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封印されていた最古の魔王。――外伝――  作者: 斉藤一


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白銀のローランド

「グルアー!」


レランは「勝ったぞー!」と咆哮する。そして、クロンの方へ向いて短い爪をビシッと突きつける。


「グアッ、ガルアッ!」


「これで少し強くなってあたしのほうが強くなったかもって? それはない」


レランとクロンが言い合いをしている。エリザとマオもドラゴンの言葉が分かるのでクロンの通訳が無くても大丈夫だ。そこへ、異様にひびくガシャンッ、ガシャンという足音がしてきた。エリザとマオは接近に気が付いていたが、敵意が無かったので放っておいたのだ。暗くなった村の外から、白く浮かび上がるものがある。


「誰?」


クロンはその足音の主に尋ねる。足音の主は、真っ白な鎧とヘルムで全身を覆っているため素顔は見えない。そして、白鎧はゆっくりを鞘から剣を抜いた。その鞘も剣も真っ白で、剣の刀身はミスリル製でうっすらと輝いている。


「そこの黒い鎧の少女、離れていなさい」


比較的、その声は中性的ではあったが、男性のものであった。そして、白鎧の男は剣をレランへと向ける。


「激しい戦闘音や竜巻が見えたので慌てて来てみれば、まさかドラゴンが暴れているとは」


「グギャア!」


レランは「あたしじゃねぇ!」と叫ぶが、その男には言葉は当然通じないどころか、敵意を向けたと判断される。


「そのドラゴンの状態を見ると、見た目に寄らず君たちも結構強い冒険者の様だな。しかし、そこの少女はもう限界だろう。剣は折れ、体も傷だらけだ。だから、あとはこの私、白銀のローランドがやる!」


クロンの現状が、レランによってもたらされたものだとローランドは判断した。ローランドは、鎧なのにも関わらず、素早くレランに接近すると斬りつける。レランは、とっさにそれを短い爪で受ける。翼が無いため、飛んで逃げる事も出来ず、地上では動きづらい。なので、レランは牽制程度の弱さの火球を吐く。


「この程度の攻撃で、この私を倒せると思っているのか!」


ローランドは、レランがわざわざローランドの足もとの地面を狙った火球をわざわざ斬り捨てる。かっこつけのために。左右に別れた火球が暗い村を一瞬照らす。


「とうっ!」


ローランドは垂直にジャンプした。一体、真上に飛んで何をするんだと不思議に感じたレランは動きが止まる。


「私が光魔法と剣技の融合として生み出した必殺技を食らえ! 月光刃!」


ローランドは親切な技の説明と共に剣を振りぬく。すると、三日月の様な剣の刃が産まれる。その幅は、5メートルほどもあった。さらに、そのスピードはあっけにとられていたレランでは防げないほど。


「グアッ」


そして、それはレランが「あ、これ死んだ」と呟くほどの威力を感じる剣の刃だった。


「っと、危ないわね。さすがにそれはダメよ」


「グルゥ!」


エリザがその剣の刃に矢を当てて逸らす。少しだけレランの首筋をかすめて切れたが、首を切断されることは避けられた。レランが「ご主人様!」と目に涙を浮かべている。


「君、何をするんだ。ドラゴンを助けるなんて。ああ、そうか。さすがに君たちが弱らせたドラゴンを倒して手柄を横取りするつもりはないよ。大丈夫、当然ドラゴン討伐の手柄は君たちに渡すよ」


ローランドは、エリザの横やりをドラゴン討伐の手柄を取られたくないからだと判断した。だから、安心して欲しい、手柄は渡すと勘違いしたまま再びレランへと攻撃を加えようとする。


「違うわよ。その子は私達の仲間よ」


「は? ドラゴンが仲間? 何を可笑しい事を言うんだ。こんな危険な生物は討伐しないとだめだろう」


「それに、この村で暴れていたのは魔王の四天王だったのよ。そこに潰れているつぎはぎの少女がそうよ」


エリザに言われ、ローランドはレイランに顔を向ける。潰れてはいるが、原型は留めているため姿形は分かる。


「……確かに、魔王四天王の似姿で見た事がある気がするよ。けれども、それとドラゴンを逃すことは話が別だ」


「しつこいわね。私のペットだって言ってるのよ」


「グゥ……」


レランが、エリザの言葉に「ご主人様……」と落胆する。仲間からペットへと格下げになったからだ。だが、その言葉はローランドにとっては別の意味に変わる。


「ふむ……。君がすでにドラゴンを使役しているという事かな? もしかして、そのドラゴンを使って四天王と戦闘していたという事か。それに、これだけ私が隙をさらしているのにドラゴンは攻撃してこない、か。分かった、信じよう」


ローランドは納得し、剣を納めた。そして、改めて挨拶しようとローランドはヘルムを脱ぐ。そこには、美声に相応しいイケメンがあった。


「美しいお嬢さん、改めて挨拶をさせてくれ。白銀のローランドだ」


ローランドは、近くに降りてきたエリザに握手を求めるように右手を差し出す。エリザも、仕方なく握手に応じる。


「エリザよ。そっちはマオ、あっちがクロン。そして、ドラゴンはレランよ」


「君たちもよろしく、美しい少女たちよ」


ローランドにとっては、エリザ以外子供に見えた。だが、実力のある雰囲気は感じるため侮ることは無い。それに、ローランドにとって好みはエリザ一択だった。エリザが居なければドラゴンから助けなかったくらいに。しかし、エリザにとっては人間の雄がどれだけイケメンと言われても興味はない。それは人間が、動物園で一番イケメンのチンパンジーがこちらですと言われても惚れる事がないのと一緒で。なので、クロンもレランもローランドをイケメンと感じていない。マオの魂は同性なので言わずもがな。


「それで、状況を聞かせて欲しいのだけど、いいかな?」


「いいわよ。それじゃあ、比較的マシな村長の家へ向かいましょうか」


この村で唯一まともな村長の家へと向かう。扉は壊れているが、それ以外はレイランが住むために直してあるはずなので、話をする場所くらいはあるだろう。

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