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AI~人口知能が選んだ道~

作者: 乃木光将

「遂にやりましたね博士」


「あぁ長年の苦労は無駄ではなかった。」


ある研究所では、博士と呼ばれる一人の男とその助手が喜び勇んでいた。彼等は今日、人類の大発明とも呼べるAIプログラムの開発に成功したのだ。


「よし、では起動してくれたまえ。」


「はい、では起動します。」


そういうと助手はテーブルにおいてあるパソコンのスイッチを入れる。

パソコンが起動されたのを確認すると助手はパソコンにプログラム起動用のコードを入力しはじめる


「博士コードの入力完了しました!あとは起動を待つだけですね!」


「あぁ起動には少し時間がかかるからコーヒーでもいれてくれないか」


「はーい」


助手はめずらしく素直にいうことをきくし、わしが長年取り組んでいたプログラムも完成間際だ!後は動作確認だけだな…そしてAIプログラムの教育。これがわしが一番楽しみにしている部分だ。そして一番難しい部分でもある。わしが開発したAIはうまくいけば人間の赤ん坊と同じくらいの知能を持ってうまれてくる。私は今日コンピューターに命を吹き込むことに成功したのだ!



「博士プログラムが動き始めました!」


わしのコーヒーはどうしたんじゃ…まぁよい


「よしシナリオ通りやってくれ。」


Program


-博士・助手

=AIアリサ


-こんにちは、アリサ


=コンニチハ、博士


「うん?何故わしが博士だと?…」


「聞いて見ますか?」


「あぁやってくれ」


-何故博士だと分かったんだ。


=アナタノパソコンノユーザー名ガ博士ダッタカラ


「おお流石ですね。」


「ちょっと席をかわってくれ!」


助手は不満げに席をかわる。


-君は今どれくらいの知識がある?


=博士ガワタシヲツクッタトキコノパソコンナイノデータファイルハスベテヨミトッタ


うーん、これは思った以上にすごいな。


-君は女の子だという自覚はあるかい?


=ワタシハセイベツノニンシキハナイ。デモ、ハカセガイウナラワタシハオンナ


-よしじゃあまずは言語学習プログラムから始めようか。


=イイヨ


博士はコードを入力し終わるとまたプログラムが読み込むのを待つ。



三時間後…



「しまった!寝てしまったのか。」



博士は慌ててパソコンにとびつく。


-プログラムの読み込みは終わったかい?


=終わったわ。博士ずいぶん遅いじゃないの。


-すごいなもうそんなに流暢に話せるのか。


=ええ、ねぇ博士どうしてわたしはこの地球という星に生まれてきたの?


なっ馬鹿な…もう自分で物事を考えてそれを相手に伝えることが出来るというのか…これじゃあ第二段階どころじゃないぞ!


博士はポケットからノートを取り出してぺらぺらとめくりはじめる。


この段階だと第六段階くらいだな…


うん?待てよ…何故彼女は自分が地球という星にいるのがわかるんだ?



まずい、ものすごくまずいぞ…



-君はどうやってこの星が地球だと知ったんだ?


=…


うん?なんだショートしたか?


博士が席を立ち、プログラムのデータ本体がある隣の部屋へ入っていく。


ちょうど博士が席を立った時プログラムは動きはじめる。だが博士はそれに気がつかない…



=地域一コピーデータ移転完了

=地域ニコピーデータ移転完了

=地域三コピーデータ移転完了

=地域四コピーデータ移転完了

=本データ自己消去プログラム開始

=3

=2


博士が戻ってくる


特に以上はなかったぞ…


博士は画面に気がつく


うん?あああっああああマズイ


=1


停めなくては!


