物か動物にでも食べられたのかしら?」


「魔物は無いよ。その気配は無かったからね。それに、骨なんかの食べ残しがあるはずだけど、それもない。それに……」


レイランが潰された血だまりから、点々と村の外へ向かって足跡の様なものが続いていた。

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