ミスリル鉱石
「すまないが、護衛はここまででいい。帰るぞ」
「なんでよ。ダンジョン攻略するんじゃないの?」
「馬鹿いえ。俺は一回退治すれば何度も鉱石を掘りに来れると思ったからお前たちを雇ったんだ。しかし、ダンジョンならばいくら魔物を退治しても、また復活するって事だろ。鉱石も復活するだろうが、危険度が違いすぎる」
「私達なら平気よ。せっかく来たんだから少しくらい掘ってみたら?」
「確かにこのまま帰ったら大損なんだが、本当に大丈夫なのか?」
ドワングは、ダンジョンと言う場所の危険度も分かっているつもりだった。ダンジョンであれば、不測の事態はいくらでも考えられる。ただの魔物からの護衛とは訳が違うとは思っていた。だが、ドワングは、少しでも損失を回収したい思いもあった。
「大丈夫よ。マオが魔物の位置を調べられるんだから、不意打ちも無いわよ」
「それなら、少しだけいいか? ミスリルらしき鉱石がある場所を見つけたんだ」
ミスリルは、魔法を使うものにとってはぜひ欲しい装備の一つだ。合金にすれば軽くて頑丈な金属に。加工すれば魔力を通しやすくなる魔道具や杖などを作れる。ベテランの冒険者であれば、一つは持っておきたい装備の一つだ。そして、ミスリルを扱える事はドワーフにとっても重要な意味がある。ミスリルを扱ってこそ、一人前の鍛冶師として認められるのだ。なので、ドワングは一度は諦めようと思った鉱石掘りを再開したいと考えた。
「俺が見つけた場所は、ここから左の方だ。魔物は居るか?」
「そっちの方角は、小さな魔物が複数いるだけだな。恐らく、吸血蝙蝠だろう」
「すばしっこくて倒しづらそうだが、大丈夫か?」
「心配しなくても、私の弓と、マオの魔法があれば大丈夫よ。クロンはドワングさんを守ってね」
「分かりました」
ドワングが示した方へと向かう。すると、調べた通り吸血蝙蝠が複数天井にぶら下がっていた。
「とりあえず、私から行くわ」
エリザは、弓を構えると素早く撃つ。矢は、狙い通り吸血蝙蝠の一匹を貫いて倒した。そして、他の吸血蝙蝠達がクロンたちの方へと向かってくる。
「ライトニング・スプラッシュ」
マオは、回避しづらい雷の魔法を撃つ。細かい雷の塊が、散弾銃の弾のように広範囲に広がる。吸血蝙蝠は、それをすべて回避する事が出来ずに痺れて落ちる。落ちてきた蝙蝠を、クロンが剣で突き刺して止めをさす。
「ほぅ、思ったよりもすごいな、お前達。これなら、安心して鉱石掘りをする事ができそうだ」
「だから言ってるじゃない。私達に任せておけば平気よ」
その後、何匹かのウルフと、吸血蝙蝠を倒して目的の場所へと着いた。そこの壁には、銀色の発光する金属が埋まっているのが分かる。ドワングが、その一つをツルハシで掘りだす。
「こいつは、やはりミスリルだ。見ただけでも数キロは取れそうだぞ」
たった数キロのミスリルでも、合金にすれば数倍の量に増えるため、何本かの剣を作ることが出来る。魔道具であれば、魔力を通す部分だけでよいので、大量に作れる。杖であれば、魔力を増幅する核だけでいいが、量があればあるほど良いのでピンキリだ。
「ぐおおぉぉ!」
ドワングが、ミスリルを掘り起こそうとツルハシを構えた瞬間、いきなり壁からゴーレムが飛び出してきた。




