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あれ…………………俺ってボッチなのでは?

☆☆☆


飛ばされて、飛ばされて、飛ばされて~。


気付いたら、完璧に真道君たちとはぐれてる~。


つまり、ボッチ‼


うん、やばいね。


すっごくヤバい。普通に死ねる。

強いて良かった点を上げれば吹き飛ばされながらもしっかり着地出来たことと、あの修羅みたいな最難関コースから外れられたくらいだね!


それ込みで一人になるのは不味いんだけど…………。


だってほら周りには偽天使がうようよいるしさ。

うん、これでも多少はマシなんだよ?

少なくとも偽天使が三十体とか普通に現れるような場所では無いしさ。


それでも、ここら辺は五体くらいで行動してるみたい。

正直、五体の偽天使を相手には出来ないし、三十体くらいで行動している偽天使がうようよいる元のルートには戻れない。


でもここにいても危険なだけだし、どうにかここから移動しないとね。

宛はあるのかだって?


一応なくは無いよ。

ホールに辿り着くことはほとんど不可能になったけどね。


でも、吹き飛ばされたおかげでその場所は割と近い。

というか、何故か現在校舎の外に立っている。

多分、空からアイツが降ってきた際に壁も一部壊れて外まで吹っ飛ばされたんだと思う。


そのおかげで、割と安全な場所に移動できた。

こっから目的地である備品室までは校舎に入って突き当たりを曲がれば直ぐだから、そこまで遠くない。


むしろ、めっちゃ近いまである。

因みに一年の教室は二階にあり、学生ホールは四階、三階と五階はそれぞれ二年と三年の教室になっている。


勿論、それ以外にも諸々の設備はあるけどね。特に四階はどの学年も移動しやすいから色んな施設が密集している。

何だったら、別棟とも繋がってるしね。


まあ、今はあんまり関係ないんだけど。


重要なのは備品室が近いってこと。

そして、備品室には俺らに支給される筈のマジックチップが置いてある。


一応、小説の方だと『備品室に向かう』を選ぶと被害が増える代わりにマジックチップを入手することが出来る、と説明している。

勿論、このマジックチップは戦闘後に返さなくちゃいけないから一時的なモード選択に近い。


そんで、小説の主人公(真)はこの備品室のマジックチップを利用したレベリングを行おうとして、失敗する。


それというのも、いくらマジックチップを手に入れても所詮は戦場に出たこともない訓練を始めたばかりのぺぇぺぇだ。


上手くいくはずがない。

現段階で高等技術を使いこなす真道君たちとは違うんだ。


あっ、余談だけど、この時に主人公が選んだチップは≪マナシールド≫と≪スパークバインド≫つまり、現在の真道君のチップ構成だ。


真道君がこのイベントに挑むに辺り、この構成が最強だからね。

主人公(真)もそれに倣い、この構成にしたんだけど彼が使う≪スパークバインド≫は天使の動きを数瞬止めるので精一杯だった。

≪マナシールド≫も彼の者より脆かった。


それはなぜか…………。まあ非常に簡単な話だけど、魔法解放時のロスだ。

俺らは魔法解放の際に必ずと言っていいほどロスを出す。

しかも、素人だから、それはもうかなりの量を。


だけど、彼は出さない。それどころか完全に制御してみせ、魔法を小出しにし、自前の魔力で強化し、通常のマナチップ一枚分と同等以上の威力にする。


だからまあ、そこをしっかり計算に入れないと簡単に足元を救われるぞって話だ。


これにより、主人公(真)は生死の境を彷徨ったのでした まる


俺は同じ道を辿らないためにそこも計算に入れ、しっかりと防御で固めるつもりだ。

半永久防御でイベントが終わるまで凌ぐ。


これしかない。これで無理なら諦めるしかない。


いや、絶対あきらめないけど。


そう思いながら、校舎に入り歩いていると後ろから偽天使が出て来た。

にゅっと、もう奇襲をかけるとかではなく、偶々見回りしてたら見つけたぁ、みたいな感じで。

基本、浮いてるから足音とかもしないんだよなぁ。こいつら。


ただ、前からじゃなくて良かった。

備品室の方から来てたら絶望してたかもしれない。


それはそれとして俺は全力で走る。

それはもう、今までの人生で一番速いと言っても差し支え無い程に。


ただ、偽天使たちも鬼ごっこに興じているわけじゃない。

バリバリ魔法を撃ってくる。

それでも数は三体、今までで一番少ない数だ。この区域は重要視してないってことなんだろう。

まあ、生徒なんてほとんどいないしね。


俺は奴らの攻撃を≪マナシールド≫で防ぐ。

