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封印されていた最古の魔王。――外伝――  作者: 斉藤一


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レラン

赤いドラゴンは、街の外に居るクロンたちを見つけ、すぐに飛んで近づく。


「何だ! ドラゴンがこっちに来るぞ!」


アレスもドワングも、逃げる間もなく赤いドラゴンが近くに着地する。


「ギャオオオッ!」


「誰ですか?」


「グアッ、ギャオウ」


「知りませんね」


クロンと赤いドラゴンは、会話を始める。ただ、鳴き声と人間の言葉の為、クロンの独り言に聞こえるが。


「何を言ってるんだ?」


ドワングは、襲ってこないドラゴンに、クロンとの会話が成功していると感じて聞く。


「私はレッドドラゴン。同族の気配を感じて来てみれば、小さな小娘かって言ってるわ」


「分かるのか?」


「ええ」


「次は?」


「私はレッドドラゴンでも一番強い。この私を知らないのか? って言ってるわ」


「あの短い鳴き声でそれだけの会話をしているんだな」


エリザは元からドラゴンの言葉が分かり、マオはエリザの翻訳魔法で聞き取れている。この場でレッドドラゴンの言葉が分からないのはドワングとアレスだけである。


クロンとレッドドラゴンの会話が終わると、レッドドラゴンが再び空に舞う。


「どうなったんだ?」


「クロンとレッドドラゴンの決闘になったみたいね。マオ、村に被害が出ないように結界を張って貰えるかしら?」


「分かった。エア・シールド・サークル」


村全体を薄い緑色の膜が覆う。これで村に被害が出ないが、村に入る事も、村から出ることも出来ない。


「クロン、村は気にしなくていいわよ。もとの姿に戻る?」


「いえ、せっかくですのでこのまま戦わせてください」


エリザは、クロンがブラックドラゴンの姿に戻りたいと思っていると思ったが、クロンは今の姿のままで戦う事を選んだ。人間の姿の時は、総合的な身体能力がドラゴンの時の半分になる。それだけのハンデを抱えて人型で戦うつもりだ。


「ギャオ!」


レッドドラゴンは、火球を吐く。クロンはそれを剣で弾き飛ばす。弾き飛ばされた火球が地面に触れると、爆発が起きて数メートルのクレーターを作った。


「クロン、足場を作ろう。ストーン・シールド」


「助かります」


マオはせっかくなので、ヘルズフローターの機能も使って複数の大きさの土壁を作った。クロンは、それを足場にしてレッドドラゴンの居る高さへとジャンプする。


「グルオォォ!」


レッドドラゴンは、近すぎるクロンにブレスを吐くことが出来ず、爪で切り裂く事にした。クロンは、その爪に剣を合わせ、叩きつけて斬る。その反動でレッドドラゴンは少し下に下がり、クロンは少し上に浮く。


「はっ! スラッシュ!」


「ギャアアア!」


クロンの斬撃は、レッドドラゴンの翼を両方切り裂いた。いくら翼だけで飛んでいる訳では無いドラゴンでも、翼を両方斬られては飛ぶことは出来ない。そのまま墜落していくしかなかった。


「クギャ!」


「いいえ。もう終わりですよ」


クロンは、頭を上げたドラゴンの首に剣を当てる。レッドドラゴンは、身動きが出来なくなる。


「グルルゥ。ギャオ」


「そうですね……。ご主人様、どうしますか?」


「面白そうだから、この子にも呪いをかけて見ましょうか」


「分かりました。おい、お前。頭を下げろ」


レッドドラゴンは、頭を下げろと言われて逆らおうと首を上げようとしたが、クロンの剣が首に数センチ切り込んできたので仕方なく頭を下げる。


「人化の呪い」


エリザが、レッドドラゴンの頭に手を乗せて人化の呪いをかける。すると、レッドドラゴンはみるみると縮んでいく。クロン同様か、クロンより少し若い少女の姿になる。ただ、クロンとは違い、翼が無くなっている分だけ鎧の面積が少なくなり、水着のビキニの様な面積になっているが。ちなみに、鎧の色は体表と同じく赤色なので目立つ。武器も、爪が短くなったので、クロンの様な大剣ではなくナイフが2本だ。


「何よこれ、人間の姿だって? あたしに対する侮辱か。……殺しなよ」


「殺さないわよ。こう見えても、私はドラゴンが好きなのよ。美味しいし、プライドが高い癖に弱いところも気に入っているのよ」


「弱いだって? あたしは強い!」


「クロンにも負けてるじゃない」


「……ブルードラゴンの奴らには負けなかったのに」


「知らないわよ」


「……一体、何が起こっているんだ? レッドドラゴンが少女になったぞ」


「なんだ? 変身か?」


アレスとドワングが、急に人間の姿になったレッドドラゴンに驚いている。


「とりあえず、これでもう安全よ。マオ、もうシールドを解いていいわ。そして、この子は私が貰うわね。その代わり、クロンが斬った翼と爪は村にあげるわ」


「本当か? それだけでも、かなりの素材になるぞ。爪は武器になるし、翼は鎧やマント、靴なんかに使える。俺も冒険者時代に一度、下級のドラゴンを倒したことがあるが、それでも結構な額で素材が取引されたんだぞ」


「別にいいわよ。この子が村にかけた迷惑料だと思えばいいわ。それに、もし欲しくなれば、この子からはぎとればいいもの。それにしても、ずっとこの子って呼ぶのもあれね。この子の名前は……レランにしましょう」


レッドドラゴンから濁点のついた文字を取っただけの安易な名前だ。それでも、レッドドラゴン改めレランは文句を言える立場には無い。それよりも、はぎとりの部分を聞いてビクついている。本能的に、逆らってはいけないと感じている。


「あたしに決める権利は無いよ。権利は勝者にある。好きにしな」


「私のことはクロンって呼んで。レランの素材は、ご主人様の言う通り村にあげます」


「おぉ、本当にドラゴンの素材が……。村んなかにも研究のために欲しいやつがいっぱい居るだろうからありがたく貰う」


アレスは、さっそく村に戻って素材を回収する人員を集めに行った。


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