拒否
「何故ですか! どうして騎士団を戦いへ参加させないのですか!」
「どうしても何も、今は騎士団は派兵中だ。魔族との戦争に駆り出されただろう」
「ですが、精鋭部隊は残っているでしょう!」
「馬鹿者、王の護衛を動かせるわけ無いだろう」
冒険者ギルドの副ギルドマスターは、きたる魔物の大群に対抗するために国へ兵の派遣を願っていた。基本的に国と冒険者ギルドは別物で、盗賊などの人が関係する犯罪や、冒険者で手に負えない魔物が出た時は国が、それ以外は冒険者が対応する事になっている。今回は、冒険者では手に負えないので国が対応するはずなのだが、時期が悪く兵士は戦争へ行っている。そして、国に残っている兵士は主に王や貴族を守るために残っているので、街の中へ攻め込まれない限り出る予定はなかった。
王都は王城、貴族街、住民街の3つに分かれていて、3つの間には勝手に入れないように頑丈な城壁で囲まれている。そして、残っている騎士団は人数の関係上、王城と貴族街までしか守る事ができない。
「今は緊急事態でしょう! このままでは街に大きな被害が出る! それに、もしそのまま貴族街へ向かったらどちらにしろ対処しなければならないのは騎士団だ!」
「では、その時に対処しよう。それまで、せいぜい冒険者達が数を減らすことを願っているよ」
副ギルドマスターの願いは、あっさりと拒否された。こうなってはもう頼るところも無い。住民の中から、少しでも戦えるものを集めるしかないのか。副ギルドマスターは、応援を得られなかったことをギルドマスターに報告するためにギルドへと戻る事にした。
城壁では、思ったより遅い魔物の進行のおかげで兵力を集める事には成功していた。ただ、それは街中に散っていた避難を促していた冒険者と、他の城門の兵士を最低限残して集めただけなので、倍にも届いていない人数ではあるが。その代わり、武器・防具屋が自主的に提供してくれた武具のおかげで低ランク冒険者にもある程度いい武器が装備された。
「魔物の大群は、夜襲を避けたようだ。恐らく、人型の魔物に合わせたのだろうが、それでも弱くなるわけではない。見た所、隊列の様なものを組んできている。油断できない相手として、心してかかるように」
四天王襲来から時間が経ち、魔物の大群の討伐に向けて、指揮官が派遣されていた。さすがに兵士長程度が現場の指揮では荷が重い。そして、ギルドマスターには兵士への指揮権は無い。ただ、魔物の大群という明らかな危機があるので、断固拒否したり、逆らったりすることは無かったが。それでも、きちんとした命令と協力ではまったく重要度が違う。
「武器を構えろ! 青旗を越えたら弓を放て! 次の黄旗を越えたら魔法を放て!」
城門の修理と共に、命令を分かりやすくするためにいくつかの対策が取られていた。距離を見やすくするために魔物の進軍方向にいくつもの旗が立てられていた。弓の有効範囲が青、魔法の有効範囲が黄、そして最終防衛ラインが赤だ。赤旗を超えるようなら、命を捨てて自爆する役目を持った兵士が用意されていた。




