双子
今月の20日で付き合って1年の彼氏が真子にはいる。
そんな彼氏に言っていないことが、1つ。
真子には一卵性双生児の姉がいる。
隠していたわけではない。
言い出すタイミングが無かったのだ。
でも、それは言い訳。
中学生の頃同じ人を好きになり、双子の姉と恋愛関係で少しトラブルになったのだ。
また、双子ならではの悩みもある。
もし交代したら気付いてくれるのか?
乗り換えられるのではないか?
今年で真子も26歳。
そろそろ本格的に結婚を考え出すようになってきた。
そこで、姉と共謀して今の彼氏を試すことにした。
小さな双子ならではの悩みも解消したかったのだ。
作戦はいたってシンプル
毎週土曜日は昼過ぎに待ち合わせをして、ランチをしから彼の家に行きゆったりと過ごすデートをしている。
そこで、ランチの後トイレに行くとその場を離れ、姉の莉子と交代する。
途中の様子は都度、姉から連絡で共有する。
作戦の決行日
いつものように待ち合わせ時間に彼と合流しランチをすませた。
そして、作戦通り莉子と交代をした。
先程まで真子がいた席に莉子が座ると、彼が席を立った。
直後、莉子から連絡が入る
「トイレに行くってさ」
5分後
彼が戻ってきた。
その後2人は10分ほど談笑してから席を立つ
正直、すぐに気付いてくれると思っていた。
現実はそうではなかった。
特に彼がなにかしたわけではないのだが、悲しかったのだ。
その後、2人は彼の車が停めてある駐車場に行き車に乗り込んで出発した。
真子はタクシーアプリで手配していたタクシーに乗り込み、彼の家の近くで降りる。
途中莉子達はコンビニに寄って飲み物を買ったので、先に真子が彼の家の付近に到着した。
数分後、見覚えのある車のシルエットが見えたので、真子は身を隠した。
車から降りて、仲良く2人でコンビニの袋を持ちながら歩き、彼の家のあるマンションの階段を仲良く登る光景を見て、嫉妬や怒りや寂しさや虚しさの様々な感情が渦巻く
思わず莉子に連絡をした
「あんまりひっつかないで
私の彼氏なんだから。」
「でも、手を繋ぐのとか断ったら不審に思われるよ?」
「でも、こっちの身にもなってよ」
「わかったわかった。
これ以上のことはしないから」
少し落ち着くために暖かい飲み物を買いに自販機に行き、先ほどの場所に戻る。
さて、ここからどうしようか?と考えていると、彼が自分の家に戻ろうと階段を上がっている。
(車に忘れ物でもしたのかな?)
彼が部屋に入ってから5分程経った時
莉子からの連絡が来た
「いますぐきて。はやく。、おねがい」
作戦がバレ試すようなことをして普段怒らない彼が怒ったのかと、部屋まで走りドアを開けた。
ドアを開けようとすると、血の気のない莉子が部屋から飛び出してきた。
そして、真子を見つけるがいなや、胸に飛び込んできた。
「ねぇ!何があったの?」
「……..」
莉子は肩を振るわせている。
そして部屋の扉が空いた。
そこには、同じ顔をした彼が2人。
「僕たち同じ日に同じことをしてたんだね。
これって運命だよね」
彼が2人微笑みながらこちらを見ている。
真子は、どちらが本当の彼かわからなかった。