死のループ
死にたくて死にたくて生きる意味がわかりません。
どうして死んではいけないのでしょうか?自殺をすれば、親不孝ですか? 私は両親と仲が悪いです。
でも、それでも、生きていてはいけないんですか? なぜ、死ねないのでしょうか? なぜ、自殺は悪いことなのでしょうか? 教えてください。
どうかお願いします。
私の命で誰かの命を救うことができるなら、それでいいのです。
それが、私にできる唯一の償いなのですから。
私は、生きていても仕方がない人間なのです。
だから、私は死ぬべきなのです。
生きる価値のない人間は、死んで当然なのです。
なのに、私はこうして生きている。
生きることに必死になってしまっている。
それはなぜなのか……
もうわからないのです。
だから、私は知りたい。
私が死ぬことで救われる人がいるのかを。
もし、いるのならば、私は喜んでこの命を差し出しましょう。
いないのならば、私は生き続けます。
それが私の答えなのですから。
私はどうしたらいいのでしょう。
私は何のために生まれてきたのでしょう。
私にはわかりません。
何もかも、わからなくなってしまったのです。
私は今、死にたいと願っています。
しかし、なぜか体が動きません。
まるで、何かに押さえつけられているように……
そして、私は気づいてしましました。
自分の意思とは関係なく、体は生きていたいと叫んでいることに。
こんな体、なくなってしまえばいいのに……
そう思っても、やはり動くことはできませんでした。
私は、これから先どうやって生きればいいのでしょうか。
誰か教えてくれませんか? お願いします。
私は、どうすればよかったのでしょう。私の選択は間違っていたのでしょうか? それとも正解だったのでしょうか? 誰も教えてくれないのであれば、自分で考えなければなりませんよね。
でも、そんなことできないよ……
だって、怖いんだもん。
自分が何をしているかわからなくなることが。
自分がどんな気持ちで生きているのかがわからなくなってしまうことが。
自分の存在が消えてしまうことが。
怖いんだよ……
誰か助けてよ。
私を助けてよ。
私はどうしたらいいかわからないの。
もう、どうしたらいいのかわからないの。
だから、私は助けを求めることしかできなかった。
それでも、誰にも届かなかった。
届いても、その声が聞こえる人は誰一人いなかった。
やっぱり、みんな同じなんだね。
私は、一人で頑張らないといけないんだね。
私はもう疲れたよ。
このまま眠ってしまいたい。
そしたら楽になれるかなぁ……
楽になりたい。楽になれたらいいなぁ。
そうしたら、幸せになれるかもしれない。
もう苦しい思いなんてしないで済むかもしれない。
でも、ダメだよね。
死んだら終わりだし。
それに、私がいなくなったら悲しんでくれる人もいないし。
やっぱり、私は独りぼっちのまま生きていかないとだめなんだね。
私はいつまで頑張っていけばいいのだろう。
ずっと、ずっと耐え続けなければいけないのだろうか。
辛いよ……
本当に辛すぎるよ。
こんな人生嫌だよ。
なんで私がこんな目に遭わないといけなかったの? ねぇ神様、教えてくださいよ。
私が一体何をしたっていうんですか? どうして、私だけこんな思いをしなきゃいけないんですか? 答えて下さいよ! お願いですから!……あーあ、なんかどうでもよくなってきたや。
私の人生に意味があったとしても、きっとそれはとても小さなものでしかないんでしょうね。
私みたいなクズの命に価値があるとは思えないし。
まぁ、そんなことはどうでもいいんだけどさ。
私は今日も生きている。
ただそれだけのことなのだから。
「うっ……ぐすん」
目の前には血塗れで倒れているお父さんの姿。
そして、私の手の中には包丁が握られていた。
私はお父さんを刺してしまったのだ。
その時の記憶はない。
ただ、気づいた時にはお父さんは倒れていた。
そして、私の手にはしっかりと包丁が握りしめられている。
これは夢ではないということだけがわかる。
頭が混乱する中、ただ一つだけわかったことがあった。
私は人を殺してしまったということだ。
それも自分の手で。
嘘でしょ……
信じられない。
信じたくないけど、この手に持っているものが全てを物語っている。
私のしたことは間違いではなかったはずなのに、なぜか涙が出てくる。
なんで……?どうして私は泣いているの……? 私は何も悪くないのに。
悪いのはお父さんの方なのに。
私が泣きたいくらいだよ。
私はしばらくその場に立ち尽くしていた。
その間、私の頭の中では色々な感情が入り乱れていた。
後悔。罪悪感。恐怖。悲しみ。憎しみ。絶望。虚無。そして、安心感。
様々な感情がごちゃ混ぜになっている感じだった。
そんな中、私の心を支配しているものがあった。
それが安堵である。
私が人を殺したことに、私はほっとしていた。
これで私の邪魔をする人がいなくなる。
