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封印されていた最古の魔王。――外伝――  作者: 斉藤一


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分からせ

村は、素材のお礼に宴会を開こうかと提案したが、護衛任務の報告があるため辞退する。もし、次に来ることがあればその時に何かお礼をするという事で別れる。


「また、来いよ。秘伝書は近いうちに書き上げておくからな」

「分かりました師匠。その時は、また手合わせをお願いします」

「ああ、いいぜ」


クロンは、アレスに別れを告げる。ドワングはマサムネと挨拶を終える。その他大勢の村人に見守られながら、エリザ達は村を去った。ただ、見守られているせいでクロンが変身することが出来ないが。


「それで、あたしはクロン様の下に就いた。そして、クロン様はエリザ様の下に就いているから必然的にエリザ様はご主人様って事になることは分かった。じゃあ、こいつは何なんだ?」


レランは、マオを指さして尋ねる。


「マオは仲間よ。仲よくしてね」

「仲間? ご主人様より弱いん……ですよね?」

「私は、言葉遣いについては特に怒らないわよ?」


エリザに対してタメ口をきくレランに、クロンが厳しい目を向けて言葉遣いを直したが、エリザからタメ口の許可が出る。さらに調子に乗ってレランはマオに命令する。そして、マオはエリザよりも弱いのは事実なのでマオもエリザも否定はしない。それを勘違いしたレランは話を続ける。


「ドワングは雇い主って話だからいいとして、このパーティの中で一番弱いのはあんただろ? ほら、荷物を持ちな」


エリザ達は、手ぶらだと冒険者として目立つため、適当なものを入れた袋を用意している。中には、マオ達は使う事は無いが、本来冒険者に必要なものが入っている。


「マオ様、レランに分からせてやればよろしいのでは? どうせ口で言っても理解できないでしょうし」

「そうねぇ。大分村から離れたし、多少戦っても目立つことは無いでしょ」


クロンもエリザも、レランとマオが戦う事を推奨する。クロンは上下関係をハッキリさせるために、エリザは暇つぶしの為に。


「戦うまでも無いと思うが……」


マオは、右手に単純に魔力を集める。その量は、レランの総量の10倍ほどだ。魔力だけで空間が歪んだところで、マオは魔力を収めた。


「……はっ、はっ、な、なんだその濃密な魔力は……。あたしは、一体何に喧嘩を売ったんだ……?」

「ふふっ、マオはクロンよりも強いわよ。つまり、一番下はレラン、あなたよ」

「…………」


まだ現実を受け止めきれないレランは、下を向くしかできなかった。


「それよりも、そろそろ飛んで戻ろうかと思うのだけれど、いいかしら?」

「いいんじゃねぇか? 俺も、大分空を飛ぶ事には慣れたと思うから、今回は拘束魔法は要らないかもな」


たった2回で慣れた気でいるドワング。ただ、最初よりは断然ましになってはいる。一応、向かい風は魔法で防ぐので、急カーブや急ブレーキをしなければ落ちることは無いだろう。


「空を飛ぶのですか? あたしは、翼がまだ直らないから飛べないし、この姿じゃ尚更無理だよ」

「空を飛ぶのはクロンよ」

「クロン様が? どういうことですか?」

「見た方が早いわね。クロン、いくわよ」

「分かりました」


クロンは、エリザの呪い解除によってブラックドラゴンの姿に戻る。その姿に、レランは納得する。


「やはり、同族でしたか。しかも、人間の姿の時よりもオーラが強くなっていると感じます」


レランは、ドラゴン姿のクロンの圧にたじろぐ。その圧は同族でしか感じられないため、ドワングは平気で背中にのぼるが。そして、マオとエリザもクロンの背に飛び乗る。


「あたしも、乗ってよろしいのですか?」

「乗らないと、一緒に行けないじゃない」

「せめて、靴を脱ぐことが出来ればよいのですが……」


レランも、自分の背中に土足でのぼられることの不快さを知っているため靴を脱ぎたいのだが、靴も体の一部の為、脱ぐことは出来ない。足の鱗をはぎとるレベルで脱ごうと思えば脱げるが。


「ぐるるぉ」

「はい、あとでお流しいたします」


レランは、クロンにあとで背中を流してもらうよう命令される。クロンは、今まで自分の下に誰も居なかった為諦めていたが、レランが居るなら洗い流して欲しいと言える。そして、全員がクロンの背中に乗ったところで、クロンは翼を羽ばたかせて王都へ向かった。





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