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封印されていた最古の魔王。――外伝――  作者: 斉藤一


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解体

ドワングは、エリザとクロンがダンジョンで狩りをしている間、ダンジョンの外で出してもらったミスリルゴーレムを解体する時間にした。普通であれば、ミスリル鉱石を溶かしてインゴットにするのだが、ミスリルゴーレムは逆にでかすぎて炉に入れることが出来ない。だが、解体してしまえばほぼ純度100%のミスリルが手に入る。しかし、ミスリルゴーレムを解体するにはミスリル以上の硬さの分解する道具が要る事になる。


「試しにやってみても、やっぱり無理か」


ドワングは、鉱石を掘るために使っていた鋼鉄のツルハシでミスリルゴーレムの一番良さそうな関節部分を狙って叩きつけるが、傷すらつかない。


「我が手伝おうか?」


念のために護衛に残っていたマオは、ドワングに手伝いを申し出る。


「どうするんだ? ちなみに、部分的にでも消滅させるのは無しだぞ」

「いや、熱で焼き切る」

「ミスリルをか? 数千度の火力が無いと無理だぞ。炉ですら、特別に高温に耐えられるものを使うし、燃料も高温になるものを使うんだぞ」

「分かっておる。適当な大きさに切断するから、見ておれ。ヒート・ソード」


マオは、魔法で炎の剣を作る。ヒートソードは、魔力を込めれば込めるほど温度が上がるのだが、普通の魔法使いなら数百度が限度だ。それに、いくら炎の剣を操ると言っても、近くに居れば熱い。だが、マオは平気で数千度のヒートソードを作り出すために魔力を込めていく。赤から黄へ、黄から白へ、そして白から青に変わった時、マオの服が発火した。


「おい! 服が燃えているぞ!」

「むっ、少し温度を下げるか」


マオはすぐに送る魔力を減らし、炎の色が黄色になるまで下げる。それと同時に、服の火も消した。


「本当に、任せて大丈夫なのか?」

「大丈夫だ。恐らく、これでもミスリルならばゆっくり斬れば切れるはずだ」


白色ならばすぐにでも切れるだろうが、今のマオの装備では耐えられないため仕方がない。炎の剣をミスリルゴーレムに触れさせると、包丁で氷を切るようにゆっくりと刃の部分が入り込んでいく。


「おお、本当に切れているな……魔力は持つのか?」

「時間がかかるだけで、魔力は問題ない」


少しずつ分解していくと、ドワングはいくつかの破片を自分のアイテム袋に入れる。エリザ達を信用しているとはいえ、貴重なミスリルを自分でも確保しておきたいという気持ちはあるのだ。


「これは、ミスリルゴーレムの核か」


ミスリルゴーレムの胸の部分を解体すると、4分の1ほど欠けた魔石が出てきた。それでも、普通の魔物に比べてかなり大きい。いくつかのかけらに別れた4分の1の部分だけでも、雑魚魔物と同じくらいの大きさである。


「そっちは、お前たちが貰っていってくれ。討伐の証明になるだろうし、俺には必要ない」

「そう言う事ならば、貰っておこう」


ミスリルゴーレムの解体が終わる頃、エリザ達が戻ってきた。


「ふぅ、結構楽しかったわ」

「私も、レベルが上がった気がします」


この世界には、レベル自体はあるが誰も見ることは出来ない。感覚的に、力が増えた様な感じがするだけだ。なので、レベルで相手の強さを判断することは出来ない。ダンジョン内は、普通ならBランクパーティでも苦戦するほどの魔物が徘徊していたりするのだが、エリザとクロンにとっては大した問題は無かった。クロンは人間形態の時の動きが良くなり、エリザは相手の強さに合わせた手加減がうまくなった。そして、一応魔物の死体はすべてエリザが回収している。ダンジョン内では、放っておけばダンジョンが死骸を吸収するため、エリザに回収された分だけダンジョンの魔力回復が遅れるのだが、エリザが知ったことではなかった。


「エリザ、解体したミスリルゴーレムと魔石の収納を頼む」

「分かったわ。ちなみに、魔物の死体が結構あるんだけど、これも解体する?」

「……我は解体屋ではないぞ。必要が無ければ、やらん」

「そう。じゃあ、そのうち食べるときにでも解体しましょうか」


魔物は、種類にもよるが強ければ強い程、肉に魔力が溜まり美味しくなる。なので、上位の魔物程美味しい事になる。この洞窟で手に入れた魔物は、どれも上位なので美味しい。そして、エリザのマジックボックスは、時間がほぼ止まっているのと同様に時間が進むのが遅くなっているため腐る心配はない。


「今日は、俺のアイテム袋に入っている食材を使ってくれ。空けた分だけミスリルを入れたい」

「私がすべて運べば、食料を早く消費する意味は無いわよ?」

「俺が持っていきたいのと、日持ちの関係上、どうせ食べなきゃならんから使ってくれ」

「分かったわ」


その日の夕食は、ドワングの食材を煮込んだスープとパンになった。クロンは、それだけでは足りないと感じ、エリザから魔物の死体を出してもらって焼いて食べる事にした。そして、その魔物の肉の方がおいしいと分かったのだった。

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