やっと自由になることができる。
そう思った。
私のことを縛るものは何もなくなった。
だから、これからは自分の好きなように生きる。
もう我慢なんてしなくていい。
自由に生きていいんだ。
私は解放されたんだ。
今まで苦しんできたのは何のため? お父さんに殴られたり、蹴られたり、罵声を浴びせられながらご飯を食べさせられたり、無理矢理犯されたりしてたのに。
でも、それも今日まで。
もうあんな思いをしなくてもいいんだ。
もう私は自由なんだ。
もう私は傷つかなくていいんだ。
もう私は死ななくていいんだ。
そう思うと、私は自然と笑みを浮かべていた。
今なら何でもできる気がした。
今すぐにでもここから逃げ出せるような気さえした。
私は自分の部屋へと駆け出した。
早くこの家から出ようと思ったからだ。
この家にいるとまたお父さんに襲われかねない。
せっかく自由になれたのに、こんなところで捕まりたくはなかった。
私は急いで支度をした。
といっても、特に準備するものもなかったのだが。
財布の中にお金が入っていることを確認すると、私は家のドアに手をかけた。
ガチャッ 鍵はかかっていなかった。
いつもはちゃんと閉まっているので、少し驚いた。
もしかしたら、お父さんはまだ意識を失っているのかもしれない。
私は慎重に階段を下りていった。
そこには、お父さんの姿はなく、お母さんがいた。
私は咄嵯に物陰に隠れる。
お母さんはソファーに座ってテレビを見ており、私の存在に気づいていない様子だった。
どうしよう……? 今ここで出て行ったら確実に見つかっちゃうし……
でも、いつまでも隠れているわけにもいかないし……
どうすればいいの? 私は悩んだ末、こっそりと玄関から出ることにした。
足音を立てないようにゆっくりと歩き出す。
そして、靴を履いて外に出ようとした時、後ろから声をかけられた。
「どこに行くつもり?」
ビクッとして振り返ると、そこに立っていたのはお母さんだった。
私は心臓が止まるかと思うほどびっくりしたが、何とか平静を保ちつつ答えた。
「ちょっとコンビニまで行ってくるだけだよ」
すると、お母さんは表情を変えずに言った。
「そう。気をつけて行ってらっしゃい」
私はそのまま外へ出た。
そして、ホッとしたのも束の間、今度は前から誰かが来た。
もしかして、と思い身構えたが、その心配はいらなかったようだ。
やって来たのは、お兄さんだった。
私は慌てて近くの電柱の影に身を隠した。
どうやら、お兄さんも買い物の帰りのようで、両手にビニール袋を持っていた。
「おい、どこに行っていたんだ?俺も探し回って大変だったんだぞ。全く、手間かけさせやがって……」
どうやら、お兄さんの言っていることは本当らしい。
私は勝手に外出していたことを怒られると思っていたので、予想外の反応で戸惑った。
「えっと……その……ごめんなさい」
とりあえず謝っておいた。
お兄さんはため息をつくと、呆れたように言ってきた。
「まぁ、無事に戻ってきてくれたからいいんだけどさ。でも、今後は勝手な行動は控えるように。いいね?わかったかい?」
私は素直に首を縦に振った。
それを見たお兄さんは再び大きな溜息をつく。
「じゃあ、俺はもう帰るから。お前も遅くならないうちに帰ってこいよ。あと、明日からは学校に行ってもらうからな。いいな?それじゃあな」
お兄さんはそのまま歩いていった。
私はその後ろ姿をじっと見つめていた。
そして、完全に見えなくなると、私は静かにその場を離れた。私はそれからしばらくの間、あてもなくふらついていた。
ただぶらついているだけだというのに、不思議と気分が高揚してくるのを感じる。
まるで、今まで抑えつけられてきた何かが解放されるかのような感覚。
それはまるで麻薬のような中毒性があるものだった。
今の私はきっと正常な判断ができない状態だと思う。
だから、これから自分がしようとしていることも理解できていないのかもしれない。
それでも、私はやるしかなかった。
他に方法がないのだから。
私は人気のない路地裏に入った。
辺りには誰もいない。
私は深呼吸をして気持ちを整えると、包丁を取り出した。
そして、それを自分の喉元に当てて、勢いよく引いた。
私は死んだ。
これでもう何も怖くない。
私は自由だ。
誰にも邪魔されないし、誰にも縛られない。
私は死ぬことで本当の自由を手に入れたのだ。
あぁ……これでやっと終われる……
私は安堵に包まれながら目を閉じた。「……あれ?ここはどこだろう」
私は周りを見渡した。
そこは真っ暗で何も見えない空間が広がっていた。
でも、なぜか自分だけははっきりと見える不思議な場所だった。
「……やっと来ましたね」
突然背後から声が聞こえたので、私は驚いて振り向いた。そこには綺麗な女性が佇んでいた。
顔立ちはとても整っており、とても美しい人だった。
年齢は二十代前半といったところだろうか。
女性はこちらに向かって微笑むと、話しかけてきた。