俺の≪マナシールド≫は奴らの攻撃を二発は耐えてくれた。ただ、それと同時に魔法の盾は壊れてしまい、三発目は防げない。


一応、チップ構成は≪マナシールド≫≪マナシールド≫だから、もう一回張れなくもないけど、一発だけなら気合で避けられそうなので気合で避ける。


〈ドンッ〉


目論見通り相手の魔法を避けることに成功する。無属性の魔法弾だから、何とか避けられた。

それでも、普通に弾丸くらいの速度は出てたし、肉体強化を施してなかったら今頃避けきれずにひき肉になってたと思う。


それでも、雷魔法、光魔法と比べれば無理ゲーではない。

雷魔法とか光魔法を避けられるのは主人公(偽)陣営と鬼人と戦人と獣人だけだからね。

授業でも、雷系統とかの超速魔法は「予兆を察知したら防御しましょう」が基本だ。


だから、一応偽天使たちは良心的と言っても良い。


リキャストタイム時に魔法だけじゃなく、羽も止めてくれたら更に良心的だ。


まあどうせ、もう追いつけないだろうけど。


なんせ既に曲がり角が目前だ。そして曲がり角を曲がれば備品室はすぐそこ……。


「あれっ?」


声に漏れるくらいヤバい事態が目の前で起こった。

うん、現れた、曲がり角からひょっこり三体の偽天使たちが。

…………そう言えばあいつらコミュニケーションをとっていても声には出さないんだった。


もう完全に魔法をぶっぱする気満々でいる。

これ…………≪マナシールド≫で防いでも多分死ぬ。

というか足止めたら、両サイドの偽天使から魔法放たれて終わるよな。


と、なると、うん。


スライディングじゃあ‼しかも頭からのね。


俺はズズズっとヘッスラで偽天使の足元を潜り抜ける。


こいつらが浮いてて良かった。……………初めて良かったって思ったわ。


しかも、咄嗟にヘッドスライディングで回避したから、目の前にいた偽天使はそのまま魔法を放ってしまい、俺を追っかけていた偽天使に誤射していた。


俺はその隙に備品室に飛び込む。


備品室は偽天使のせいでドアが開いており、普通に入れる。

ここは小説と同じだ。

そして、俺は急いで≪マナシールド≫の入ったボックスを二箱同時に取り出し、懐にいれる。


すると、マジックチップが置いてあった棚は上から降りてきたシャッターによって塞がり、取り出せなくなる。


これはマジックチップ泥棒が現れたときの処置だ。

因みに本来なら、備品室のドアも締まり、そっちもドアを覆う様にシャッターが下がってチップ泥棒を完全に閉じ込めにかかる。


まあ、今はその機能は壊れてるからそんなことにはならないんだけど。


俺は棚が塞がれていく様子を横目にボックスの中を開ける。

そして、自分の魔剣に入れてある空になったチップを取り出し、新品のものを装填する。


装填し終わり、よしいくぞ~っと思っていたら備品室の外から、偽天使が魔法弾を放ってくる。

俺は何とかローリングでドア付近の壁に移動し、その攻撃を凌ぐ。


奴らは羽が邪魔でこの部屋に入ってこれないだろうし、ドア付近であればドア周りの壁が邪魔でかなり攻撃がしづらい筈だ。


ただ、奴らに常識は通用しない。

ドアの所からひょっこり顔を出してくる。手に魔法弾を構えながら。

俺はひょっこり出て来たその偽天使を刀で『グサッ』と刺す。


向こうもお返しとばかりに魔法弾をぶっ放してくる。

一応、≪マナシールド≫を展開したけど、この至近距離だと防ぎきれず、吹き飛ばされ、後ろの棚(と言うかシャッター)に思い切り背中を打ち付ける。


それだけじゃない。

俺が背中を打ち付けた衝撃で怯んでいるともう一体の偽天使もドアの隙間から腕だけだし、こちらに向けて魔法弾を撃ち込んでくる。


俺はそれをローリングで横に移動することで何とか避ける。

避けるが、魔法を使わず待機していた二体の偽天使がそこに追い打ちをかける。

それを再度≪マナシールド≫を展開して防ぐ。

これが、≪マナシールド≫ダブル構成の強み。まあ、魔法を小出しに出来ればいらないんだけどさ。


俺が敵の攻撃を防ぎ終え、一息つこうとするも、魔法弾を構える二体の天使が目に飛び込んでくる。


???


いみがわからないよ。


え、どうなってるの?

だって、リキャストタイムあるだろ?君ら。


いや、落ち付け、何かからくりがある筈だ。奴らは雑兵級。出鱈目なことはしてこない。

まず、ドアからひょっこり出てきて魔法を撃った奴と、その後に、腕だけ出して魔法を撃った奴。

ドアから離れた所に撃ち込んできた奴が二体。


……………………うん、つまり、残りの二体はまだ、待機してたってことか。


いや、なにそれ、そんなのあり?


