希望への道
心が躍る。
明るく照らされた道は、ありきたりな表現だが、まるで希望の道だ。
お宝へと続く道にふさわしい、輝く道。
まるでたとえ話のような表現だが、本当に文字通り輝いているのだ。
「凄い……壁自体が発光してる……。こんな魔道具見たことない……。」
常に冷静沈着な母の表情が目に見えて輝いている。
確かに、ランタン等の中には炎の代わりに魔法の光を発生させる物もある。
しかし、母が言うように、壁自体を発光させるような魔道具など見たことも聞いたことも無い。
はやる気持ちを抑えつつ道を進んでいくと、一行は程なく倉庫と思われる部屋にたどり着く。
「封印魔法がしてあるみたいだけど、入り口に比べたら大したことない。ちょっと待ってて。」
カチカチとしばらく母が仕掛けをいじった後、扉はあっけないほど簡単に開いた。
念のため、中に注意をしながらも待ちきれない様子の父が扉を押し開けると、そこには想像以上の光景が広がっていた。
今までフォウは……いや、父母もここまでのお宝を目にしたことは無かった。
その部屋には、数々の宝物が元の美しさを保ったまま保管されていたのだ。
まずは正面。見事な彫刻の施された小さな台座なような場所には、まばゆいばかりに黄金に輝く大きな盃。
その隣には、純度の高い魔宝石で彫られていると思われる巨大な像が数体鎮座している。
そしてその周囲には銀色の、これまた豪奢な彫刻の施されたスタンドに、一目で業物と分かる剣がびっしり並べられ、キラキラと黄金とはまた違った輝きを放っている。
更によく見ると、剣の他にも美しい宝石や魔石が施された槍や盾などがぴっちりと並べられているのだ。その光具合からして、もしかしたら魔鋼やミスリル等が使われているのかも知れない。
他にも台座の後ろの壁には、何かの儀式を現わしているのだろうか。古代の壁画と思われる緻密な絵がはめ込んである。
今までの遺跡で見てきた壁画とは明らかに雰囲気が違う。お宝だけなく、こちらももしかしたら物凄い発見なのかもしれない。
「す、凄い……。」
あまりの光景に思わず息を呑むフォウ。
胸の鼓動を感じつつも、恐る恐るといった様子で隣にいる父母の姿を横目で盗み見れば、二人は目を見開き感動と興奮に身を震わせていた。
「神聖王国時代…、いや、もっと古いかもしれない!」
「あの剣の魔宝石、凄い大きさよ!!あの大きさのものが産出されていたなんて。」
口々にそうつぶやくと二人はフラフラと台座の方へまるで引き寄せられるかのように近づいていく。
そして、初めは恐る恐るといった様子で、やがて次々見つかる宝物にある程度遠慮を忘れたらしく、手に取っては眺めるといった動作を繰り返している。
そんな両親の様子を少し離れた所で眺めながら、二、三回深呼吸をして気持ちを落ち着けた後、フォウも部屋をぐるりと見渡した。
両親は既にお宝に夢中なのでフォウは放っておく。
まあ、気持ちは分かる。確かにこれは冷静な判断を失わせるレベルの遺跡である。一つ持ち出して売るだけで、一体どのくらいの価値になる事やら。
そんな事を考えながら、値踏みするような視線でしばらくじっくりと周辺を見渡していたフォウだったが、台座……よく見ると祭壇のようなものだということが分かる――その横にこの場にはまるで似つかわしくない非常に地味な石板があることに気づいた。
「母さん。ねえ、あれなんだろう。」
「あまり動きまわっちゃダメ。どんな仕掛けがあるか……ん?」
思考を中断させられた事で一瞬文句を言いかけた母だったが、フォウの指さす方向を見てその眉を寄せた。