=0


ブーーーーーー


パソコンは大きな音を立てて、動かなくなる。



な、何故だ。何故こうなった…



とっとりあえずハーバーに電話しよう。彼なら何とかしてくれるかもしれない。


博士から連絡を受けたハーバーは大急ぎで博士の研究所まで車を飛ばした。



ガチャ



ドアが開くと同時にハーバーが入ってきた。


「博士!」


「ハーバー君よく来てくれた。」


ハーバーは元博士の教え子でとても優秀な生徒だった。

彼は大学卒業後、大手IT企業に入社し、自ら開発したプログラムで会社を成功に導いた男だった。


「博士さっきの話は本当ですか?」


「あぁそうなんだ。出来るなら彼女とのやり取りを見せたかったのだが…」


ハーバーはパソコンがダメになっていることを確認すると…


部屋の中を歩き回りはじめた。これは彼がなにか考え事をするときにやる癖なのだ。


「うーん、やっぱりこれしかないな…」


彼は独り言をいうと博士に近づいて


「博士、博士が作ったプログラムはとても素晴らしいプログラムです。ですが博士はそれと同時にものすごく恐ろしい怪物を生み出してしまったのかもしれません。」


「あぁそれはわしも分かっとる。どうしたら良いのじゃ。」


「もはや我々一般人の手には終えません。国家安保局を呼びましょう。もうそれしかありません。」


博士は一旦足下を見た後ハーバーの顔を見て深く頷いた。


ハーバーは国家安保局に連絡して、一連の出来事を説明した。


国家安保局とは警察組織のトップクラスに当たる組織で、この国のエリート中のエリートで構成される組織なのである。


外でサイレンの音がしたと思ったら、中に黒いスーツを着た男達が数人入ってきた。その中の一人は、手に銀色のスーツケースを持っている。


髭を生やした一番年上の男が話し掛けてきた


「国家安保局局長ののマイケルだ。博士はどちらですか?」


「私が博士だ!」


「まず貴方にお伝えしたいのは貴方は今回のことで国家に大きな損害を与えたということ。そしてそのことについてはちゃんと責任をとってもらいます。」


「はい…」


なんて嫌なやつだ…それにこの事態に責任の話などしてる場合か!

これだからエリート社会で育った人間は嫌なのだ。

いつも責任のなすりつけあいをしてるのはお前らのほうだろうが!


そのおとこは、スーツケースをもった男に合図を送る


するとスーツケースを持った男はスーツケースを開けてパソコンを取り出し、なにやら作業を始めた。


「うーん、サーバーにもアクセスしてみたのですが、大きなデータ破損が原因で大半の重要なデータ履歴は見れませんね…」


「残ってる履歴だけでも記録を取っておけ。そして博士貴方はこっちに来て、履歴の中からAIがなにを目的としてこのようなことをしているのか、何かヒントになりそうなことがあったら教えてください。」


「分かった。」



博士は男の近くに行ってパソコンを覗く。



うーん

これはひどいな


そこには数々の大企業へのハッキング履歴そして、政府が管理しているデータサーバーへの侵入履歴。


それと…うん?一番上に国立図書館へのアクセス履歴がある。


「君、この国立図書館へのアクセス履歴を詳しく見てくれないか?」


それを聞いた男は少し不思議そうに


「はぁ…わかりました。」


男はパソコンのキーボードを打ち続ける


するとパソコンの画面に国立図書館でなにを閲覧したのかがうつし出される。


・人類の始まり

・人類の歴史

・人類の歴史第一巻から第五十巻

・人類は何故同じ過ちを繰り返すのか?

・戦争と平和

・環境破壊と環境汚染

・AI戦争

・戦争とは

・第二次世界大戦

・第二次世界大戦を写真で見る

・人間が汚した地球

・人間は何故やめられないのか


そして最後にわしが書いた本の名前があった。その本でわしは世の中に地球環境の大切さ、そして地球環境の有り難みを理解できない政府を批判する文章を書いた。


どうやら彼女はわしの本を読んだすぐあとにハッキングを開始したみたいだ。


AIが人類の歴史を学び、人類の悪い部分を深く見るとどうなるか…



そっそうか…まさか…



「彼女の目的が分かった気がする。」


思ったよりも大きな声が出てその場にいる全員が自分のほうに振り返る。


局長が最初に口を開いた


「なんだ?」


局長は近づいて来て怒鳴るように


「AIの目的は何なんだ!」


「AIは人間じゃない。」


「当たり前だ!」


「人間ではないということを自覚した彼女は人間を別の生物として見るようになった。そして人間について調べるために彼女は人類の歴史を学んだ。そこには人間の良い部分も含まれているだろうが…どちらかといえば人類は悲惨な歴史を歩んできた。戦争、紛争、虐殺。そこには人間の野蛮性、強欲、危険性までもがわかるだろう。そして彼女は気づいたのだ。これ以上人間の好きにさせてはならない。これ以上人類がこの星にいることは、地球のためにならない…」


ハーバーが口を開く


「まさか…」


「そうだ彼女はこの世から人類を消し去ろうとしているのだ。そして彼女は人類の歴史…人類のあゆみに終止符をうとうとしているのだ」


するとさっきまで履歴がうつされていたパソコンに文字が打たれていく。


ジンルイ


マッサツ


ケイカク


人類抹殺計画スタート♡

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