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封印されていた最古の魔王。――外伝――  作者: 斉藤一


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四天王のレイラン

「何をしたのだ? 急に魔力反応が増えたぞ」


マオは、家の壁越しに何かが囲んでいるのを魔力で感じていた。


「そろそろ夜だから、起きてきたのかしらね」


「微かに魔力を外に流したのは分かっている。だから、何をしたのかと聞いたのだ」


「ちぇっ、バレてたのか。それなら、名乗ろうかしら。私は魔王軍の研究者で四天王のレイランよ」


「四天王……」


マオはエリザの仕業かと思い、エリザの方を見る。しかし、エリザは何のことか分からないので小首を曲げる。1か月も経たずに四天王が2人も現れたのだ。何か、人為的なものを感じるのも仕方がない事だが、ただ単に王都が魔王軍の拠点から一番近いだけである。そして、レイランの言う通り、この村の死体を使って研究をしているため、たまたま出会ったに過ぎない。


「私はね、魔石の可能性を研究しているの。誰にでも魔力はあるのに、その強さは個人でばらばら。それなのに、魔物の方が人よりも魔力が高いものが多いの。不思議でしょ? そして、私は人に魔物の魔石を埋め込んだらどうなるのかなって思っていろいろと実験していたのよ」


レイランは聞かれてもいないことをペラペラと話す。自分の研究について聞いてくれるものは魔王軍にはほとんどいなかったので、ここぞとばかりに話し相手としてマオ達に話しているのだ。


「それでね、面白いことが分かったの。魔石の質が悪い、つまり魔力が弱いほど知能が低く、魔力が高いほど知能が高くなるみたいね。村人の死体にゴブリンの魔石を埋め込んだら、夜になったらただ食料を求めるだけのグールになったわ。今、家の外からあなたたちをエサとして狙っているのはその子達ね」


扉を開ける知能が無いのか、外のグールたちが家の中に入ってくることは無かった。クロンとレランは一応武器を構えて、いつでも戦えるようにしている。けれども、それを見てもレイランは何も構えない。元々研究者なので武器持っていないだけだが。


「村に居た質のいい体を持った村人にはオークの魔石を埋め込んでみたわ。すると、私の言葉を理解することが出来るみたいなの。もちろん、村人が会話することは不可能だったけれどね。おいで」


レイランが呼ぶと、寝室の随所に隠れていた村人が現れる。元々警備や荒事を対処していた者たちだったので、筋肉がある。


「ただ、それでも戦力としては頼りなかったわ。だから、私の手持ちの中で一番いい素体に、ある魔石を入れてみたの。すると……ふふっ、思い出しても身震いするわ。まさか、私が最強の四天王を従える事ができるようになるなんて。来なさい、ドラグル」


天井を破ってドラグルが現れる。その頭には、エリザが撃ちぬいた穴があったが、縫い合されていた。


「まさか、あの竜人ドラグルの肉体が新鮮なまま手に入るなんて幸運だったわ。誰にやられたのか知らないけれど、体内の魔石は無傷のままだったし。ちょうどよく頭に穴が開いていたから、そこに私が持っている中でも一番強力な魔石、ヒュドラの魔石を入れたわ。最強の肉体に、再生能力を持つヒュドラの魔石、これが笑わずにいられるかしら」


レイランは、勝ち誇った様に笑い声を上げる。


「さて、この秘密を知ったからには、あなた達には死んでもらうわね」


「自分で話しておいて、勝手な事を……」


マオは、レイランの勝手な言い分にあきれる。しかし、レイランとしても誰かに聞いてほしかったので仕方がなかった。ヒュドラの魔石を使ったドラグルは話すことは出来るが、基本的に従順すぎるので会話していても楽しくないのだ。


「お前たちに、見覚えがあるぞ。だが、どこで会ったか忘れたが」


ドラグルは、4人を見て嫌な悪寒を感じたが、死ぬ寸前の記憶が失われているため、エリザ達にやられたことを覚えていなかった。


「家を壊されるのも嫌だから、外に出て貰えるかしら?」


「そいつが天井を壊したのはいいのか?」


「ちっ、後で直しておきなさい」


レイランは、寝室に居た村人に命令する。村人たちは、俺達が壊したんじゃないのにと不満だったが、命令に逆らえないので頷くしかなかった。


「私が、あなたの命令に従う必要は無いと思うのですが?」


クロンが、レイランに剣を向けて言う。家がどうなろうが、クロンにとっては全く関係ない。


「それなら仕方が無いわね。エア・ストーム」


レイランは、両手を前に向けて魔法を唱えた。強風がエリザ達を襲い、家の玄関を破壊して外に放り出される。


「扉が壊れちゃったじゃない。これも後で直しておきなさい」


村人は、再び「壊したのはあんただろ」という顔をしたが、素直に従う。ちなみに、村長の家を修理したのも彼らだ。


外には、ゴブリンの魔石を埋め込まれた村人たちが集まっていた。そして、エサを前にして我慢が出来なくなったものからエリザ達に襲い掛かっていく。


「うーん、接近戦は弓の領分じゃないわねぇ」


エリザは、ジャンプしてその辺の家の屋根に飛び乗る。そして、適当に近づく村人たちから片付けていく。知能が低いからか、明らかに届かないのに集まってくるので処理が楽だ。


「てやっ」


「はっ」


「アイス・ランス」


「あら、思ったよりも強いのね。もし、肉体が残っていたら私の実験に使ってあげるわ」


クロン、レラン、マオは襲ってくる村人を倒す。グールはゴブリンの魔石を埋め込まれた分だけ筋力が増強しているが、それでもクロンやレランには全く敵わない。マオにいたっては、魔法ですぐに排除されるので、近づける者すらいない。50人ほどいたグールは、あっという間に片付けられていった。




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