「こんにちは。あなたは今、どんな状況に置かれているかわかっていますか?」
私は戸惑いながらも答えた。
「えっと……私、自殺したはずなんですけど……どうしてここにいるのかわからないんですけど……どうしてですか?」
私は質問に質問で返した。
女性は特に気にすることもなく答えてくれる。
「それはですね、私があなたをここへ連れて来たからです。そして、私はあなたの魂を担当している女神です。よろしくお願いしますね」
私は困惑していた。
いきなりそんなこと言われても困ってしまう。
私は恐る恐る聞いた。
「あの……本当に神様なんですか……?それに、私の担当とか言われましても……どういうことなのかさっぱりで……説明してくれませんか?」
すると、彼女は笑顔のまま話し始めた。
「わかりました。では、まず自己紹介をさせていただきますね。私の名はリリアナと言います。一応、この世界を管轄している神のようなものです。そして、あなたは死にました。自殺という形で。これは間違いありませんよね?」
私は彼女の言葉に小さく肯く。
確かに私は自ら命を絶った。
でも、それがなぜいけないのだろう。
私は自分の意思で死を選んだのに……
私の疑問を読み取ったかのように、彼女が答える。
「それがいけなかったのです。なぜなら、この世界での自殺は、本来許されない行為なのですから。自殺は禁忌とされています。もし、その禁を犯した場合、罰が与えられるのです」
私は絶句した。
だって、私は自分の意志で死を選択したのに、それが罪だったなんて思いもしなかったからだ。
私は必死になって弁解した。「そ、そんなの知らなかったんです!私はただ生きることが辛かっただけで、別に自殺しようと思っていたわけではないんですよ!」
しかし、彼女からは意外な返答が返ってきた。
「いえ、わかっていますよ。あなたは生きることに疲れてしまったのでしょう?だから、楽になりたかった。違いますか?だから、私はあなたを助けたいと思ったのです。もう一度人生をやり直すチャンスを与えたいと思ったのです。そうすることで、あなたは救われるはずだと。でも、あなたはそれを拒絶しました。もう生きたくないと言った。もう辛い思いをするのは嫌だと。だから、私はあなたを強制的に転生させることに決めました。そして、次の人生こそ幸せになれるよう願っているのです」
そう言うと、彼女は私に近づいてきた。
そして、私の手を握ると優しく語りかけるようにして言った。
「さあ、行きましょうか。次なる生に向けて……」
私は抵抗することなくついて行った。
こうして、私は再び新たな世界に旅立ったのだった。
数年後私はまた自殺した。今度はリストカットによる失血死だった。
これで何度目になるかはわからない。
もう数えることをやめたからだ。
私はこの世界の人間ではない。
別の世界から来たのだ。
私はそこで、ある少女と出会った。
名前はミアという。
ミアはいつも泣いている子だった。
両親が厳しくて、いつも叱られているらしい。
私はある日、こっそり家を抜け出して街を彷徨っていた時に、たまたまその子を見つけた。
そして、気がついた時には声をかけてしまっていた。
「ねぇ、大丈夫?どうかしたの?何かあったの?」
すると、女の子は泣き腫らした目をしながらこちらを見上げてきた。
そして、涙声で訴えてくる。
「お父さんとお母さんが私に意地悪をするの。毎日殴ったり蹴られたりするの。痛いよ……苦しいよ……」
私はそれを聞いて驚いた。
まさか、虐待されている子供がいるとは思わなかったから。
私はなんとかしてあげたいと思った。
そして、気づいたらこう言っていた。「私と一緒に逃げよう?」と。
女の子は最初戸惑っていたが、すぐに嬉しそうな表情になった。
「うん!私、お姉ちゃんについて行く!どこまでも一緒に逃げるよ!!」
こうして、私たちは二人で逃げ出した。
行き先はどこでもよかった。
ただ遠くへ行きたい一心だった。
そして、辿り着いたのがこの町だった。
私たちの住む町は、都会と呼ぶには程遠い田舎のようなところだった。
自然が多く残っている場所で、空気も美味しい。
しかし、同時に不便なことも多く、生活していく上でお金がかかることもあった。
それでも、二人なら乗り越えられると信じて疑っていなかった。
結局私たちは心中した。
私は自殺のループから逃れられることはできなかった、なぜか、生きることを放棄することは、輩は永遠に苦しんでくれとの神のお告げのようです。
私はまた次の人生でも自殺する。
生きる意味とはなんなんでしょうか?それは人それぞれ違うと思いますが、私にとっての生きる意味というのは、私を苦しめるためにあるものだと思っています。
それなのに、私は何度も同じ過ちを繰り返している。
私は一体いつまで苦しみ続ければいいの? 私はもう死んでしまいたいとさえ思うようになった。
でも、それすらも許されなかった。
永遠の懺悔に苦しむのが人生。 人生に救いは無いと私は確信した。