数が多いんだからもっと慢心してかかって来いよ‼


しかも、二、二、二で別れられたせいで、もうリキャストタイムに希望を見出すことも出来ない。


知ってか知らずか、あの戦国時代における第六天の魔王と同じ戦法を取ってきたって訳だ。


俺は敵の攻撃を横に跳び、何とか避けようとする。


「ぁッ」


避けようとしたんだけど、思いっきりわき腹が抉られた。

ついでに足にも少しかすった。

痛いなんてもんじゃない。声にならない声が出た。痛すぎて声かすれた。


それでも、相手は構わず撃ってくる。こっちも急いでチップを交換する

どう考えても、間に合わない。

痛みに怯んでさえなければ、何とかなったかもしれないけど、今更そんなこと言っても仕方がない。


というか、まともな喧嘩もしたことない人間に痛みに耐えろとか、無茶ぶりがすぎる。


でも、絶対諦めたりしない。こんな所で諦めたら生き残るために利用した真道君に申し訳が立たない。


いや、まあ、申し訳が立たないっていうのも、完全にエゴなんだけどさ。

つまり、こんな所で死ぬなんて死んでも御免だってこと。


ここまで頭回して、すっごく悩んだのに、ここで終わりなんて悔しいしね。


じゃあ、どうやってこの場を切り抜けるのかだって?


受けるしかないよね。魔剣でさ。

まあ、只受ける訳じゃない、逸らすように受ける。

右手は従来通り柄を握り、左腕を峰に着ける。そんで左腕からはありったけの魔力を込める。

今まで以上の肉体強化を施す。


〈ガギギィイイイ〉


車に引かれたのかと思うくらい重かった。正直、逸らすようにしたけど、どのくらい効果があったのか分からない。左腕に峰が深々と刺さっている。

というか、骨に到達してないか、これ?


ただ、思いっきり吹っ飛び、天井にぶつかり、シャッターにもぶつかりながらも、それでも生きてる。左腕も思う様に動く、めっちゃ痛いけど。


なら大丈夫だ。

とてもゆっくり流れる時間の中で、俺はマジックチップを交換する。


ゲフっ。


思いっきり尻を打ちつけた。

それと同時に、時間の流れが正常に戻る。

危ない、完全に自分の人生を振り返るターンに突入してた。


っと、危ないのは偽天使たちの存在もだ。

俺が着地すると同時に魔法弾が飛んでくる。それを俺は≪マナシールド≫で防ぐ。

防いだ後は直ぐに、マジックチップを交換する。

交換しながら、ドア目掛けて走る。


その間も敵は攻撃を仕掛けてくるが、それをもう片方にセットしている≪マナシールド≫で防ぐ。


そして、ドアを潜り抜けた俺はドア付近にいた偽天使に斬りかかる。

偽天使はサッとそれを避ける。

うん、まあ、偽天使って敏捷はかなり高いからな。

雑兵級だから目で追えないとか、追いかけられたら直ぐに捕まるってことはないけど、俺程度じゃあ、攻撃は当てられない。

ひらひら躱されて終わり。


真道君、剣凪さんなら追い付いて、斬り捨てられるんだけどね。


まあ、俺は二人じゃないから、自分らしい方法でこの場を切り抜ける。


つまるところ、逃げの一手。


正直、初めは、備品室に籠城でも良いんじゃないかって思ってた。

部屋に入ってこれないし、ドア付近の壁に張り付いてたら、爆発系の魔法を持たないあいつらは攻撃しづらいだろうから。


でも、実際は避けるスペースも少ないし、こっちがじり貧になっている。


これだったら、逃げ回って撒いた方がマシだ。

いや、偽天使はそこら辺に居る訳だから、撒けないか。

それでも、持ち場を大きく離れてまで俺のことは追ってはこない筈だ。

なんせ、今頃、防人部隊がこっちに向かってるはずだから。

奴らもそれは分かっている。だから、防人部隊がどんな方法で侵入してきても直ぐに情報を伝達できるように持ち場を離れることは絶対にしない。


つまり、学生ホール付近に近づかなければ精々、少人数の偽天使に追われるだけで済む。

今みたいに。


それからは、偽天使との命を懸けた鬼ごっこが始まった。

いや、隠れ鬼かな、時に職員室の机の下に隠れたり、教卓の下に隠れたり。

ていうか、教卓の下に隠れたときは偽天使たちが備え付けられているロッカーに魔法弾ぶっパしててビビった。


もし隠れる場所にロッカー選んでたら死んでたわ。


ていうか、どこ行っても先回りされてすげぇ怖かった。

ボックスに入ってたマジックチップも空になったわ。


怪我もヤバい。太ももとか抉れたし、無傷だった方のわき腹も抉られた。


他にも擦り傷とか諸々。


一応肉体強化の応用?魔剣士科は直ぐに授業で習うから基礎か?で出血は直ぐに止めたからいいけど。


普通にヤバかった。

あ、でも、追いかけられてる途中、一階に戻った時に備品室で魔法弾ぶっパしてきた偽天使の内一体を倒した。

まあ、味方の誤射でダメージ受けてたやつだけど。ほら、ヘッドスライディングで避けた際に味方の魔法弾に当たった一番初めに追っかけてきた奴。


いやぁ、階段で待ち伏せしてたから、飛び降りながら斬り捨ててやったぜ。



上手くいって良かった。


まあ、そんなこんなで、何とかかんとか凌いでたらあいつらは退却していった。


真道君がやってくれたのだろう。


あっ、そう言えば≪エンチャントスパーク≫は習得できたのかな?


一応様子見にいくか。


ていうか、全身クソいてぇ。



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